韓国専門家「高市早苗首相が日韓通貨スワップを延長しなかったら、どうなるのか」

韓国メディアは、「日本が米国に後頭部をたたかれた」などの記事でいっぱいになっています。ウォール・ストリート・ジャーナルなどが、トランプ大統領が高市早苗首相との電話会談で、台湾関連言及を自制してくれるように要請した、と報じたからです。公式見解ではありません(メディアの取材によるもの)が、もし本当なら、どれくらいの水位での発言だったのかは気になりますが・・武器取引とか、上院で台湾との交流制限を解除する法案が可決されるなど、米国が台湾問題において基本スタンスを変えたとは思えないのが近況ですが、そこまで書かれている内容の記事はありません。もちろん、いつでも電話してほしいという発言についても、ごく一部の記事しか、報じていません。そんなところです。

とはいえ、何度も同じ内容が続いたので、少しでも別の内容のものはないのかと検索していたら・・10月26日の週刊朝鮮(朝鮮日報の週刊紙)の記事がヒットしたので、ちょっと取り上げてみたいと思います。前にも何度か紹介したことがありますが、パシフィック21というシンクタンクのユミンホ所長の寄稿記事で、韓国では「もんのすごく」めずらしい観点を書く人の見解になります。記事の内容は、高市早苗首相の誕生を、韓国では「右側の政治家」としか報じていないけど、それは戦後80年を覆る革命的な事件であり、日本に大きな変化をもたらすはずで、その影響を強く受けるのが韓国になるだろうに、誰もそこまで考えていない、というものです。以下、<<~>>で引用してみます。




<<・・(※記事時点で、ノーベル賞や高市さんのことなどで、日本の1ヶ月間の号外の数が終戦のときを超えたという話の後に)高市首相は、号外が多いことで有名な日本でもっとも注目されるニュースメーカーだ。安倍晋三からつながる政治家であり、初めての女性首相だ。筆者(※パシフィック21のユミンホ所長)の個人的な考えだが、日本が急変する場合、朝鮮半島は東京発変化の第1線の影響圏に入るようになる。良いかどうかはともかく、日本の変化はそのまま朝鮮半島の変化に進む・・・・アジアで米国と西欧の変化に対して一番先に対応した国は日本で、最も遅かったのが中国だ。

近・現代の朝鮮半島で、ほとんどの我が国の指導者たちは、世界の流れを「いや、まさか」で対処してきた・・・・世界の変化を実感した日本を通じて、しばらく後になって、それを理解できたわけだ。あまりにもかなしい現実だが、世界の変化に鈍感な「大院君の世界観」は、21世紀に入った今も変わっていない。リアルタイムのニュースが伝わるインターネット時代でも、コトが眼の前に迫る前まで「いや、まさか」と言うのが、私たちの日常である。




私の個人的な判断だが、高市首相の登場は戦後80年を覆す革命的事件だ。日本だけでなくアジアと世界全体に影響を与える大事件だ。韓国メディアが照明する「右翼政治家」にとどまるほどの変化ではない。戦後80年間続いてきた日本のすべての領域を180度変えながら「ジャパンファースト」で武装した日本版ドナルド・トランプがまさに高市だ・・・・日本にはソフトパワーがある。貿易関連措置や有事の際のような「ハードパワー」の変化がすべてではない。数値上で見ると韓国が先行することも多いが、具体的な運用や現場体験で見ると、日本はマンガやアニメだけでなく、外交・経済のソフトパワー強国だ。

代表的な事例は、日本発通貨スワップだ。日韓通貨スワップが締結されていて、来年上半期に契約が終わる見通しだが、現在としては延長可否が不確実である。わずか100億ドルだと思われるかもしれないが、象徴的な意味が大きい。日本政府発通貨スワップが存在する場合、日本と西方金融会社も韓国経済を信頼できる。日本政府発通貨スワップがないということは、西側金融会社の不信とともに実質融資の金利が上がる根拠になる。

もし来年に日本政府が通貨スワップを延長せず、または縮小した場合、どのようなことが起きるだろうか。現在、韓国の対日短期債務規模は約1500億ドルに達する。短期債務とは、3ヶ月、6ヶ月、1年以下の急性金融取引を意味する。もし来年に日韓通貨スワップが完全に消えたら、どんな状況が起きるだろうか。想像したくないが、途方もない経済的悲劇が起きるだろう。まずは、1500億ドルに達する日本発短期債務が不安になる。

最近の李在明大統領の「対日スマイル」政策を、不思議に思う人が多いようだ。実用外交と呼べなくもないが、もうすぐ押し寄せるかもしれない日本のソフトパワーという現実が、その背景があると見ればいいだろう・・・・筆者の判断だが、すでに外国為替不安は始まっている。1990年に比べるとその速度が緩やかだという点だけ異なり、同様の流れだ。結論だが、2026年上半期に決定される日本発通貨スワップ存続がどうなるかが、経済に決定打になる可能性がある。当然だが、高市のジャパンファーストが韓国とぶつかる場合、通貨スワップ延長も難しくなる可能性がある(週刊朝鮮)・・>>

 

ソース記事は「3つの影響」について書いていて、引用部分が「その1」です。「その2」と「その3」はちょっと区切りがわからないので、自分なりにまとめると、次のような内容です。まず、「李在明大統領は『コリアファースト』を韓国だけで突っ走るものだと思っているけど、高市首相の『ジャパンファースト』は日米同盟を根幹とするもので、そこから日米韓協力という概念がどんどん弱くなる可能性が高い」という話。これは安保だけでなく、エネルギー関連(中国製の太陽光パネルを使うなど)などでも同じです。李大統領は再生可能エネルギーに力を注いでいますので。

また、「日本世論が高市首相を強く支持している」こと。先も書きましたが「韓国での世論とのズレ」がどんどん大きくなるだろう、と。内閣人事も「右側」で、これが日韓両国のズレを強くするだろう、などなどです。特に記事は、小野田紀美経済安全保障担当大臣のことで、韓国世論との認識のズレが強くなる(韓国では批判されるけど、日本内では人気が高くなる)だろうとしています。しかし、なんか「通貨スワップもう延長できない」が話の前提になっている気がして、ちょっと笑ってしまいました。

 




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
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