米韓、ファクトシート公開・・原子力潜水艦建造場所は言及なし、米軍関連で250億ドル購入・330億ドル支援

さて、ついに、米韓首脳会談のファクトシートが発表されました。米韓関税交渉に関する内容も含まれており、こちらはなんと、「合意できた」という報道が出てから3ヶ月半ぶりの「初めての文書化」になります。日米のときもそうでしたが、米韓共に、かなり激しい議論があっただろうと、容易に想像できます。米韓首脳会談関連では、いつもの内容が並ぶだけで、新しい内容はありません。ただ、北朝鮮関連で「非核化」関連の内容が入っていて、これは素直に良かったと言えるでしょう。トランプ政権になってから、北朝鮮を核保有国のように話す場面が増えてきたので。もっとも核心とされていたのは、いわゆるトランプ関税に関する部分と、原子力潜水艦を「どこで建造するのか」ですが・・前者は概ね事前の発表通りでしたが、後者は、「言及なし」ということになりました。

日本も合意してから実際の署名まで時間がかかり、「合意したのになんで(自動車に)25%関税が続くのか」などが大きな話題になりました。ちょっと懐かしいですね。韓国もまたこれから、署名までの最終調整が行われるでしょう。実際、朝鮮日報がまとめたホワイトハウス側のファクトシートによると、非関税障壁などに関する内容がそのまま残っており、「私たちの交渉はこれからだ」的な部分も結構あります。また、個人的に、韓国政府レベルで「国内で作らないと意味がない」とまで言った原子力潜水艦について、どこで建造するのか言及がないのはちょっと以外でした。ひょっとすると、文書化なしの状態が長く続いたので、とりあえずまとまった内容だけ公開するようにしたのかもしれません。




韓国内では概ね高評価で、左側支持が強いダウムではコメント欄から「李在明保有国だ」というフレーズもありました。これもこれで懐かしいですね。これで、本当にほぼ(本当の意味で)合意できたとも言えます。ブログ更新という側面からだと寂しい限りです(笑)。投資金額、医薬品、半導体などについても概ね事前に公開された情報通りです。ただ、記事を読んでみると・・2030年まで韓国が米国から250億ドルの装備を購入、在韓米軍に330億ドルの支援を行うという内容がありますが、この話、前にはなかった気がします。潜水艦関連だと安いので、在韓米軍の現代化(役割拡大)に関する内容を弱くするための、なにかの「代価」でしょうか。それとも、在韓米軍の規模維持のためのフォローでしょうか。「在韓米軍の規模を現状維持する」というフレーズが、今年から消えたというニュースもありましたが(今回もありません)。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・ホワイトハウスがこの日発表したファクトシートを見ると・・・・7月の大きな枠組みの発表がなされた貿易合意に関しては、韓国が造船分野に1500億ドル、戦略的投資2000億ドルをする対価で、米国が自動車や車の部品、木材などにかけた品目別関税を15%に引き下げることにした。ただし、了解覚書(MOU)による投資額が一年に200億ドルを超えないようにしたが、外国為替市場の安全のための装置を設けたことになる。医薬品に対する関税も15%を超えないことにし、対米輸出主力品目である半導体の場合、「今後締結できる協定と比較して、不利にならないようにする」とした。




安保分野では、いわゆる米韓同盟の「現代化」と関連して「米国は在韓米軍の持続的駐留を通じた韓国防衛意志を再確認した」とした・・・・李大統領は国防支出をGDPの3.5%に、できるだけ早く増額する計画であることを共有し、2030年までに250億ドル分の軍事装備を米国から購入することにした。駐韓米軍にも計330億ドルの包括的支援を提供する計画だ。李在明政権が目指している任期内の「戦時作戦統制権の転換」に関しては「米国の支援を受け、韓国は北朝鮮に対する連合在来式防御を主導するために必要な軍事力量強化に拍車をかけるだろう」とした(※明記なし)。「米国は平和的利用のための韓国の民間需要用のウラン濃縮、使用後の核燃料再処理推進過程を支持し、燃料調達案を含め、韓国と緊密に協力するだろう」と述べた・・

・・トランプは、先にフィラデルフィアのハンファオーシャン造船所で原子力潜水艦を建造するという旨を述べたが、この日の文書に建造場所や条件などは具体的に適時されていない。また「両国が造船作業班を通じて維持・保守、修理・整備、人材開発、造船所の現代化、サプライチェーン回復の弾力性などで追加協力を推進することにした」とし「こうした努力は韓国内の米国船舶の建造可能性を含め、米艦艇の数をできるだけ早く増やすことになるだろう」とした。

この日ファクトシートには米企業の「苦情事項」と思われる内容も多く含まれたが、特に貿易代表部(USTR)などが強く問題としてきた非関税障壁と関連して、「相互貿易増進の約束、実行計画を文書化して年末まで米韓合同委員会で採択する予定」とした。これには米国産自動車に対する規制負担軽減、食品・農産物に対する非関税障壁解決、韓国が特許法条約(PCT)に加入することなどが含まれた。また、ネットワーク使用料、オンラインプラットフォーム関連措置を含むデジタルサービス関連の法律・政策に言及し、「米国企業にだけ不利な問題が起きないように保証し、位置・個人情報などデータの国境間の移動を容易にすることを約束する」と述べた。これは米ビッグテック企業が長い間主張してきた事項でもある(朝鮮日報)・・>> 明日もまた1日休みをいただきます。次の更新は、16日(日曜)の11日頃になります。水曜日に休んだばかりなのに申し訳ございません。

 




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
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   ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。