台湾有事に関する高市総理の発言による、日本と中国の対立。韓国では多くのメディアが明らかに「状況を楽しむ」報道を続けています。もちろん「楽しむ」というのは私の主観的な読み方による感覚ですが、ソウル新聞(17日)の「中国に打ちのめされた日本、尻尾を下げるのか」という記事の題が、わかりやすいかもしれません。外務省の局長級が中国に派遣されたことを、こう解釈しているようです。他にも、「日本は20兆ウォンの損失(中国の訪日注意のことで)」、「日本は沖縄まで取られることになった(中国官営メディアの「沖縄は日本ではない」という発言のことで)」とか、多くのメディアが、同じニュアンスの書き方をしています。
一部、沖縄でのデモに、中国や韓国が関わっているという話もありますが、合わせて考えてみると、韓国が『こっち側』なのかどうか、よくわかるくだりでもあります。中国側が行っている(中国政府は、公式にはそんな措置はないとしていますが)コンテンツ制限措置にちなんで、「日限令」が出されたとか、そんな記事も目立っています。どれを読んでみても、私には「楽しんでいる」ように見えました。いや、主観的な読み方なだけかもしれません・・かもしれません(エコーが響く)・・そんな中、聯合ニュース(17日)などから、今度は竹島関連で多くの記事が出ています。中国外交部のスポークスマンが、ブリーフィング中に官営メディアの「日本の領土・主権展示館拡大についてどう思うのか」という質問に対し、竹島問題について韓国を間接的に支持する発言をした(してくれたというニュアンスですが)という話です。
ただ、記事をよく読んでみると、スポークスマンが竹島という単語を使ったわけではなく、質問に「竹島主権主張に関する」という内容があるだけです。官営メディア側と「事前にどんな質問をするのか、口を合わせておいた」の可能性が高いですが、さすがに政府の立場となる外交部スポークスマンが、竹島についてはっきり言うことはできなかったのでしょうか。また、毎日経済(17日)などは、前にも紹介したことがありますが、今回の件が「日本が覇権国家になるためのもの」「『普通の国』化のためのもの」「支持率を上げるためのもの」という記事を載せています。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・高市早苗 日本首相の「台湾介入」示唆発言以後、連日、日本に向かって強い批判を行っている中国政府が、異例的に日本の竹島主権主張まで批判の範囲に含めて、注目を集めている。毛宁 中国外交部スポークスマンは17日の定例ブリーフィングで、「韓国外交部は14日、日本政府が東京に竹島主権に対する不当な主張を宣伝する領土主権展示館空間を拡張したことに強い抗議を表したが、中国はこれについてどのようにコメントするのか」という中国官営メディアの質疑に、「日本は問題のある言行が多く、周辺国家の境界と不満、抗議を誘発している」と答えた・・・・中国はこれまで、日本との領有権紛争地域である尖閣列島については「中国の固有領土」と主張しながらも、竹島問題にはあまり発言をしていない。
この日の回答は、竹島を直接取り上げずに日本の「問題の在る言行」を批判することで、迂回的に韓国政府を支持したものだと解釈される。高市首相の言及以後、日中関係が急速に冷却された後、中国が政府と官営メディアを動員して連日攻勢を広げ、各界に日本旅行の自制令を下したり、経済制裁の可能性を取り上げるなど、「限日令」に突入したという話まで出てくる状況で、隣国である韓国との関係を固めようとする布石だという見解が出ている。中国外交部がこの件で回答した事例は、安倍晋三日本首相が執権していた2014年2月が代表的だ。中国外交部は当時、韓国政府が日本の島根県で開かれた「竹島の日」の行事を批判すると、この件で事実上日本を批判したことがある(聯合ニュース)・・>>
<<・・高市首相が台湾問題を引き出した背景については、様々な推測が出ている。まず安保政策全般に変化を与えるために適切な危機を触発したという分析が出ている。高市首相は内閣構成と同時に安全保障3文書改正作業を指示した。国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画で構成された安全保障3文書は、岸田文夫内閣の時である2022年12月に改正された。文書改正を通じて防衛力を一層引き上げるということが目標だ・・・・「非核3原則」の見直しも議論されている。高市首相は、非核3原則の「搬入しない」という概念が、米国の核抑止力の実効性を下げているという理由から見直しが必要だという考えを持っていることが分かった。
高い支持率を維持し、支持層をさらに結集するための目的だとも分析される。最近調査された朝日新聞世論調査を見ると、高一内閣を支持するという回答率が69%に達した。内閣発足後初調査時の68%より上がった数値だ。最近、メディアの世論調査で見ると、39歳未満の若い層と60歳以上の老年層の支持率が非常に高い。これらは中国人を含む外国人問題に対して強硬立場だ。特に若い層は去る7月参議院選挙で「日本人ファースト」を掲げた参政党に没票を投げた主役でもある。彼らの支持を考慮すると、高市首相が台湾発言を撤回する可能性はないという分析だ。
先月、高市首相が就任後初めて米国と首脳会談を行い、厚い同盟関係を再確認したのも、背景にあると挙げられる。中国政府が強く牽制に乗り出したとしても、日米同盟を軸に、韓国、オーストラリア、フィリピンなどとの協力関係が強くなれば耐えることができるという判断をしたと分析される(※毎日経済)・・>>
ここまで書いておいて、最後の部分、さりげなく「韓国」が入っているのがポイントかも知れません。16日にもお伝えしましたが、高市総理は安保協力関連で「日米韓」など韓国関連の言葉はほとんど使わない、という話もありますが、そういうのはどう考えているのでしょうか。今日の更新はここまでです。次の更新は、明日(19日)の11時頃になります。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。