外国メディア、李在明大統領に「(日中対立で)公開的に日本を支持できますか」、「台湾の有事の際にはどうする予定ですか」と質問

外国メディアの記者が、李在明大統領に「(最近の日中対立のことで)日本を公開的に支持することができますか」、「台湾の有事の際に、なにをどうするつもりですか」と質問しました。個人的に、もうこれ以上の質問があるのだろうか、としか思えないウルトラスーパーデラックスレナカワイイ的なナイス質問です。ちなみに、尹錫悦大統領が出した戒厳令騒ぎから1年が経ったということで、記念会見がありました。それを耐え抜いた韓国民にはノーベル平和賞の資格があるとか、そんな話がいろいろでましたが、これは外国メディアを対象にした記者会見での質問になります。ソース記事のYTNが、李大統領の答弁を全文掲載しているので、紹介したいと思います。

で、結論はどういうものかと言いますと・・もうタイトルでお気づきの方も多いでしょうけど、「私たちはどちらの味方もしない」で、台湾の有事の際にどうするのかについては言及しませんでした。つい1ヶ月半前、慶州で開かれたAPECで、米韓、日米韓安保協力について友好的な態度を示していた李大統領ですが、結局今回の「公言」は、「日本を支持するわけにはいかない」「なにもしない」というものでした。本ブログで何度も取り上げましたが、「中国が望む形での中立」そのままだと言えるでしょう。中国のいう中立とは、実は圧力によるもので、韓国のような立場の場合、単に中立を語るだけでも、それは「日米から離れる(既存のバランスを変更することになる)」ものである、と。




米国のシンクタンク「ハドソン研究所」のケネス・ワインスタイン日本部長のインタビューが載りました。彼は中国の意図を、「日本を『中立国化』させること」だとしています。「中立政策といっても、実は大国の圧力によるもの」としており、首相が譲歩する必要はない、とも(11月24日時事通信社の記事より)。この「中立」という単語、なにかあればすぐ出てきます。バイデン政権だった頃には半導体関連でも似たような話が出ていて、「半導体などにおいては私たちは中立地帯だ」「同盟という義理だけでどうにかなるわけではない」とか、そんな話が盛り上がっていました。文在寅政権のときにも、北朝鮮との関係に関して、米国側でこの言葉が盛り上がったことがあります(2021年4月30日ニューシースなど)。「中立国ということは、すなわち米国の同盟国ではないという意味になる」という趣旨です。それでは、まずYTNから大統領の発言だけ引用します・・が、ちょっと短すぎるので、2021年のニューシースの記事も合わせて、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・(※李在明大統領は、日中が強く対立しているこのような状況において、日本に対する支持を公開的に言及することができるのか、そして、台湾の有事の際に、韓国政府はどうするかについてお聞きしますという質問に対して)大韓民国のことわざに、喧嘩は止めて、値段の交渉は勧めろというものがあります(※どんな理由だろうと喧嘩は止めたほうが、交渉は勧めたほうが良い結果になるという意味)。日本と中国が葛藤を経験しているが、私たちがどちらかの肩を持つとか、そんなことをすると、その葛藤を強くする要因になってしまいます。個人間の関係も、国家間の関係も同じですが、できるだけ共存し、尊重し、協力することが望ましいです。




特に、北東アジアは経済的に非常に活力がありますが、また軍事、安全保障の面では非常にリスクの高い地域です。 このような地域ほど、共通点を見つけるために努力して、協力する部分を最大限に見つけて、協力することが望ましいと思います。どちらかだけを持ち上げるのではなく、みんなが共存できる何かを探すようにし、また可能な領域があるならば、私たちとしても葛藤を最小化し、仲裁、調整できる部分があれば、その部分の役割をするのがより望ましいと思います(YTN)・・>>

 

<<・・(※2021年「中立」関連記事)文在寅大統領がバイデン米大統領に米朝対話の再開を促している中、米国の専門家たちの間では、韓国はまるで中立国のように振る舞っているとし、同盟である米国を過度に圧迫しているとの批判が高まっていると、ボイス・オブ・アメリカが30日、報道した・・・・マイケル・オヘンロン ブルッキングス研究所上級研究員は、VOAに「韓国の仲裁は、中立の役割、中間にいる者の立場を示唆している」、「それが役に立つか疑問だ」と述べた。

何よりも、「米国と韓国は同盟だから」というのがその理由だ。エヴァンス・リビア元国務省アジア太平洋担当首席副次官補は、韓国がいくら米朝の仲介の役割をしようとしても、北朝鮮は依然として韓国を米国の同盟だと批判しているとし、「北朝鮮は韓米関係を引き離そうとしているのに、韓国政府が米朝の間の公平な役割を示唆する仲裁者を自認するなら、それは北朝鮮に弄ばれているという指摘を受けるしかない」とした。

ニコラス・エバースタート米国企業研究所(AEI)研究員は、「これは、すでに盧武鉉大統領の在任当時にも経験した、根本的に問題のある戦略だ」、「この概念の根本的な問題は、韓国を破壊することに専念する体制と韓国を守るために専念する同盟の間で、韓国が仲介を主張しているという点だ」、「もし韓国が米国と同盟を結びたくないなら、それでいいだろう。しかし、大統領府が同盟を相手にこのような方法を推進するのはありえない」、「そのようなアプローチは、同盟を摩耗させ、最終的には、米国が介入しない南北間の衝突につながるだろう」、「それが北朝鮮の長年の政策目標なのに、韓国がなぜそれを自国の目標にするのか分からない」と述べた(ニューシース2021年4月30日)・・>>

 




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
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   ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。