韓国メディア「台湾の『表記』抗議は、日中対立において『韓国のスタンス』を確認するためのもの」

今まで本ブログで紹介した記事だけでもそこそこの分量になると思いますが、台湾関連で韓国メディアも多くの記事を出しています。しかし、そのほとんどは、高市早苗首相に対する批判、批判というか、おろかだという論調のものです。次に多いのは、この前に紹介した「発信基地になるわけにはいかない」という記事もそうですが、台湾問題にはかかわらない、または「関わるわけにはいかない」という主張です。ちなみに、韓国メディアが「米国は日中対立に興味がない」とする側面だけを集中的に取り上げているのも、「だから、私たち(米国の同盟国)はかかわらなくてもいい」という名分をセルフで用意するためのものです。それ以外の話題は、ニュースになっても、すぐに消えます。

たとえば、台湾保証実施法なと、台湾関連で『韓国側の主張に不利な』内容のニュースは1日で完全に消え、それから台湾関連でこの件を取り上げる記事はほとんどありません。ウォール・ストリート・ジャーナルの中国人記者が、日米首脳(電話)会談でトランプ大統領が中国の肩を持つ発言をしたという記事が載ったことがありますが、そのことは今(今日もありました)も話題になっています。でも、その後に日本の木原官房長官が「日米首脳(電話)会談で、そのような内容はなかった」と話しましたが、このことを取り上げるメディアはほとんどありません。なぜ「ほとんど」なのかと言いますと、私が読んでないだけでどこかにあるかもしれないからです。




で、そんなところ、ですが・・一部、「ひょっとして、私たちもどちらかの陣営を選ばなければならないのかな?」という書き方の記事も、あるにはあります。少数ではありますが。14日の中央日報の記事もその一つで、本ブログでも紹介した「韓国電子入国申告制度の台湾表記問題」で、記事は「これは、韓国がどちらなのかを調べるためのもの」としています。記事の題も、「韓国にの選択の時が来るのか」です。初耳だという方のためにちょっと説明しますと、いままで韓国の入国申告書は自分で記入するタイプで、台湾人の場合は「台湾」と書けばいい、そんなシステムでした。それが、今年2月から、記入ではなく選択式になって、「中国(台湾)」を選択しければならなくなりました。この問題で台湾政府は「両国の関係を全面検討(再検討)する」とまで言っています。

この問題で韓国政府がどんな対応をするのか(多分、しないでしょうけど)は興味ありますので、続報のつもりでピックアップ、引用します。でも、引用部分の中に「20年前からビザや外国人登録証などには中国(台湾)表記だった」としていますが、これはちょっと違うと思っています。違うといっても、私見ですが・・韓国の公的な書類には20年前から「中国(台湾)」表記だったとしても、それは台湾人が自分で書いた(選んだ)ものではありません。書類にはそう書かれていたとしても、申請の際に台湾の人たとが自分の手で書いた表記は、また別だった可能性もあります。




今回問題になっている入国申告書は、いままでは自由記入式だったので、「台湾」と書けばよかっただけです。それが、今月2月から、台湾人は「中国(台湾)」と書かれた選択肢を、『自分の手で』選ばなければならなくなったわけです。これは、「自分の手で書く(選ぶ)」という意味で、心理的に結構「違う」ものじゃないだろうか、私は個人的にそう見ています。「20年前から同じだったのに」という記事の主張にも、ちょっと同意しかねます。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・発端となったのは2月に施行された韓国の電子入国申告書(E-Arrival Card)制度だ。名前とパスポート番号などを記す「基本情報」項目には国籍を「Taiwan」、つまり「台湾」と記録することができるが、「出発地」と「目的地」を記録する項目には「China(Taiwan)」、すなわち「中国(台湾)」のみ選択することができる。電子入国申告書制度施行前は、外国人が紙の入国申告書を手書きで作成し、入国審査の際に提出したため、国籍や出発地を自由に記載することができた。ただし韓国は入国査証(VISA)と外国人登録証などにはすでに去る2004年からChina(Taiwan)と表記してきた。台湾がこれまで公開的に問題にしたことはない・・

・・外交情報筋たちは、20余年間維持された表記を台湾が今に来て改めて問題にするのは、日中対立構図の一部として見なければならないという視点が優勢だ・・・・台湾は日中対立の中、中立的な態度を維持している韓国に、立場の変化を要求しているわけだ。同時に中国はる、9日ロシア軍用機と共に日本東京をねらった武力デモを行っい、韓国の韓国防空識別区域(KADIZ)にも一緒に進入した。「どちらかの方を持つな」という警告かもしれない・・・・日中対立に対する韓国の「距離を置く」スタンスが、むしろ両側から圧迫を受ける形につながっているわけだ。台湾が古い不満を表出したのは、実際の台湾有事の際に韓国の支援を引き出そうとする意図だと解釈できる・・

・・キムジンホ ダングク大政治外交学科教授は「電子入国書の『中国(台湾)』表記論議の本質は、米国が要求する対中戦略に韓国がどこまで応答するかの問題だ」とし「トランプ行政部は、表向きでは中国との直接衝突を避け、日中間の緊張と台湾の動きを見ている」、「このように複雑にかみ合った状況で、韓国は前に出ようとせず、米中の流れを見て、速度を調節する管理対応が必要だ」と強調した(中央日報)・・>>

 




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
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