日本も参加する日米豪韓「AI同盟」・・韓国メディア「せっかく中国とうまくやっていたのに」

パックス・シリカ。あまり見慣れた言葉ではありませんし、いま書きながらも変換候補に一瞬「尻」が出てきてちょっと笑ってしまいましたが、実は結構意味のある単語です。日本、米国、オーストラリア、韓国などによるAI協力体系のことで、半導体だけでなく「重要鉱物」の確保のための協力でもあります。イギリス、オランダ、UAEなども参加しています。ソウル経済(16日)がこの件を報じていますが、記事を読んでみると、中国側に立ちたいと、もう隠そうともしていない書き方です。これを「中国側ではなく、中立だ」と主張する人たちもいるかもしれませんが、既存のバランスというものがあるかぎり、「その中立は、実は中国に傾いたもの」でしかないわけです。「味方になれ」とは言わず、「中立を守れ」と言うのが中国のやり方ですから。

記事の主張は、明瞭で簡単です。対して国益になることではないから、こんなことで中国との友好関係を考えるべきではないのか、としています。「米国が急に『兄貴』のふりをしてきた(引用部分にはありませんが原文ママです)」、とも。米国や日本の外交を迂回的に批判しながら、李在明大統領は日本にも中国にも訪問する予定だし、うまくやっているから、わざわざこういう「陣営」にかかわることに拘る理由はない、と。いつものことですが、その日本や中国を訪問して、「どんな話が出てくるのか」が大事でしょうけど、そこまでは考えていないのでしょうか。多分、パックスシリカで韓国が担当するのはHBM、そしてバッテリー関連だと思われますが、それって、各国が担当しているもの(日本の場合は素材・部品・設備などになるのでしょうか)の中で、将来的に見るともっとも代替が可能なものではないのか、そんな気もしますが。以下、<<~>>で引用してみます。




<<・・米国が中国と人工知能(AI)で競争している中、同盟・友好国を自国中心のサプライチェーンにまとめようとしている。事実上、グローバルAIサプライチェーンで中国をはずそうとする戦略だ。ドナルド・トランプ米大統領は来年11月の中間選挙まで、米中貿易問題をいったん猶予した状況で、選挙まで中国に依存しないサプライチェーンを構築するために力を尽くしている・・・・韓国の立場としては、すでに米国企業に高帯域幅メモリ(HBM)などを積極的に供給している状況で、米国の政略的同盟宣言に従うのが負担になる可能性がある。実益はない反面、外交的に静かにあった中国と摩擦を起こす可能性があるからだ。さらに、李在明大統領は習近平中国国家主席の訪韓をきっかけに来年1月に中国を訪問する方案を模索している・・

・・参加国は、近いうちに細部分野別実務グループを構成し、AIサプライチェーン協力・分担課題を調整する予定だ。米国はAI半導体アーキテクチャ(設計構図)をはじめ、加速器・プラットフォーム・装備などの産業を総括するとみられる。また、技術標準制定とドル金融支援、競争国制裁主導をリードするものと見られる。このほか、日本は半導体素材・部品・装備の供給と先端源泉技術協力、シンガポールは物流と技術・資本の仲介、英国はAI規範と外交、イスラエルはチップ設計と軍事・セキュリティ技術、オーストラリアは希土類・リチウム・ウランなど原材料提供などの役割を担うものと観測される。韓国はHBMを含むメモリ半導体と一部ファウンドリ(半導体委託生産)供給を担当する可能性が大きい。二次電池とエネルギー加工分野も韓国が強みを持つ分野だ・・




・・突然の同盟強化が、どれほど私たちの国益になるかは不明だ。トランプ政権でなくても、サムスン電子とSKハイニックスはすでにNVIDIAのHBM物量の多数を担当している。中国と競争関係にある二次電池分野やエネルギーなど他のサプライチェーンも、大して変わる部分がないのは同じだ。パックスシリカを見てみると、「中国と交流しないように」という宣言的なメッセージの他に、実益はないという指摘が出てくる理由だ。トランプ政権が友好・同盟国だからといって、これまで優待してくれたこともない。

さらに、韓国の外交状況は、高市早苗首相就任以後、中国と対立している日本とも異なる。最近、日中両国はトランプ大統領の傍観の中、中国の台湾侵攻シナリオなどを置いて連日衝突している。一方、韓国は李大統領が来年1月、中国と日本を訪問する案を推進する状態だ。韓国は習近平主席が10月末に慶州アジア太平洋経済協力体(APEC)首脳会議をきっかけに11年ぶりに韓国を訪れただけに、中韓協力拡大を図るものと見られる。李大統領は今月3日、外信記者懇談会で「可能な限り早いうちに中国を訪問して首脳会談を開いて様々な分野について議論をしたい」とし「習近平主席には、(先月1日中韓首脳会談の後)分かれながら、今年中に訪中したい思う、と話した。でももう少し準備が必要だと思う」と話した。

AIをはじめとする各種サプライチェーンと関連して、トランプ大統領だけを信じていいのだろうか。それとも、中国とも友好関係を維持すべきだろうか。韓国政府も複雑な計算をすることになった(ソウル経済)・・>> 今日の更新はこれだけです。次の更新は17日(水曜日)の11時頃になります。

 




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
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