韓国が警戒する「ブランソン地図」とは・・日本では前から使用中

多分、数ヶ月前だったと思いますが・・「逆さま地図」というのが、韓国の各メディアで話題になったことがあります。最近になったまら「ブランソン地図」という名で話題になっているので、取り上げてみます。ブランソンというのは在韓米軍司令官ザビエル・ブランソン氏のことで、逆さまというのは、日本や韓国あたり東アジア地図のことです。在韓米軍ホームページなど英語では「イースト・アップ地図」となっています。こうしてみると、日本列島が中国の上の方にあるように見えます。「日本が中国を包囲しているように見える」、「朝鮮半島が中国と日本の間の空母のように見える」などの観点がよりわかりやすくなる、とのことです。

以下は、ソース記事ノーカットニュース(23日)で、画像は在韓米軍のホームページの該当ページのものです(司令官の細かい説明も書いてあります)。この地図を、最近、ブランソン司令官が在韓米軍のホームページにアップし、また話題になっています。この地図は、北朝鮮だけでなく中国、ロシアまなどに対して、その周辺国の地政学的重要性をよりわかりやすくしたものだ、とされています。だから在韓米軍はこの地図をよく使うようになったし、韓国メディアはこの地図を警戒しているわけです。今回の高市早苗総理の台湾関連発言と、それに関する韓国側の世論を見れば、韓国側がこの「視点」をどれだけ警戒しているのか、よくわかります。




ソース記事は、この地図と、ザビエルブランソン司令官が追加したいくつかの印が、在韓米軍は、すでに「米国の防衛圏内に布陣している戦力」の一部であることを意味する、としています。当然ではないか、と思われる内容ですが、韓国では在韓米軍を「(北朝鮮に対するだけの)韓国専守防衛」のための戦力だと見ています。ちなみに、7年前に在日米軍の基地を訪れたことのある安保専門家は、「すでに7年前から、在日米軍はこの『イーストアップ地図』を使っていた」と話しています。なんか、防衛ラインの中に入れたら入れたで「なんで防衛ラインに入れるのか」と騒ぐし、外せば外したで「新しいアチソンラインだ」と騒ぐ、いつもの姿でもあります。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・彼は「東を上にしての地図によるアプローチは、伝統的な地図方式では隠れてしまっていた、インド太平洋における(米国と同盟国間の)戦略的関係と優位を明らかにする」と話した。これは「地図は客観的真実ではなく権力の談論である」という地政学的命題に忠実な説明だ。ブランソン司令官の言葉のように、上下逆になった東アジア地図は、日本が中国の海洋進出をどれだけ効果的に封鎖できるかを、視覚的によく示している。日本の本島4つと、それから台湾まで続く列島が、弓の形を描き、中国を東シナ海の中に閉じ込めている。中国艦隊が太平洋に出るには、細かく存在する日本の島々と台湾の軍事的なモニタリング網を通過しなければならない。




ロシアも、ウラジオストクから太平洋に進出するには、南の対馬海峡や北のラペルージュ海峡(サハリンー北海道)を通過しなければならない。そうして、東シナ海と日本海は、事実上、東アジアの地中海になるわけだ。ブランソンの地図でさらに特記すべき点は、在韓米軍平沢基地(キャンプハンフリース)を中心に、北京と平壌、東京、台北、マニラなどへの距離を放射状の点線で描いたものだ。これは単に地図を裏返した水準を越えて、米国の地政学の見方を露骨に表わす・・

・・ブランソン司令官からのメッセージは明確だ。彼は「朝鮮半島に既に配置されている軍隊は、(有事の際に)補強が必要な遠距離資産ではなく、危機や緊急事態時に米国が突破しなければならない防御圏の内部にすでに布陣された兵力」とした。これを「在韓米軍の減縮に反対するわけだからいい」と思うわけにはいかない。彼は「視点の転換は、韓国が自然な戦略的軸としての役割を強調する」と指摘した。それとともに、キャンプ・ハンフリースから平壌まで158マイル、北京は612マイル、ウラジオストクは500マイルしか離れていないという。それよりもはるかに近い中国主要軍港などは距離表記が省略された・・

・・実は、米軍が東アジア地図を上下逆にしたのは、しばらく前からだ。ある安保専門家は、約7年前に在日米軍基地を訪問した時にも、似た地図を見たことがあると、経験を紹介し、「前からのアメリカの構想」とした。それだけではない。日本政府も防衛省・自衛隊ホームページに、この上下逆の東アジア地図を掲載するなど、米国の対中戦略に密着している事実が明らかになった。もしブランソン司令官の言葉のように、韓国が肯定的な意味で「戦略的軸」ならば、日本が使うはずのない地図だ(ノーカットニュース)・・>>

 

引用部分の最後、「戦略的な軸」というのは、司令官が在韓米軍、米韓同盟の重要さを説明する時によく使うフレーズで、今回の地図の説明にも同じ言葉を用いましたが・・なんでこれが「韓国にとって肯定的なものなら、日本がその地図を使うはずがない」になるのでしょうか。記事はこの文章についてはこれ以上説明がないので、不確かな読み方ではありますが・・日本が使うから韓国にとって肯定的なものではない、と思っているのでしょうか。それとも、「結局得をするのは日本」という意味でしょうか。もしそうなら、この文章こそが、「日米韓3国安保協力」のすべてを物語っているのかもしれません。

 




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