昨日、韓国の一部のメディアが、「日本が中国に対してフォトレジスト輸出を停止した。公式発表はないけど、具体的に企業名まで出ていて、外国メディアたちが報じている」という記事を出しました。韓国経済、アジア経済などです。で、早めに結論から書きますと、今の時点では、確実な情報ソースを見つけることはできませんでした。両紙ともにソースとして「1日のアジアタイムズ(香港拠点のメディア)などの外国メディア」としていますが、アジアタイムズを調べたところ1日にはそういう記事はなく、11月27日の記事がありましたが、「確かに懸念される内容ではあるが、未確認の話である」という内容でした。アジアタイムズ11月27日「Rumored Japan photoresist ban sparks China’s worst fears」という記事でした。
唯一、中国関連メディア(米国拠点)のビジョンタイムズというメディアが関連記事を出していました。そこにはこう書いてありました。「国内業界メディアは、『キヤノン、ニコン、住友化学の3社は共同で中国本土への主要フォトレジスト材料の供給を停止し、露光装置の保守サービスも停止した』と報じた。一部のネットユーザーは、『日本は中国におけるリソグラフィーとフォトレジスト事業をすべて撤退させ、中国はパンダ2頭を日本から撤退させた』とジョークを飛ばした」。キヤノンやニコンがフォトレジストおよびその素材を輸出していたのかな・・というのはよくわかりませんが、本当かどうかはともかく、確かに「そういう話」があるのは事実のようです。
私の検索スキルの問題かもしれませんが、大手メディアの記事はヒットしませんでした。「日本としてはそういうカードもある」的な話が、SNSなどを通じてちょっと誇張されて広がったのではないか、そんな気がしますが、どうでしょうか。ただ、個人的に、「今の時点では、このくらいが日本にとっては良いかもしれない」と思いました。なにも公式発表などないのに、相手側が、勝手にこの件を強く気にしているからです。そこで、あくまで「中国のネットで、こんな話が広がっている」という趣旨で、ビジョンタイムズの関連記事その1,関連記事その2から、どういう話が出ているのかを紹介したいと思います。以下、<<~>>が引用部分です。繰り返しになりますが、「本当に日本が対中輸出を制限しているのか?」については、いまのところフォトレジスト輸出を制限したという確実なソース情報は見つかっていません。こう報じているメディアもある、中国でこんな話が広がっているという、そんなレベルでお読みください。
<<・・あるブロガーの分析によると、最先端の半導体チップの製造に不可欠なEUVフォトレジストなど、世界のハイエンド・フォトレジスト市場の90%以上を、一握りの日本企業が占めている。中国では、主流の半導体チップ製造に使用されるKrFおよびArFフォトレジストの90%以上が日本からの輸入となっている。そのブロガーは、もし日本が実際に中国へのフォトレジストの「首を◯る」ような制限を実施した場合、スマートフォンから人工知能に至るまで中国の製造業は「炊く米がない」ジレンマに直面する可能性があると指摘した・・・・これは決して軽視できる問題ではない。世界のフォトレジストの70%以上は日本のものであり、7nm以下のチップに使用されるEUVフォトレジストに関しては、日本が100%を供給している。つまり、中国のハイエンドチップ材料の90%は日本に依存しているわけだ・・
・・2025年11月19日、日本のキヤノンと三菱ケミカルは中国のハイテク企業への主要なフォトレジスト消耗品の供給を停止し、サービスチームを撤退させ、中国での関連修理サービスを停止したため、一部の生産ラインに影響が出る可能性がある。2025年11月、日本の経済産業省は、高性能ArF/EUVフォトレジストを含む12種類の中核半導体材料を輸出管理リストに掲載し、中国企業42社への供給を制限した。具体的には、東京応化工業や信越化学などの日本企業は、一部の中国顧客へのフォトレジスト原料の納入を停止した。国内業界メディアは「キヤノン、ニコン、住友化学の3社は共同で中国本土への主要フォトレジスト材料の供給を停止し、露光装置の保守サービスも停止した」と報じた・・
・・(※中国が行っている観光制限についても)日本企業は、台湾人観光客の秩序ある、友好的な、そして一貫した消費行動を特に高く評価している。一部の日本企業は、中国人観光客の減少が収益に影響したものの、台湾人旅行者の支持は本当に心強いと述べた。地方自治体も台湾市場を積極的にターゲットとし、繁体字中国語ガイドの提供や台湾特化型のプロモーション、さらには台湾でのプロモーション活動など、誠意ある対応を示した。
要するに、中国は「自らの足を撃った」のであり、日本を怒らせ、フォトレジスト供給問題に直面している。しかも、外交上の混乱にもかかわらず、裕福な中国人は日本への旅行を続けているし、日台関係は強化された。「正しき道を歩む者は助かり、正しき道から逸する者は助からない」という古い格言が、まさにこの状況を言ったものだ(ビジョンタイムズ記事1)・・>>
<<・・観光をめぐる議論の中で、半導体の話題は薄れるどころか、むしろ鮮明になった。日本が制限したのは、中国の半導体製造エコシステムの些細な構成要素ではなく、システム全体をまとめる重要な要となるものだった。中国のアナリストでさえ、構造的な現実を認識している。フォトレジストの代替は3年や5年でできる仕事ではない。これは世代を超えた課題であり、中国がまだ構築していないレベルの基礎科学インフラを必要とする。そして今回、それに関する問題が、ワシントンからではなく、東京から来たわけだ。中国は自ら認めている以上に、東京の協力に頼ってきたにもかかわらず。中国政府は、今後も警告を発し続け、国家主義的な言説であおり、国民に外出自粛を促し続けるかもしれない。
しかし、そのどれもが、中国の半導体産業への野望の根底にある現実を変えることはできない。日本によって、中国全土の製造ラインが停止する可能性があるのだ。技術格差を埋めるために数千億ドルを投資している国にとって、このメッセージは厳粛であり、かつ明白であろう(ビジョンタイムズ記事その2)・・>> 今日の更新はこれだけです。次の更新は明日、3日の11時頃になります。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。