韓国最高裁裁判官「このままでは三権分立が消えてしまいます」

韓国で、また「三権分立」が話題になっています。文在寅政権のとき、日本に関して「三権分立だから仕方ない」と、まるで「北斗三権は無敵だ」な主張を繰り広げていた韓国。いまも同じ政党が与党やっていますが、「必要があるから」という理由で三権分立とは相容れない法案を次々と展開しており、裁判所内部から「三権分立が消えてしまう」という指摘が出てきています。中央日報(6日、社説)などが報じています。「もともとなかったから消えるもなにも」と言ってしまえばそれだけな気もしますが、ある意味、「法は自分のためにある」(他の人達を制御するための力であるべきで、決して「私」を制御するためのものであってはならない)とする認識こそが、この件の核心でありましょう。といっても、政権交代すればまたその政権に有利に変わるでしょうけど。

日韓関係においてよく指摘されるものが、「日本は法律(条約など)を重視し、韓国は情緒(感情)を重視する」というのがあります。かなり控えめな表現ではありますが・・しかし実際は、「法律を『作る側』になりたい、『守る』側にはなりたくない」というのが本音であります。いつだったか、G7(G7拡大枠)になるという理由として「規則を守る側から、規則を作る側になるためだ」という主張を紹介したことがありますが、それも同じ心理だと言えるでしょう。結局は、相手を制御するための力が欲しいだけ、といったところです。今回の件も、そういうのがよく現れていると言えるでしょう。ちなみに、このような動きで大統領の支持率が下がっているとか、そんな話はありません。以下、<<~>>で引用してみます。




 

<<・・共に民主党が3日夜、国会法制司法委員会で「内乱専担裁判部」(※事実上、尹錫悦前大統領の裁判結果をより重くするための専門担当部署のことです)設置法案と、法歪曲罪を新設する刑法改正案を通過させた。両法案は、単なる政治案件の範囲を超えて、司法部の独立と存在理由を揺るがす事案である。昨日(5日)開かれた全国裁判所長会議でもこの問題が議論された。裁判所長たちは会議の後に報道資料を出して、「裁判の中立性と公正な裁判を受ける権利を本質的に揺るがすもので、違憲の可能性が大きい」とし「これにより裁判遅延など混乱が招き、深刻な懸念を表明する」という立場を明らかにした。

先立って、千大燁 裁判所行政処長(大法官)は3日、国会法使委で「1987年憲法の下で行われてきた三権分立、司法部独立が、消えることになる」と警告した。千処長は「特定個人や事件を対象とする、処分的法律が原則的に許されないない、処分的裁判部の構成も許されないというのが、先進司法の基本原則だ」と強調した。内乱事件のみ担当する裁判部を政権が設置し、人事にも介入する仕組みは、この原則と正面から衝突している・・




・・共に民主党が特別裁判部(※専門担当裁判部)にこだわるのは、結局、「自分たちの好みで」判事を選んで使うだめだという疑惑から、共に民主党は逃げられそうにない。野党側では、この法律が「尹錫悦前大統領の一審裁判長を別の人に変えるための法にすぎない」という批判も出ている。特定の判事が気に入らないからといって、法を作ってまで裁判チームを交代する慣行が固定されてしまったら、次にまたどんな「特別裁判部」が誕生するのか、想像もつかない。

「法歪曲の罪」も同じだ。この法律は、判事・検事と捜査機関の従事者たちが、意図的に法を誤って適用したり、事実関係を著しく誤って判断したときに、10年以下の懲役に処するようにしている。しかし、「法を誤って適用した」という基準は、どこからどこまでなのか。共に民主党は、非裁判官(※裁判官でない人たち)が多数を占める司法行政委員会に、裁判官人事権を引き渡す法案も発議した。このような一連の動きは「司法改革」ではなく、執権勢力が司法を統制するための試みにすぎない(中央日報)・・>>

 

11日のことですが、李在明大統領は就任100日記者会見で、「選出権力」が「任命権力」より上にある、と話したことがあります。「権力には序列がある」「選出権力(国会)は任命権力(裁判官など)より優先される」などの趣旨です。選出権力とは、選挙で国民から選ばれた人たちのことで、ここでは「国会」のことです(大統領もそうですけど)。任命権力とは、任命された裁判官などのことです。簡単に言うと、三権分立には序列がある、という意味になります。

当時、「三権分立は対等とするのが一般的な学会の見解」、「優越を乗り越えて、もはや全能になろうとしている」、「三権分立に序列があるのではなく、すべてが国民の権力を代行しているだけだ」などの批判がありましたが・・先も書きましたが、これで支持率が下がったとか、そんな結果にはなりませんでした。一時、ちょっとだけ大統領の支持率が低下したことがあって、この件が原因ではないのかという話もありましたが、それからすぐ回復でき、いまは支持率60%を超えています。

 




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
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   ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。