昨日も記事の引用部分に「誰もが絶賛しているが、重要な部分ではまだなんともいえない」という指摘もあるにはありますが、多勢に無勢というか、そういうのは本当に一握りの主張にすぎません。各韓国メディアは今回の米韓首脳会談関連を最高だったと評価しています。確かに「事前の予想に比べると」大きな成果があったのは事実でしょうが、盛り上がり方がすごすぎます。そんな中、ノーカットニュース(2日)によると、野党の「国民の力」の成一鍾 議員(国会国防委員会長)が、「米国が承認した原子力潜水艦って、ひょっとして私たちが作るのではなく、米国が作って私たちの売るのではないか」と疑問を提起しました。
オーカス(オーストラリア)方式ではないのか、私たちは自力で作れるのに、なぜそういう方式で買う必要があるのか、それは外向的に失敗ではないのか、という主張です。これを「失敗」とまで言うのはさすがにちょっと「野党すぎ」ではないのか、な気もしますが、そこはともかく。これから詳しくどんな展開になるかは分かりませんが、たとえば本ブログの読者の方々などは「それは、ま、『買う』でしょう」と思っていたはずですが・・「完全無欠に私たちが作る」という雰囲気になっていることが、よく分かるくだりでもあります。
個人的に、外向的に失敗(というか、ミス)したとなると、「中国側の潜水艦」発言でしょう。10月30日にも紹介しましたが、李在明大統領がトランプ大統領に原子力潜水艦の話を持ち出した名分は、「原子力潜水艦がないと、北朝鮮・中国側の潜水艦に対応できない」でした。しかし、当日の午後、大統領室は「特定国家の潜水艦を指したものではない」、「該当表現は、単に、北朝鮮、中国の方向の韓国海域付近で出没する潜水艦を意味するものだった」、「潜水艦は一種のステルス戦力のようなものであり、検知が難しく、わが周辺水域では、どの国の潜水艦なのかをよく探知する必要があることを強調した言葉だったと理解している」と話しました。
ハンギョレ新聞(10月29日)などはこれを「火消しに走った」と書いています。米国側が承認したのは、「中国関連」だからでしょう。こういう「中国側ではなく、中国の方向」という話も米国側に伝わっているはずですが、さて、同影響するのでしょうか。ちなみに、米韓首脳会談など含めて訪韓中、トランプ大統領は「米韓同盟」という単語を1回しか使っていない、という指摘もあります。これについては、また後で1回は取り上げたいと思っています。また、個人的にちょっと気になるのは、読売新聞など多くの(韓国以外の)メディアが「通常兵器だけになる」としていますが、そのことが韓国ではほとんど報じられていない点です。まさかとは思いますが、これを「核」の承認とでも思っているのでしょうか。それでは、「ひょ、ひょっとして『買う』のか」論、<<~>>で引用してみます。
<<・・成一鍾 国会国防委員長は、2日、今回の米韓首脳会談で韓国軍が原子力潜水艦艦を導入すると合意できたことについて、「事実上、米国が建造した原子力潜水艦を、私たちに売るという意味だ」と解釈した。前日、魏聖洛 大統領室国家安保室長が「米国に燃料に対して承認を受けた」と話したが、それを根拠に、米国が公言した「技術共有」はオーストラリアの事例のように「完成品輸入」に変質する恐れがあると主張したのだ。委員長は2日、SNSに原子力潜水艦導入の合意自体については「明らかな進歩だ」と肯定的に評価しながらも、「米国が建造した原子力潜水艦を、オーストラリアが買い入れた先例を、私たちもそのまま適用されることになれば、それは外交的に失敗である」と書いた。
続いて「オーストラリアとは異なり、我々は原子力潜水艦を建造できる技術力を保有しているからだ」とし、「そのような(※オーストラリアの事例のような形の)原子力潜水艦の導入なら、それが私たちの国益に合致するのか疑問」と主張した。委員長は「米国の販売」の可能性を懸念した根拠を、「魏聖洛 大統領室安保室長の『燃料承認』発言」、および、「トランプ米大統領の『韓国原子力潜水艦は米国フィリー造船所で建造することになるだろう』発言から探った。成一鍾 委員長は、オーストラリアが2021年、AUKUS(オーストラリア・イギリス・アメリカ3国の安保パートナーシップ)同盟国であるアメリカ・イギリスの技術で原子力潜水艦を導入することにした。
しかし、相当な期間、米国で作った潜水艦を買い取ることになった先例に注目し、「私たちも同じ方式を適用されるなら、それは外交的失敗」とした。それと共に「オーストラリアとは異なり、私たちは原子力潜水艦を建造できる技術を持っている国だ。しかし、私たちが建造できず、アメリカから買って使うことになったのだ」とし「李在明大統領は、なにかあればすぐ『自主国防』を語るが、これが真の自主国防なのだろうか」と問いかけた(ノーカットニュース)・・>>
いや、明らかに「『右側』とされる国民の力でもできなかったこと」が出来たのは事実でしょうし、これを李政権の失敗だと言うのは、どうかと思います。先も書きましたが、本件は「それは、ま、『買う』でしょう。急に何を言うのですか」な話が本題でしょう。あと、本当にちゃんと建造できるのでしょうか。まるで、前にも作ったことがあるような書き方ですが。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。