韓国政府・与党、南北政策で米国及び国連司令部と対立・・「米韓ワーキンググループが問題」「非武装地帯の主権を取り戻す」など

韓国政府(主に統一部)・与党と、米国・国連司令部との対立が報じられています。まず、統一部が米韓ワーキング・グループの会議に参加しなかったことで、一部メディアが「外交部は普通に参加していたが、統一部は参加しなかった」とし、政府内で南北関係に関する主張が対立していて、それがそのまま米韓の対立になっているのではないか、と報道しました。このことで与党「共に民主党」の鄭清来 代表が、「米韓ワーキング・グループは南北政策の邪魔でしかないのが常識だ」とし、統一部の味方をしました。韓国日報(17日)などが報じています。彼、李在明大統領と仲が良い人なので、多分、大統領や閣僚の「代打」として発言したのではないか、と思われます。

米韓ワーキンググループは、文在寅政権のとき、南北関係に関する政策などを、事前に米国側と議論するようにするため、始まりました。もう懐かしい話ですが、米国としては韓国政府の動きを制御するための措置でした。また、その統一部は、DMZ(ここでは南北軍事境界線の韓国側、非武装地帯を意味します)での「主権」を取り戻すとし、韓国政府の承認だけでも、DMZに人が出入りできるようにする、と法改正を示唆しています。いまのところ、該当地域の管轄は完全に国連司令部が持っていて、いかなる偶発的事態をも事前に防ぐという目標のもと、よほどの理由がないと民間人が入ることはできなくなっています。文在明政権で南北が「南北軍事合意」でいっさいの軍事行動を中止したのも、この非武装地帯です。ちなみにその後、北朝鮮側じゃ全然守らなかったものの、韓国政府はこの合意を遵守し、米軍の偵察機すらもまともに飛べなかったと言われています。




その非武装地帯に関する話が、またもや出てきたわけです。韓国政府はこの地帯を「平和的な目的で」利用するとしていますが、国連司令部は声明を出し、「それは国連司令部の権限だ」としました。マネートゥデイ(17日)などが報じています。記事によると、国連司令部が特定事案に対してこのような声明を出すのはかなり異例のことだ、とのことです。それに、これは統一部が推進している国内法改正に関する話でもあるので、国連司令部としても、相応の負担を覚悟して声を上げたのでしょう。さて、「日中の間でモテモテ」という主張が出てくる裏で、明らかに北朝鮮に近づこうとしている韓国政府。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・鄭清来 共に民主党代表は17日、統一部が外交部主導の米韓対北政策調整のための協議体に参加しなかったことに対して、「統一部の方針を支持する」と明らかにした。最近、対北政策主導権をめぐる、いわゆる自主派と同盟派に分かれているという懸念の中で、与党代表まで議論を大きくしている形だ。鄭代表はこの日、最高委員会で「鄭東泳長官の 統一部」の政策的選択と決定が、正しい方向だと思う」と述べた。統一部は前日、米韓外交当局が定例的に対北政策調整協議機構を稼働したことと関連して、参加しない意思を明らかにし、別の対北説明会を行った。代表は「対北朝鮮主導権をめぐる省庁間の葛藤があると報道されているが、それは真実ではない」とし「文在寅政権の時から、米韓ワーキンググループに対する懸念と警告があった」と話した。




鄭代表は「米韓同盟を固くするのは基本だが、米韓ワーキンググループが南北問題を解いていく際に問題になってきたというのは、周知の事実で、常識だ」と指摘した。一方、「すべての案件を、米国の決裁を受けて、許諾が受けられたものだけ実行に移す状況になれば、むしろ南北関係を紐解くことはできなくなってします」とし「共に民主党は米韓関係で自主性を高め、南北関係で自律性を高める方向の助言のための機構として、『韓半島平和戦略委員会』(仮称)を早急に設置すべきだ」とした(韓国日報)・・>>

 

<<・・国連軍司令部(UNC)が、停戦協定第1条第10項を取り上げ、「軍事境界線以南の非武装地帯(DMZ)内地域での民政及び救護は、国連軍司令官の責任とする」と強調した。これは最近、国連司の承認なしにDMZに出入りできるようにする、いわゆる「DMZ法」が与党主導で推進されていることに対する懸念を表したものだと解釈される・・・・UNCが特定の懸案に立場を明らかにしたのは、異例である。 DMZ出入権を国連司と軍事停戦委が持つようになったことと関連し、その根源を取り上げるなど、基本的な見解を表したが、事実上、与党側が推進中のDMZ法に対して反発の意思を見せたわけだ・・

・・これに先立ち、共に民主党の議員二人は、非軍事的で平和的な目的に限って、DMZ出入権限を韓国政府が行使するという内容を盛り込んだDMZ法をそれぞれ代表発議した。現在、DMZ出入は停戦協定を根拠に国連司が完全に統制している。しかし、議員たちは停戦協定が序文で「純粋に軍事的な性質に属する」と規定しただけに、民間の出入りまで統制するのは過度だと主張している。統一部はこれらの法案の立法趣旨に同意している。鄭東泳 統一部長官は最近、金炫鐘 国家安保室1次長のDMZ出入りが許可されなかった事実を公開し、これを「領土主権」問題と結び付け、DMZ法推進の正当性を強調したことがある(マネートゥデイ)・・>>




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