さて、ブラックイーグルズ関連、続報です。何度かお伝えしていますが、ブラックイーグルズ関連で、まだ多くのニュースが出ています。かなり「迂回」しての表現ではありますが、韓国政府閣僚(国防部長官)としての初めての公言がありました。「失望した」です。ただ、ブラックイーグルズ給油問題など、どんな案件のどのような部分に失望したのかについては、今回も明言していません。前にも書きましたが、米国との関係なども含めて、この案件そのものがこれ以上拡大していくことを望んでいないのでしょうか。毎日経済(9日)の記事からこの部分を引用してみます。そして、韓国日報が社説(10日)が、韓国側が日本関連でよく使う「トゥジップ(트집、言いがかり)」という単語でこの件を書いているので、そちらも引用してみます。
日本では何かを強調する時に「超」「ド」などを付けたりしますが、韓国では「生」を付けます。言いがかりを強調するときには「生 言いがかり」と言います。今回も、そういう書き方になっています。別にこの件に限ってのことでもありませんが、個人的に、「韓国の信じている『あるべき日韓関係』が反映されている」と思っています。「自衛隊はなにがあっても朝鮮半島に入ってはならない」を貫いているのに、日本は領土に関わる問題であっても、韓国機の給油に応じなければならないという考え方が、根幹にあるからです。そして、このでたらめなルールに沿わないことは、「未来志向ではない」とか、「言いがかり」とかになるわけです。
引用部分で「なるほどね」と思ったのは、今回の件に、一つ前のエントリーで書いた「台湾関連発言」をつなげていることです(韓国日報)。この件も、台湾関連発言と同じで、日本の「普通国家化」のためのものである、と見ているのでしょう。前にも「日本と韓国では、見ている世界の構図が異なる(韓国は日韓関係だけで日本を見るけど、日本は世界情勢の一部としての韓国を見る)」という指摘を紹介しましたが、それがピッタリ当てはまると言っていいでしょう。それに、領土問題そのものが関わっているので、根本的な理由を語るには数十年前まで遡らないといけないでしょうけど、そこまでしなくても、日本首脳の訪韓(APEC首脳会議)の直前、10月28日にこのような飛行を許可していたことは、なにかのいやがらせでしかなかったのでは、そんな気もします。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・安圭伯 国防部長官は9日、KBS「日曜診断」に出演して、「日本と軍事協力まではいかないものの、安保協力関係は緊密に維持し、北朝鮮の核とミサイル高度化に対して能動的に対処していこうと意見一致を見て、相互往来しようという話までした後だったのに、日本が別の側面を見せたので、失望した」と話した。これに先立ち、安長官は1日、マレーシアのクアラルンプールで開催された第12回ASEAN拡大国防長官会議(ADMM-Plus)をきっかけに、小泉進次郎 日本防衛相と日韓国防長官会談を行ったことがある。安長官が「日本のもう一つの姿」が何なのかは具体的に言及していないが、最近日本が韓国空軍特殊飛行チーム、ブラックイーグルスの中間給油を拒否したことに対することを言ったのだと解釈される。
これに先立ち、ブラックイーグルスはアラブ首長国連邦(UAE)ドバイエアショーに参加するため、日本の那覇基地で給油を受ける計画だったが、できなかった。日本側がブラックイーグルス特殊訓練機T-50Bが先月28日、竹島付近で通常訓練を進めた点を問題とし、給油に応じなかったことも分かった・・・・国防部もこれに対抗するような姿を見せた。国防部は5日、韓国軍楽隊の、13日の自衛隊音楽まつりの参加を取り消すと日本側に通知した。日韓海軍は今月中に共同で実施しようとしていた、捜索、救助訓練も取り消したと伝えられた。国防部は、関連する立場をこれといって出していない・・・・今後の両国関係の発展も、同じように難しくなるのではないかという懸念が提起される。高市首相が強硬右派なだけに、ある程度の摩擦はあるだろうと予想されていたが、思っていたより早く実質的な形で表面化したためだ(毎日経済)・・>>
<<・・日韓両国はこれまでシャトル外交を復元し、「庭を一緒に使う隣人」であることを繰り返し確認しながら、共助を誓ってきた。高市政権の言いがかりが、未来へ進むべき両国関係に冷水を浴びせてはならない。国防部は5日、駐韓日本大使館側に韓国軍楽隊が「自衛隊音楽まつり」に参加しようとしていた計画を、保留すると通知した・・(※先の記事と重複する部分なので中略します)・・幸い、昨年から日米韓安保共助強化と経済安保協力の正常化という旗の下、両国首脳が立ち上がり、葛藤が収まり、漸進的ではあっても信頼回復を成し遂げた。
だが、高市内閣が私たちの領土主権を問題として、これを外交案件としていくならば、いままでの努力は水の泡になるしかない。高市首相は7日、日本首相としては初めて台湾有事の際の集団自衛権行事の可能性にまで言及した。私たちの領土と領空内の正当な軍事行動を阻止し、軍事大国化を夢見る高市内閣のいかなる試みも、両国関係改善に役立たないことを、日本は留意すべきである(韓国日報)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。