台湾外務省「韓国との関係を全面的に検討」・・「中国(台湾)」表記の影響

4日にもお伝えしましたが、韓国の電子入国申告での国籍表記に、台湾政府は公式に遺憾を表明しました。この電子入国申告、記事によって少しずつ時期が異なりますが、中央日報(10日)によると、2月から始まった制度だそうです。既存は国名などを「自分で書けば(記入すれば)いい」ものでしたが、デジタル化に伴い、いくつかの国・地域などから「選択する」ことになりました。すなわち、いままでは普通に台湾と書けばよかったものが、韓国側が用意した「中国(台湾)」という表記を選ぶしかなくなったわけです。そこで、韓国を訪問した台湾の人たちがこの件について問題を提起、政府が韓国側に修正を要求しましたが、韓国政府は応じないでいます。ちなみに、日本、米国、EUでの表記は「Taiwan」です。

この件、日本ではあまり聞かない話題ではありますが、台湾側の抗議は根強く、台湾外務省は9日、「韓国政府との関係を全面的に検討する」と話しました(朝鮮日報、10日)。4日に紹介したときにも「韓国政府に何度も話した」という内容があったので、表記そのものも問題ですが、韓国政府の対応(話し合おうとしていない?)についての不満かもしれません。「アジア民主人権賞」というイベントに参加していた台湾の頼清徳 総統が、またこの件について、「台湾の人たちの意志を尊重してほしい」と話しました。総統が自らこんな話をするのは、かなりの異例だ、とも。韓国政府はこのことについてこれといったコメントを出していません。以下、両紙から<<~>>で引用してみます。




<<・・新しい制度が施行される前は、外国人が紙の入国申告書を手記で作成し、入国審査時に提出する方式であり、国籍や出発地、国を作成者が自由に書くことができた。しかし、電子入国申告書は外国人が既に作成された国家リストから一つを選択する方式に変更され、ここに台湾が「China(Taiwan)」と表記されているのだ。現在、米国・ヨーロッパ・日本などは出入国申告書やビザ表記に台湾を「Taiwan」と書いている。台湾外交部は3日に報道資料を通じて「駐韓台湾代表部を通じて何度も深刻な懸念とともに迅速な修正を要請したが、これまで肯定的な答えがなくて遺憾である」と初めて公式的な抗議を表明した。

6日後の9日には、台湾外交部の劉薫浩 東アジア・太平洋国副局長が定例ブリーフィングで「韓国政府との関係を全面的に検討しており、実行可能な対応案を設けている」と話した。それとともに「台湾と韓国との貿易は、巨額の貿易赤字が存在する状況に注目している」とし「これは両国関係が相変らず非対称的なことを示す」とした。表記問題が、貿易問題にまで飛び火する可能性を示唆したのだ。台湾の政治権の反発はさらに強い。民主進歩党(与党)の鍾佳浜 幹事長(院内首席副代表格)は「国家尊厳に曖昧な妥協の空間はない」とし、韓国の態度が相互尊重を違反したと批判し、馬文君 国民党立法委員は「半導体のサプライチェーンと観光需要、大規模な貿易赤字などにおいて、台湾は弱い相手ではないことを示す実質的な戦略的措置に乗り出さなければならない」とした(朝鮮日報)・・>>




<<・・韓国の電子入国申告書(E-Arrival Card)に、台湾が「中国(台湾)」と表記されたことについて、台湾政府の抗議レベルがどんどん高くなっている。台湾外交部が「韓国との関係を全面的に検討する」と警告したことに続き、10日には賴清德台湾総統が直接出て韓国政府の措置を促した。韓国政府は現在までこれといった立場を出していない。10日(現地時間)、台湾中央通信によると、頼清徳 総統はこの日、ある公式行事(※アジア民主人権賞)で韓国側の対応について聞く取材陣の質問に「台湾と韓国は経済・貿易・民間交流が非常に密接だ」とし「こうした関係の中で韓国も台湾国民の意志を尊重してくれることを希望する」と話した。総統が韓国・台湾間の葛藤を直接取り上げるのは、異例である。

陳明祺 台湾外交部政務次長も「韓国は台湾から大きな貿易黒字を得ている」とし「このような状況で非友好的措置を取るのは適切ではない」と指摘した・・・・台湾外交部は3日、公式声明を通じて「事実と異なるだけでなく、台湾国民に混乱と不便を招く」と修正を要求した。駐韓台湾代表部が何度も問題を提起したが、「韓国政府の肯定的な回答をまだ受けていない」という。台湾の政治家たちは強く反発した。民進党の鍾佳濱 立法委員は「台湾の主権を尊重しなかった」と韓国政府を批判し、国民党の馬文君 立法委員も「戦略的反撃に乗り出さなければならない」と主張した。ただし、台湾社会内部では過度な対応について、懸念も存在する。台湾観光業界は「韓国観光客が年間100万人を超える」と両国関係を警戒し、「韓国への制裁は、現実的に大きな効果がないだろう」という意見も出ている(中央日報)・・>>

 




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