韓国でもっともホットな話題になっている、「検察控訴放棄」というキーワードがあります。どういうものなのかを簡単に書いておきたいと思います。李在明大統領が城南市長だった時期からずっと問題になっている、大庄洞(地名、テジャンドン)特恵疑惑という案件があります。確か本ブログでも何度か取り上げた記憶がありますが・・不動産開発事業において、一部の人たちが明らかに特恵を受けており、李在明当時市長もその一人、または背後のラスボスであるという話です。劇的に差し戻し判決になりましたが、李大統領、この件で政治人生が終わるところでした。
この件は今でも裁判が続いていますが、関連者5人に対し、1審裁判で結構重い判決だ出ましたが、それでも部分的に無罪の部分もあるし、5人が控訴すると、検察も控訴するのが普通の展開です。ですが、5人は控訴したのに、なぜか、検察は控訴をしませんでした。文化日報(8日)によると、これで「(一般的に)2審では、裁判結果が軽くなる可能性が高くなった」とのことでして。野党はもちろん、検察内部でもこの件について「明らかに何かの圧力があった」という主張が提起されました。そして、京郷新聞(16日)によると、この件について批判した検事長全員に対し、事実上の降格(検事長の職位からおろす)を検討している、とのことです。
記事で与党関係者は「もっとも軽い措置」としていますが、どこをどうみても大統領を守るための措置にしか見えないので、これが大きな話題になっているわけです。李在明政権の支持率にいますぐ大きなダメージを与えるとはちょっと思えませんが、本当に「いつものこと」な話であります。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・検察が、大庄洞開発不正疑惑に巻き込まれた民間業者5人の一審宣告に対して控訴しないことにして、議論が起きている。ソウル中央地検は8日、開発不正疑惑事件に関わった民間業者5人に懲役刑などを宣告した1審宣告に対して、控訴状を受け付けないことを決定したと明らかにした。検察が上訴するには、1審の宣告日から7日以内に裁判所に上訴状を提出しなければならない。これにより検察は7日深夜まで控訴状を提出しなければならなかった・・・・検察が控訴を放棄したことで、2審裁判では1審より重い刑量は出られなくなった。ここに、被告人が悔しいと主張した部分だけで審議されることになるため、2審では被告人に有利に裁判が進行される可能性もある。このため、法曹界では検察の控訴放棄の背景に政治的な考慮があるのか、または外部からの影響があるのかという疑問が提起されている(文化日報)・・>>
<<・・政府が、ソウル中央地検の大庄洞事件1審宣告に対する控訴放棄以後、これに反発し、集団行動をした検事長全員を一般検事に人事転補する案を有力検討していると、16日伝えられた。また、国家公務員法違反などに対する捜査と、職務監察及び懲戒措置など3つの案についても議論していることが分かった。与党側の関係者はこの日、(※京郷新聞の)記者との通話で、「集団行動をした堅持全員に対して刑事処罰と監察・懲戒、非検事長職への補職の変更などの措置が政府内部で検討されている」と話した。
検察の控訴放棄以後、10日、全国18の地方検察庁の地検長らと8人の支庁長などが、それぞれ共同名義で検察内部ネットワークに掲示物を載せたことなど、検察内部から出た反発について、政府は公職基礎確立次元で厳しく治らなければならないという見方をしている・・・・職務監察などを通じた懲戒手続き開始、検事長・次長検事などの一般検事職への転補措置なども選択肢として議論されている。検事長18人をはじめとする検事については、高位公職者捜査処に告発状が受け付けられた状況であるうえ、公務員監察・人事措置はいつでも施行することができ、現在検討中の措置全てが並行する可能性もある。
政府が最も有力に検討することは、集団行動検査場などに対する一般検事への人事措置だと伝えられた。検察庁法6条によると、検事の職級は検察総長と検事の2種類に分けられており、一般検事への補職への移動は法律上懲戒ではないというのが政府の判断だ。
一線で検察庁を指揮していた検事長を一般検事に転補することであり、事実上、降格させるという意志だと解決される。与党側の関係者は「検事長を一般検事など検事長以外の職に転補するのは、ただの補職移動の性格であり、最低水準の対応」とし「今回の機会に、検事長をなにかの階級のように考えてきた検察内部の誤った慣行も正常に変えなければならない」と話した(京郷新聞)・・>>
さて、自治体長選挙のなかでもっとも重要とされるソウル市長選挙の予想で(来年6月なのでまだまだわかりませんが)呉世勲氏が1位だというニュースもあしましたし、ひさしぶりに野党の攻勢が見られるのでしょうか・・といっても、いまのところ、この問題が野党支持につながる動きは見られませんが。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。