最近よく話題になる、「在韓米軍の役割拡大」。いくつかの表現があり、「現代化」などと書く場合もありますが、結局は「在韓米軍を北朝鮮だけでなく域内のすべてのリスク(中国)にも対応させる」という話です。これは韓国では「応じてはならないこと」としています。これは基本的に(もちろん例外はありますが)ほぼすべてのメディアに共通する内容で、これといって左右にも差はありません。19日に紹介した「発進基地になるわけにはいかない」という保守メディア東亜日報の社説などがそうです。で、韓国側がこだわっているのは、「在韓米軍は北朝鮮に対応するためのもので、それすなわち韓国の専守防衛のためのもの」ですが、これ、言い換えれば、「北朝鮮問題さえ解決されると、在韓米軍が駐屯する理由はない」という意味にもなります(この部分は左右で認識の差がありますが)。
ちょうどこの流れに関する話があったので、今日チョイスしてみました。李在明大統領が、トルコへ向かう飛行機の中で記者たちに話した内容ですが、「南北で平和体制を構築できれば、米韓軍事演習はしなくてもいい」、「自主国防ができないとする人たちがいるが、それは誤解だ」、「米韓同盟と中韓協力は両立できる。どちらか『だけ』を取るべきではない」などです。ニュース1などが報じています。また、高市早苗首相の台湾関連発言についても、言及がありました。多分、韓国政府としてはこれが初めての発言だと思われます。「私たちは冷静に国益を求める」という内容で、どちら側にも傾かない、というものでした。昨日の午前にも書きましたが、こういうのが「中国が望む『中立』」ではないでしょうか。
使う単語をいくつか変えただけで、文在寅政権の方針と同じだとみていいでしょう。ただ、平和体制というものが具体的にどんなものなのかについては、言及がありませんでした。昨日の午前にもお伝えしましたが、ちょうと台湾関連で「陣営」としての側面が重視されている今、こんな発言をする理由は何でしょうか。やはり、「中国が願う中立」への渇望でしょうか。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・李在明大統領は、米韓連合軍事演習と関連して、「南北の間で平和体制がしっかり構築されれば、軍事演習はしないのが望ましいだろう」と話した。李大統領は23日(現地時間)、トルコに向かう空軍1号機で機内懇談会を開き、「北朝鮮が最も気にしているのが米韓連合軍事訓練だが、その部分について、私たちが先制的に訓練規模を縮小したり、延期したり、そのような動きを検討しようという主張も、一部にある」と述べた。李大統領は「長い観点で見れば、国防は私たち自らに責任があり、なるべく軍事訓練をしなくてもよい、戦わなくてもよい、戦う必要のない平和体制をしっかりと構築すれば、ドナルド・トランプ米大統領もあまり望まないし、お金がかかる合同軍事演習は、しないのがいいじゃないか」と話した。
続いて「大韓民国が北朝鮮国内総生産(GDP)の1.45倍に達する膨大な規模の国防費を、いま、支出しており、全世界軍事力5位と評価される国だが、それなのに戦時作戦統制権もなく、一部では、まるで外部の支援がなければ自己防衛もできないかのように誤解をしたりするが、こういうのは早く改善すべきだと私は見ている」と強調した。ただ李大統領は、「(軍事訓練中断を)今すぐ言うのは難しい。今の段階では簡単に話せない部分」、「状況と条件によって話すだろうし、あらかじめどんな方向にするのか予測して言いきるのは難しい」とした・・
・・(※現在、何の連絡も通じなくなっている北朝鮮と)李大統領は「それでも会話しようと努力し、続けて私たちの善意を伝え、疑われるならもう一度、一回だけ話すよりも二回話すのが良いだろう」としながら「相手が避けても、それを追い回りながら、声をかけ、話もしなければならない」と話した。それとともに「それをあきらめて強硬なだけの政策を続ければ、さらに状況は難しくなるだろう」とし「それほど忍耐心を持って、挑発をいくらでも制圧できるほどの国防力、抑止力を確保することを前提にして、その基盤の上で疎通し、対話し、説得して道を開くべきだ」と強調した。
李大統領は対米、対中関係については、「二つは、決して両立不可能なものではないと思われる」とし「国家と国家間の関係を、どちらかだけ選ぶという意味でオール・オア・ナッシング、全部でなければ全無だとか、そのようにアプローチすれば、結局はなにも残らなくなる」と話した。李大統領は「大韓民国外交の基本的原則は米韓同盟を根幹とするが、中国との関係は安定的にうまく管理するということだ。「根本は国益中心の実用外交といえる。その核心は、やはり大韓民国の軍事・安保各領域で自律性を拡大することだとし、「戦時作戦統制権を回復する問題もそうであり、原子力潜水艦を建造する問題もそうだ」とした。
続いて「米国の立場では中国を適切に牽制しながらも一方では協力する分野を探し、積極的に協力しているのがまた現実だ。国と国家の関係はもともとそのようなものだ。日本と中国が今、日本首相の発言をめぐってかなり葛藤が大きくなってい、続いているというが、私たちの立場では、現在の状況を冷徹に見守って、私たちの国益が最大化されるように最善を尽くさなければならないと思う」と話した(ニュース1)・・>> 今日の更新はこれだけです。次の更新は、明日(26日)の11時頃になります。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。