中国が韓国との暫定措置海域に設置した違法構造物、韓国政府は座標情報を米国側と共有せず

台湾とか在韓米軍とか、まだまだそんな話が続いていますが、じゃ、韓国の与党・メディアが主張しているように、本当に韓国は中国との関係をうまくコントロール出来ているのか、という側面を見てみたいと思います。本ブログでもお伝えしましたが、韓国は政府公式で「原子力潜水艦は北朝鮮に対応するためですよん」というスタンスですが、米国側からは「どうみてももっと広い範囲(中国とか)のためのもの」という主張は相次いでいます。韓国を訪問した海軍参謀総長も、在韓米軍司令官も、そして駐韓米国大使(代理)も、同じ趣旨の発言をしました。でも、「トランプ大統領台湾問題を重視していない」という内容の記事以外は、見つけるのが用意ではありません。これは、「それすなわち、トランプ政権は在韓米軍の役割拡大や原子力潜水艦の対中国運用などには興味がない」というミスリードを意識したものだと言えるでしょう。

先のケビン・キム駐韓米国大使代理が特にそうですが、米国側が懸念しているのは、黄海(韓国では西海とも言います)に中国が設置した構造物です。これ、韓国メディアでも「西海の違法構造物」などとよく記事が出ていたので、韓国関連ニュースに興味のある方なら、「あ、聞いたことある」という方も多いでしょう。中韓漁業協定において、中国と韓国にはPMZ、暫定措置水域というものがあります。協定により、この海域には「(臨時のものではなく)永久構造物は設置してはならない」となっていますが、中国はこの海域にすでに16個の構造物を設置しました。ソース記事(朝鮮日報、10日)は「13個の浮標(ブイ)としていますが、他にも3つの結構大きな施設もあり、16個です。ソース記事の画像からも確認できます。今回、これについて、戦略国際問題研究所(CSIS)がまた懸念を示しました。




この前、中国がいう中立国というのは、実は中国側に有利な意味での中立であるという趣旨(実は中立といえない状況なのに、圧力で黙らせて、まるで中立を保っているようにすること)を書きましたが、これもまた、実はグレー(合法とも違法とも言えない)ではないのに、圧力によってまるでグレー海域のようにすることで、この海域を事実上、中国の影響の下に置くためのことだ、とされています。で、韓国政府(尹大統領もそうでしたが、現・李在明政権も)どんな対応をしたのか、ですが・・一言で、なにもしていません。米国側の安保専門家たちからすると、当事国である韓国が声を上げてほしい、とったところですが。こういうのが、「実用」「国益」または「うまいコントロール」のことでしょうか。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・米国ワシントンDCの外交・安保シンクタンクである戦略国際問題研究所(CSIS)は9日公開した報告書で、「韓国と中国が2001年漁業協定により黄海に共同管理海域である暫定措置区域(PMZ)を設定したが、このような協定にもかかわらず、2018年以降、13個の浮標を設置した」とし「米国は中国の漸進的主権拡張(creeping sovereignty tactics)を、インド・太平洋同盟国に対する、別の灰色地帯(grey zone)戦術事例として規定しなければならない」とした。また、韓国は、その分析のために「中国構造物の座標を公開する方案を検討しなければならない」とした(※多分、把握はしているはずですが、米国側には明らかにしていないようです)。




米国の朝野では、中国が台湾海峡、南シナ海・東シナ海と同様に、黄海でも「内海化」を試みているという懸念が出ている・・・・中国の構造物は今後、軍事用に転用することができ、これを当該水域での領有権を主張する根拠とすることもできる。 CSISは「二重用途目的のための『民間』施設と、韓国船舶に対する中国の影響力行使は南シナ海・東シナ海の軍事化過程で中国が使用した戦術と類似している」と述べた。

最近公開されたトランプ政府の外交・安保・軍事分野の最上位指針である国家安保戦略(NSS)は、台湾海峡、南シナ海などでの国際規範遵守を強調しているが、ビクター・チャCSIS韓国部長は「NSSSが南シナ海に要求する内容は、黄海で航行の自由を維持するため・・・・特定国家の恣意的な閉鎖が行われないように、必要な抑止力とともに強力な措置を設けなければならない」とした。

これと関連するスティーブン・イエイツ ヘリテージ財団研究院は先月、本誌(※朝鮮日報)とのインタビューで、中国が黄海で駆使する戦術が、南シナ海に九段線を設定した手法と似ているとし、「韓国の生存は、海で国際規範が守られるかどうかにかかっている。いまこのゴールデンタイムを逃せば、黄海は南シナ海のようになるだろう」と話した。

ビクター・チャはこの日、本紙との通話で「座標があれば地理的な位置を把握でき、衛星写真も確保が可能だろう」、「私たちのような研究者たちには、座標が公開されれると本当に助かる」・・・・「そうすることで、何が起きているのかが把握できる」、「(黄海に関しては)そんな措置が行われていない」と話した。

彼は、黄海の状況と関連して「南シナ海で起きていたその状況について、遅くなるまで誰も真剣に思わなかった」、「中国の行動は韓国との協定に明らかに違反するものだ。現政権は、中国との関係に非常に敏感であるため、この問題を公開的に提起しようとはしないだろうが、いつの日か、中国が黄海に対する統制権を主張する事態が起きることは、誰も望んでいない」と述べた(朝鮮日報)・・>>

 




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
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