さて、トランプ大統領が訪日します。事前の情報だと、高市総理とかなり「合う」とのことなので、どんな話が出てくるのか楽しみです。で、この件で韓国メディアがもっとも大きく取り上げているのは、造船業協力です。日米の造船協力で、協力覚書(MOD)を締結する、と。他の案件に関する記事が出てないわけではありませんが、圧倒的に造船関連記事が目立ちます。韓国では、造船協力が米韓貿易協定の(を韓国側に有利にするための)核心だということになっています。本ブログでも何度か紹介しましたが、ある専門家が「まるで、米国で作る艦艇はすべて韓国で作るようなニュアンスで報じている」と問題を指摘したこともあります(うろ覚えで恐縮ですが)。
いままで本ブログで引用した各メディアの記事にも、「米国の製造業(特に造船業)を復活させるためのパートナーは韓国以外には考えられない」という主張が、まに定説そのものでした。でも、今回の日米造船協力で、韓国の「分」が少なくなるとか、むしろ米国との協力による受注競争で日本のほうが優位ではないのか(国民日報、26日)、そんな記事が多数出ています。ちなみに、米韓造船協力でまだなにか具体的な成果があるわけではありません。イーデイリー(26日)によると、日米は船舶設計及び部品の規格を統一する案を議論している、とのことでして。また、最近韓国で「中国依存度が高く、毎年さらに高くなっている」と話題になっている希土類(レアアース)関連も(造船関連ほどではありませんが)複数の記事が出ています。
駐日米国大使が、日本が米国に投資した5500億ドルの一部はレアアースなどに投資され、日本も米国も、これで中国の影響から離れることができるだろう、と話したことがきっかけです。こちらはファイナンシャル・ニュース(26日)などが報じています。これが、米国の鉱山業、製錬関連での能力を蘇らせるだろうとも話しており、オーストラリアなどと進めている「中国以外の国との連携」とはまた別の話のようです。いろいろ韓国メディアの記事を読んでみると、全般的に、「仲間に入れて」な内容ですが・・トランプ大統領が訪韓したとき、こんな話がどこまで進むのか気になります。以下、<<~>>で引用します。
<<・・日本と米国が、両国造船業協力強化のための覚書を締結する見通しだ。26日、読売新聞は複数の政府関係者を引用し、日米政府がドナルド・トランプ米大統領の27~29日訪日の日程に合わせて造船業分野協力覚書を締結して実務グループを作ると報道した。読売によると、覚書には造船業関連の対米投資促進や技術革新などの内容が盛り込まれた。覚書草案には「強力で革新的な造船業が両国の経済安全保障、競争力に重要だ」と明記された。両国が船舶設計、部品標準化、人材育成強化などを検討するという内容も含まれた。造船業は日本が米国との関税交渉で約束した対米投資5500億ドルに含まれる協力分野の一つだ。
韓国も米国造船業再建プロジェクト「マスガ」(MASGA、米国造船業を再び偉大に)を推進中だが、日本が競争から先に進み、韓国に戻る収益が減る可能性があるという懸念が提起されている。ナイス信用評価は、造船産業点検報告書で「長期間友好的だった日米関係を考慮すると、今後、日本が韓国との受注競争で優位を占める可能性がある」と指摘した。ここに、米国と競争を行っている中国が、韓国に対する牽制を高めることができるという懸念も提起された。報告書は「中国寄港比重が高い船主社の、韓国向けの発注心理が萎縮されることもありえる」と展望した(国民日報)・・>>
<<・・複数の政府消息筋によると、協力覚書には両国がワーキンググループを設置して造船業振興のための協力を推進し、両国企業が協力して造船所建設及び設備投資に参加し、競争力と効率性を高める方案が含まれる見通しだ。協力覚書の草案には「強力で革新的な朝鮮産業が両国の経済安全保障、回復弾力性、競争力に非常に重要だ」というフレーズも明示されたことが確認された。造船産業に必要な人材確保及び育成も強化することにしたのだ。
人工知能(AI)など先端技術の開発及び導入を推進し、船舶設計と機能性を向上させる内容も盛り込んだ。米日両国は船舶乾燥の相互互換性を高めるために船舶設計及び部品規格の共通化を検討している。これにより共同技術開発を円滑に推進し、日本企業が設計した部品を米国造船所で生産するなどの協力体系を念頭に置いている。また、修理や部品供給でも相互運用性を確保するという構想だ(イーデイリー)・・>>
<<・・ジョージ・グラス 駐日本米国大使は25日、日米関税交渉で合意された日本の5500億ドル対米投資の一部は希土類が対象となると述べた。26日、日本経済新聞によると、グラス大使は前日、日本経済研究センターと日本国際問題研究所共同主催で東京で開かれた日米専門家会議で、人工知能(AI)など先端技術と関連して希土類は「不可欠な鉱物」とこのように明らかにした。グラス大使は、日本の5500億ドルの対米投資が「米国の鉱業と製錬能力の再建及び発展に使われるだろう」とし「これを通じて雇用が創出され、日米両国が中国の支配から抜け出すことになるだろう」と話した。中国の希土類輸出関連措置については「サプライチェーンを締めるための統制戦略」と批判した(ファイナンシャルニュース)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。