韓国、相次ぐ通貨スワップ関連記事・・「日本、スイスともに来年満期」

18日にも取り上げたことがありますが、韓国では「また」為替レート関連の記事が増えてきました。日本のように物価高などを心配する内容ではありません。ほぼ間違いなく「危機」という言葉が出てくるし、実際、「一般的な意味での金融危機という意味ではない」としながらも、中央銀行総裁も同じ表現をしました。ただ、韓国が経済規模に比べて金融面で弱いというのは事実ですが、それでもちょっと騒ぎすぎではないのか、そんな気もします。「IMF」経験があるから、でしょうか。それとも、想像以上にもろいのでしょうか。今回も中央日報(社説、20日)と朝鮮日報(朝鮮BIZ、20日)に為替レート関連記事が載りましたが、特に朝鮮日報は、「来年満期到来の日本、スイスとの通貨スワップを延長できなければ、基軸通貨(韓国ではハードカレンシーも基軸通貨と言います)国家との通貨スワップがゼロになってしまう」としています。

カナダとは無制限通貨スワップを締結していますが、準・基軸通貨だから不安だ、とも。特に、この前の関税交渉のとき、李在明大統領が公開的に米国に通貨スワップを要請したにもかかわらず、結局米国側が応じなかったことが、かなり響いているようです。円安になると、国力がどうとか、そんな記事が無数に出てきますが、いざウォンが安くなったり、少しでも不安定なことがあれば、円キャリートレード清算が心配されるとか、日本との通貨スワップが必要だとか、そんな記事が盛り上がる、そんないつもの韓国でした。ちなみに、日本とはドルで100億ドル、他の国々とは自国通貨でのスワップで、ドルにすると20億ドル~106億ドル規模です。スイスが106億ドル規模だそうです(朝鮮日報より)。米国とは600億ドルでしたが、2021年12月に終了しました。以下、<<~>>で引用してみます。




<<・・米国とは、2008年と2020年に一時的に通貨スワップを締結し、4年前に契約が終わった状態だ。米韓投資交渉の時、韓国政府は米国に無制限の通貨スワップを提案したと伝えられたが、成就しなかった。現在、韓国はスイス、日本と通貨スワップを締結しているが、両国との契約も来年3月、11月に相次いで満期を迎えることになっている。専門家たちは「主要国との通貨スワップは、その規模にかかわらず存在自体に意味がある」、「もしものときに備えて通貨スワップを確保する必要がある」などの指摘をしている・・・・現政府は、米国と3500億ドル規模の投資ファンドを交渉する過程で米国側に無制限の通貨スワップを提案したと伝えられた。しかし、米韓投資協定に通貨スワップは含まれなかった。魏聖洛 大統領室国家安保室長は10の月記者懇談会で「無制限の通貨スワップを米国財務省に提案したことがあるが、現在、進展がない状態」とした。

一方、米国は日本とは2008年の通貨スワップ「上限」をなくした後に、そのまま維持している。米国はこのような無制限の通貨スワップをEU、スイス、イギリス、カナダとも結んでいる。いずれも現在基軸通貨国か、前に基軸通貨を保有していた国だ。これらの国家通貨は、国際決済でドルの次に多く利用されるため、担保価値が高い。また日本などは米国国債などドル表示資産を多く持っているため、米国の立場からするとドルを供給する必要もある。




韓国は米国がすぐに無制限の通貨スワップを締結する優先順位は高くないという分析が優勢だ。一部では、トランプ政権が無制限の通貨スワップを結ぶ代わりに、韓国政府にもっと大きな投資要求をする可能性もあると見ている。韓国は現在、基軸通貨国の中で日本、スイスと一時的な通貨スワップを結んでいる。どちらも来年に満期が来る。もし両契約ともに終了すれば、韓国が基軸通貨国と締結した通貨スワップはなくなる。韓国は準基軸通貨国であるカナダとは無制限の通貨スワップを結んでいる。ある外国為替市場の関係者は「両協定とも延長可能性は開かれているが、通貨スワップは相手国の政策判断が重要な事案であるだけに結果を楽観視することはできない状況」と話した。専門家らは中長期的には韓米通貨スワップを再開しなければならないと見ている(朝鮮日報)・・>>

 

<<・・経済の低成長基調により、米国より基準金利が低い「逆転」現象がすでに3年目続いている。ここに景気浮揚のために、繰り返されたお金の投入も、ウォン安の理由になっている。問題は、このようなマクロ経済環境が反転する兆しが見えないということだ。李在明大統領は最近、企画財政部の業務報告で「来後年の予算も拡張政策に基づいて編成しなければならない状況」と話した。これに、米韓関税交渉により、今後、韓国企業が米国に直接投資すべきお金も2000億ドルに達する・・・・構造的問題は構造的対策として対応しなければならない。根本的には経済体質を改善して、魅力を高め、財政・通貨政策に対する信頼を回復するしかない。

何よりも潜在成長率を引き上げるための果敢な構造改革、規制緩和ドライブを再びかけなければならない。金利引き下げ基調を事実上やめた韓国銀行に続き、政府も長期的な財政健全性確保方案と意志を明確にして市場を説得しなければならない。そうすれば海外に投資していた人たちも、企業も、国民年金も、自発的に国内に目を向けるだろう(中央日報)・・>>

 




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
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   ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。