韓国政府「朝鮮半島の問題に、米国の承認を待つ必要はない」・・北朝鮮問題で脱「米国依存」を示唆

昨日も、李在明大統領の「南北の間で平和体制がしっかり構築されれば、軍事演習はしないのが望ましいだろう」、「一部では、まるで外部の支援がなければ自己防衛もできないかのように誤解をしたりするが、こういうのは早く改善すべきだと私は見ている」、「大韓民国外交の基本的原則は米韓同盟を根幹とするが、中国との関係は安定的にうまく管理することができる」、「根本は国益中心の実用外交といえる。その核心は、やはり大韓民国の軍事・安保各領域で自律性を拡大することだ」などなどの発言をお伝えしましたが、その翌日、韓国政府(統一部)が「北朝鮮問題で、米国依存を減らすべきだ」という趣旨を公言しました。

基本的には、米韓軍事演習などを、米国の「承認」を待たずに、韓国だけで規模の減縮などを決めることができる、そうなるべきだ、という話になります。金大中政権だったとき、実際にそんなことがあった、とも。ザ・ファクト(26日)などが報じています。文在寅政権のときも、韓国側の要請で規模が大幅に縮小、実際の訓練ではなくコンピューターシミュレーションなどで訓練を行っていました。だから別に「できない」というわけではないと思いますが、政府レベルでここまで公言する必要があるのでしょうか。まるで、国内でも米国でもなく、北朝鮮(中国陣営)に対して言っているようです。




で、その金大中政権で「米国の顔色を気にせずに決めたこと」というのは、金剛山観光のための船の出向タイミングです。当時、(米国側は賛同していない案件なだけに)訪日中だったクリントン大統領が訪韓してから、その後に始めたほうがいいという意見が多かったけど、金大中大統領は強行し、そして成功させた、と。でも、金剛山観光ってあれ、「成功」だったのでしょうか。結局は中断されたし、韓国側が所有する部分も回収できていない状態だと聞きますが。また、記事は政府がケビン・キム駐韓米国大使代理に「韓国がペースメーカー(※ある分野での先導者、リーダー)になる」と話した、とのことですが・・これもまた、結局は文政権の「運転者になる」という運転者論(文在寅大統領が米朝を『乗せて運転する』という意味)となにが違うのか、気になります。

あれも、成功したとは言えない政策ですが・・盧武鉉政権の「実用(盧武鉉政権のバランサー外交の正式名称は「均衡実用外交」です)」を持ち出したこともそうですが、金大中政権の金剛山観光、文在寅政権の運転者論・・単語を少し変えただけで、同じものを繰り返している韓国政府。というか、閣僚も多くは当時の人たちですし。ひょっとすると、「今度はうまくいく」「前回もなにも問題なかったのに、日米側によって失敗しただけ」と考えているのかもしれません。以下、<<~>>で引用してみます。




<<・・「李大統領が米韓連合訓練調整の可能性を示唆した直後、米への対北朝鮮依存度を下げた『自己決定権』を強調、米朝会談の過程で対話のモメンタム確保という解釈も」(※見出し)。鄭東泳 統一部長官が、米国の承認を待っているだけの官僚的思考では、朝鮮半島問題を解決できないと明らかにした。時期上、李在明大統領が状況と条件による米韓連合軍事訓練調整の可能性を示唆した直後となる。鄭長官の発言は、米韓連合訓練調整も、(※韓国)政府の主導で決定できなければならないという意味だと思われる。これにより、来年3~4月と予想される米朝会談を考慮したという解釈が出ている。前に鄭長官は、米朝会談の実現のために米韓連合訓練調整が避けられないと明らかにしたことがある。

鄭長官は25日、ソウル・・・・で開催された「朝鮮半島平和経済未来ビジョン国際セミナー」で、「米国の承認と決裁を待つ官僚的な考えでは解決できないのが、朝鮮半島問題の特徴だ」とし、1988年11月18日に金大中政権を紹介した。鄭長官は「(ビル・クリントン)米国大統領は当時日本にいたし、クリントン米大統領が韓国に来た後に、金剛山観光の初めての出航日を延期させなければならないという意見があった」とし、「しかし、金大統領はすぐに出航を指示した」と説明した。この指示は、クリントン大統領が日本を離れる前に金剛山観光船が北朝鮮側まで行かなければならないということだった。鄭長官はこれを通じて金剛山観光が成功することになったとし、「これが私たちを中心とした、自己決定権というものである」と強調した。時には(※韓国)政府主導による対北朝鮮政策が、南北関係を変えるきっかけになるという意味だ。

情勢によって訓練の調整(※減縮、延期、キャンセルなど)が流動的になる可能性がある、という解釈だが、鄭長官も米韓連合訓練調整の必要性を何度も提起してきた。鄭長官は8日にも米朝会談が実現されるためには米韓連合訓練調整が避けられないと明らかにした。これにより、この日の発言も訓練調整を念頭に置いたのではないかという観測だ・・・・統一部によると、鄭長官はケビン・キム駐韓米国大使代理に、慶州アジア太平洋経済協力体(APEC)首脳会議をきっかけに米朝間の対話を開いていく機会の窓が開かれたと明らかにした(※トランプ大統領が前から米朝会談を望むと言ってきたのは事実ですが、APECではなにもありませんでした)。続いて、米中首脳会談が来年4月に予定されているだけに、今後が重要な時間だと評価した。また、米朝首脳会談の実現に向け、韓国政府がペースメーカーとしての努力を強化していくと述べた(ザ・ファクト)・・>>




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
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