本ブログでも取り上げましたが、高市総理の台湾関連発言は韓国でも多くのメディアが報じています。もちろん記事によっては日本メディアの報道を淡々と引用するだけのものもありますが、多くは「なんでそんな言葉で『周辺国』が望まないことを言うのか」「李在明大統領はうまく米国と中国を同時に管理できているのに、日本はそうではない」などのニュアンスで記事を載せています。前から、韓国では台湾問題が、驚くほど「関係のないこと」とされていると書いてきましたが、またその中の一つを紹介します。11日の京郷新聞の社説で、「社説・周辺国を刺激する高市の台湾・竹島発言を懸念する」という題です。
2つの問題を、同列で扱っているのがわかります。また、高市総理について「国際社会は、懸念してきた」とも。いつものことではありますが、彼らが言う「国際」というのは、どこからどこまでなのか。「周辺国」という言葉で飾れば、いま韓国が置かれている状況が、この2つの問題を同列に扱ってもいいのか、そんなスタンスで、どうやって「日米韓安保共助」とここまで論じているのか。彼らが言う「国益」「実用(実利)」というのがどういうものなのか、「何を言っているのかわからないのに、なぜか何が言いたいのかわかる」くだりだと言えるでしょう。
本文の直訳ですが「国際社会が憂いているからには、行動を慎むべきであろうに」などの書き方から、明らかに上下関係の心理が入っていることも、また明らかです。前から何もかわっていない、まるで「徳治(徳の高い人が言うからには、徳の低い人はそのままにしなければならない)」にも見えます。「教えてあげる」「手を差し伸べる」などの書き方にも通じるものだとみていいでしょう。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・高市早苗 日本首相の激しい言行が、隣りの国たちを刺激している。高市首相は11月7日、国会で中国の台湾海上封鎖の可能性についての質問に、「戦艦を使って武力行事を伴うなら『存立危機事態』になる」と話した。「存立危機事態」とは、「日本の同盟国などに対する武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされる状況」を指すは2015年に改正された安保関連法によって日本が直接攻撃されなくても自衛隊が集団自衛権を発動できるという意味だ。現職の日本首相が中国と台湾間の紛争に軍事的に介入する可能性に言及したのは初めてだ・・
・・(※この段落は引用でありません。本当に知らないのかそれともわざとやっているのかはわかりませんが、どのメディアの記事を読んでみても、韓国メディアの説明には『~それにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態』(防衛省の説明より)の部分がありません。字数の問題などもあるだろうし別に本文の説明が間違っているというわけではありませんが、本当に重要なのは『我が国の~』の部分ではないでしょうか)・・
・・この発言を置いて、中央大阪中国総領事が「勝手に入ると首を◯る」とソーシャルメディアに載せるなど問題が起きたが、高市は発言を「特別に撤回したり取り消すつもりはない」とした。中国外交部スポークスマンは「日本政府がこれまでやってきた政治的約束に深刻に違反することで、その性質と影響が極めて問題だ」とし、強い不満と反対を表わす、と明らかにした。高市首相はこの日、「竹島は歴史的事実に照らしてみる時も、国際法上でも日本の固有領土という基本的な立場に立脚して対応していく」と話した。10月30日、日韓首脳会談で領有権を主張したかという議員の質疑に、普段の主張を繰り返したのだ・・・・不必要に両国間の雷管に触れて、物議を醸すようにするのは、日韓協力を難しくするだけだ。
高市首相は先月30日、慶州で開かれた日韓首脳会談で李在明大統領と、両国間の協力を誓った。ところが、この大統領に会う直前、韓国軍特殊飛行チーム「ブラックイーグルス」の自衛隊基地での給油を、日本は応じないと決めたという。ブラックイーグルスがドバイ国際エアショー参加のために日本の沖縄県那覇地を経由して給油を受けることにしたが、先月28日竹島上空飛行訓練をしたと言いがかりをつけてきたのだ。この事態で国防部が「自衛隊音楽祭」の韓国軍楽隊参加を保留するなど、日韓間の軍事交流が続々と中断された。
安倍晋三元首相以上に右側である高市首相の登場に、国際社会は警戒心を抱いてきた。このような憂慮を考慮するなら、言行において慎重を期するのが当然のことであろうに、首相になってから一ヶ月もならず「一線を越える」発言の数々で問題を起こしている。米中戦略競争が激化する状況で、日韓がお互いに助けなければならないことが多いが、日本の首相がずっとこのようならば、別のことを考えるしかないであろう(京郷新聞)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。