さて、今日も順調に(?)ニュース欄を埋め尽くしている、韓国メディアの「日中対立」関連記事。記事本文の流れは何の変化もなく、いままで紹介した通りです。一つずつ取り上げるとキリがなさそうで、いくつかまとめてみます(といいつつ並べるだけ)。まず、珍しく地上波放送のMBC(24日)が、「中国は『出口戦略』に悩んでいるのではないか」という題で記事を載せました。上げた拳を下ろすにはどうすればいいのかを考えており、実は中国こそ「次のカード」がないのではないか、という内容です。短い記事ですが、韓国メディアとしては珍しい記事です。また、中国官営メディア「グローバルタイムズ」と「人民日報」に、韓国政府を称賛する記事と(ニューシース25日)、駐中国韓国大使が「中韓関係の未来を楽観している」と話す記事(国民日報25日)も載った、とのことでして。官営メディアということは、中国政府からの「称賛」(褒めて遣わすノリ?)が続いているわけです。
まずMBCの記事内容ですが、これは外国の専門家からも同じ指摘が出ていて、ついこの前にもウォール・ストリート・ジャーナルが「高市首相は動かない、支持率も高い。就任1ヶ月で米中の首脳に強烈な印象を残したことになる」と記事を載せたりしました。私が読んだ、いくつかの同じ趣旨の記事の内容だと、「高市早苗首相がこれといった反応を示していないし、支持率は高いし、日本側が大きな影響を受けるのかというと(いまのところは)それほどでもないし、レアアース関連は前回の米中首脳会談で解除したばかりなので何かの輸出措置を行うのは難しいだろうし、逆効果(レアアース関連での脱中国現象を促進させる結果になりうる)もあるだろう」などなどです。以下、各紙の記事を<<~>>で引用してみます。
<<・・「言うべきことは言うと微動だにしない高市、出口戦略になやむ中国?」(※題)。中国李強総理と会えなかったままG20日程を終えた高市首相は、対話の扉が開かれているが、発言撤回には応じなかった。【高市早苗 日本首相 「当然、我が国として主張すべきことは主張していくことが重要です」】。中国が毎日のように発言の取り消しを要求しているけど、状況を原点に戻したわけです。さらに、G20国家代表たちの前で、中国の希土類(※レアアース)独占を迂回的に批判しました。【高市早苗 日本首相(G20首脳会議にて「主要鉱物輸出管理に国際社会の懸念が高まっています。サプライチェーンの過度な集中を避けて・・」】。
今回のG20会議に、最初から中国語通訳が同行しなかったという言葉まで出てきており、そもそも中国代表に会うつもりがなかったのではないかという分析も出てきます。高市首相の強烈な態度の背後には、圧倒的な支持率があります。先週末のアンケート調査の結果、内閣支持率は72%。特に対中外交に対して肯定評価が56%に達し、20代から50代まで高い支持を受けました・・・・上海のシンクタンクは「中国の抗議は主に言葉だけで終わり、実際の強力な行動につながっていない」と指摘し、米国メディアは「米国と貿易戦争休戦に入ったばかりの中国が、希土類関連の強力な措置を実行することは容易ではないだろう」と見通しました。
「希土類カード」を使うと、むしろ他の国々が代替供給源の発掘に力を合わせるだろうということです。今日も中国は「発言撤回なしで対話意思があるというのは偽善」と批判したものの、次の措置ではなく、既存の立場の繰り返しにとどまりました・・・・中国の一部でも、経済が振るわない中、世論の支持も期待以下の状況で、希土類関連措置を使うと、ブーメランになるリスクを無視できないだろう、という予想が少しずつ出ています(MBC)・・>>
<<・・李在明大統領が最近、中国との協力拡大の意志を明らかにし、早急な中国訪問の期待を示したことで、中国の専門家たちは「日本とは異なる外交路線」と肯定的に評価した。一方、高市早苗 日本首相が台湾問題を取り上げ、有事の際の介入の可能性を示唆したこととは極めて明確な対照をなすという分析も出た。25日、中国官営グローバルタイムズは、「李在明大統領が南アフリカ共和国で開かれた主要20カ国(G20)首脳会議の期間、李強中国国務院総理との会談で「早急な北京訪問」を希望した。
上海対外経済貿易大学韓半島研究センターの詹徳斌 所長はこのメディアに、「李大統領の訪中意志は、両国協力を通じた関係の格上げ意志を反映したもの」とし「中韓関係の回復は経済・貿易協力需要と地域安全保障に対する共同認識に基づく合理的選択」と明らかにした。彼はまた「李大統領と高市日本首相は、共に新任指導者だが、対中外交方式は明らかに異なる」と評価した(ニューシース)・・>>
<<・・盧載憲 駐中韓国大使(※中国との外交関係を樹立した盧泰愚大統領の息子です)が中国人民日報とインタビューを持って、中韓関係の未来に対する期待を表わした。盧大使は25日に公開された人民日報インタビューで「韓国と中国は長い間、友好交流を続けており、現実的な利益が緊密につながっており、お互いに重要な隣人であり協力パートナー」とし、中韓の戦略的コミュニケーションの強化と企業間の好恵協力促進、国民間の感情的共感の向上などに力を入れたという・・
・・中国共産党機関誌である人民日報が平日大使インタビューを地面に載せたのは、2019年8月の張夏成 当時の大使以来、6年余りだ。2019年の張元大使のインタビューが人民日報海外版8面に掲載されたのと比べると、同日の盧大使のインタビューは国内版3面に載せられ、格がやや上がった。李在明政府発足以後、改善されている中韓関係が反映されたものと見られる(国民日報)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。