やっと、一方通行な『関係改善』の時代が終わるのか

すでに何度もエントリーしましたが、韓国では今回の日中対立が「うれしい」というニュアンスで報じられています。地上波からネットメディアまで、まさに「世論」と呼ぶにふさわしい規模で、です。そんな中、面白い(本当は面白くありませんが)記事がありました。聯合ニュース(20日)の記事で、記事の趣旨は「いやなやつが殴られてホッとしている」「私たちが反射利益をもらうだろうと喜んでいる」人たちが多い、でも、ターゲットは変わる(次は中国が韓国をターゲットにするかもしれない)ものだから、そうしないほうがいい、という内容です。すなわち、記事そのものが「もっと喜べメリークリスマス」と言っているわけではありません。

ただ、記事は「一部の韓国人に、喜ぶ人たちがいるかもしれない」というかなり節制された文章になっていますが・・個人的に、「本当に一部だろうか」と思ってしまいます。あまりにも多くのメディアが、明らかに喜んでいる記事を載せているからです。地上波からネットメディアまで、本当に目につくほとんどのメディアが、そう報じています。それに、記事をよく読んでみると、「これらは喜ぶべきことだ」と認めているニュアンスもありますし、聯合ニュースのような大手が「こういう指摘」をしなければならないほどの事態である、という見方もできます。まず記事を<<~>>で該当部分だけ引用して、もう少し綴ってみます。




<<・・ただざまあみろと思ったり、喜んでいいだけの事ではない。もし喜ぶなら、それは「いやなやつがなぐられた」(※韓国の慣用表現で、自分で直接やり返せたわけでなくても、いやな人がなぐられれば見ていて嬉しいという意味)と見る視点が敷かれているからだろう・・・・「日本の苦痛」に喜ぶもう一つの心理は、日本が中国から制裁を受ければ、韓国が反射利益を享受できるという判断によるものかもしれない。例えば、中国人が日本旅行を取り消したり遅れたりした場合、海外旅行の足跡を韓国に回して韓国の観光収益が高まるという期待感を持つこともできる・・・・しかし、(※思ったほど反射利益は大きくないという話のあと)中国の日本に対する最近の措置を認めてしまえば、中国が駐韓米軍THAAD配置の後に行ってきたとされる韓国コンテンツ制限についても認めてしまう格好になってしまうので(聯合ニュース)・・>>

 

繰り返しになりますが、別にソース記事に対して「だけ」にしぼって書いているわけではありませんが・・今回の「うれしい」は明らかに世論であり、韓国側が日本についてどう思っているのかがよくわかる流れだ、というのが、私の個人的な考えです。そして、その世論を、「率直でいいじゃないか」と、むしろ、「安定しているね」とまで思ってしまうのは、私の心が曇っているからでしょうか。そしてそんな中、「やっと関係改善という言葉が消えてくれるのか」とも思ってしまうのは、もうダーク属性でいいかもしれません。岸田総理の頃から、「関係改善以外のことは認められてはならない」という風潮がありました。韓国だけでなく日本のメディアも、この論調でした。




拙著でも似たような話を書きましたが・・岸田政権・石破政権でのことが「改善」なら、それ以外の路線は「善にはなれないもの」になります。そういうのを認めない風潮が、やっと終わるのか、いや終わったのか、と。それは、私にとっては「うれしい」ことです。これもまた、率直に。なにせ、いまの韓国の雰囲気は、安倍元総理の頃とよく似ています。そう、毎日がこんな雰囲気でした。そのときにも改善を求める声はありましたけど、それはいつも一方通行でした。「私たちが差し伸べた手を、日本は握らなければならない」と書かれているものの、実際は「こちらに合わせろ」という意味でしかありませんでした。関係改善が当たり前のようになっていた岸田・石破政権でも、韓国側のこのスタンスが変わったことは一度もありません。

そんな「こちらに合わせろ」という、明らかに上下関係からくるような主張を「改善」と呼ぶ時代よりは、むしろ先の記事に書かれている「世論」のほうが、まだ率直だと思ってしまう・・そんな今日この頃です。何事もないなら別にそれでいいという考え方もできなくはないですし、シンシアリーという存在になってから「周りの一般的な見方から自発的に外れる」ことには慣れているつもりですが。それでも、「改善」という言葉にまでこんなことを思うようになったのは、さすがに大きなネジレを感じずにはいられません。そんな「一方通行な関係改善」の時代はもう終わったのか・・そう思いたいところですが、「改善オンリー」勢力は、表現だけを変えて、また同じ流れが作ろうとするでしょう。次はどんな表現でまた出てくるのか、気になります。

 




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください

   ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。