韓国では、台湾関連ニュースが急増しました。例えば昨日の午後までは、多くのメディアが「いつもの」反応でした。米国はもはや台湾問題を重視していないとか、日本は後頭部をたたかれたとか、そんな内容です。「部分的に、そういう見方をする」くらいなら別にいいかもしれませんが、あまりにも多くの記事がこれら「韓国が望む状況」を土台とした見解ばかりを述べるから、ニュースチェックしながらも、乾いた笑いしか出ませんでした。これは別に国内メディアだけでなく、例えばウォール・ストリート・ジャーナルなども「米国は興味を無くした、台湾大ピンチだ」という記事を載せたとのことです(原文未チェック、ニューシース12月3日の引用記事の情報です。この前とは別の記者です)。
ですが、米国議会が台湾保証実行法を全会一致で採択、トランプ大統領が署名してから、わずか数時間で各記事の書き方がカラッと変わりました。地域の利益に沿わないものだ、米国の法案により地政学的リスクが発生する、そんな書き方になりました。日中対立関連ニュースでも、多くの韓国メディアが「これは日本の国益にならない、日本内部でもそう言っている」と無数に記事を出しましたが、今回は地域(域内)の利益がどうとか、と。いつからそんなに日本や域内の利益を心配するようになったのでしょうか。読んでみると大まかに似たような内容ばかりですが・・その中に、台湾側が韓国の電子入国申告での国籍表記に遺憾を表明したというニュースがあったので、そちらを取り上げてみます。
どうやら、国籍表記が「中国(台湾)」になっていて、何度も台湾側から訂正してほしいという要請があった、とのことでして。今回、韓国を旅行した台湾人から同じ苦情があって、またもや同じことを要請しましたが、「肯定的な返事はなかった」、と。ヘラルド経済(4日)などが報じています。一つ前のエントリーでも、尹錫悦大統領が台湾を訪問した後に訪韓したナンシー・ペロシ(当時)議長と面談しなかった話を少し掘り返してみましたが、ついこの前にも、韓国慶州で開かれたAPECにて、台湾代表団の儀典に関する問題がありました。韓国政府は、「外交関係がない」などの理由で、台湾代表団に「中央公務員による空港での出迎えを行わない」と通知し、台湾代表団はこの措置に抗議、結局は中央公務員による出迎えが行われた、とのことです。
その過程で、台湾側は「私たちと同じ理念の国にも協力を求めた」、と話しています。台湾関連の表記などで「圧力」を感じているのは韓国だけでもないでしょうけど、韓国のスタンスは、どちらかというと、台湾という存在を重視するかしないかではなく、「関わる必要性そのものを感じない」ものに近いのではないか、そう思わずにはいられない今日この頃です。一つ前の法案の話に比べると、一つの案件でしかありませんが、結局はこういのが「積み上がったもの」が「関係」ですので。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・台湾の政府が、韓国の電子入国申告書(E-Arrival Card)に「中国(台湾)」と表記された項目を修正してほしいと公式要求した。該当表記が事実と異なり、台湾旅行客に混乱や不便を招くという理由からだ。台湾外交部は3日、声明を通じて「台湾旅行客の届出を通じて韓国電子入国申告書で出発地・次の目的地が「中国(台湾)」と表記された事実を確認した。外交部は駐韓台湾代表部を通じて韓国政府に何度も懸念を伝え、迅速な訂正を要請したが、これまで肯定的な答えがなかった」として遺憾を表明した。それと共に「韓国は台湾人の多くが旅行先として選んでいる国家であり、両側の友好関係を重要に考えている」としながらも、「しかし、現在の表記方式は明らかな錯誤だ」と強調した。
台湾側は「中華民国(台湾)は、中華人民共和国(中国)とは別の主権国家で、どちらかが隷属する関係ではない」と主権問題を再度強調した・・・・台湾の公式国号は中華民国だ。一方、中国は台湾を自国領土の一部とみなし、「中国台湾」という表現の使用を国際社会に求めてきた。グローバル企業が中国の圧力によって台湾を国家と表記しない事例も少なくない。台湾メディアは今回の事案が旅行客の実際の申告で明らかになっただけに「入国過程で混乱が大きくなる可能性がある」と韓国政府の早急な措置を求めている(ヘラルド経済)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。