なんか、また原子力潜水艦関連で記事が増えました。中国政府がブリーフィングで韓国側に「原子力潜水艦保有は慎重にすべし」と話したとか(22日、YTN)、韓国政府は中国側に対して、改めて「原子力潜水艦は通常兵器だけ(核兵器無し)であり、核拡散防止条約とは関係ない」と表明したとか(引用はしませんがハンギョレ新聞など)、北朝鮮がまだ建造中の原子力潜水艦の画像を公開したとか(ニュース1、25日)、などなどです。そして、なにより多いのが、高市早苗首相が原子力潜水艦保有を事実上公言した、というニュースです。毎日経済(24日)はこの件「韓国が保有するそうだし、私たちも」という題で報じていますが、実は李在明大統領がトランプ大統領との首脳会談前にこの話をする前から、日本では似たような話があって、自民党と維新の会の連立合意文書にも「次世代動力の潜水艦」に関する話が出てきます。
この内容は記事本文にも書いてありますが・・普通、そこでいう次世代動力というのが原子力のはずですが。いまさら「私たちも」と言われましても。韓国の原子力潜水艦保有についての中国側の反応は、いまのところそこまで大きな問題にはなっていません。理由は、韓国政府が中国に対してずいぶん配慮しているから、というのもあります。「中国と北朝鮮の潜水艦」対応のためだと大統領が言ったのに、そのあとすぐに「中国の方の海域のことで、中国のことではない」とわざわざブリーフィングを行うなど、涙ぐましい努力(?)をしていますから。ただ、前にもお伝えしたことがありますが、中国側は、「そもそも、実際の保有まではできない(途中で挫折する)」と見ているので、わざわざ強い対応をする必要を感じていない、という主張もあります。3つの関連記事、該当部分だけ<<~>>で引用してみます。
<<・・林剣 中国外交部スポークスマンは定例ブリーフィングで、韓国が原子力推進潜水艦建造のため来年から米国と分野別協議を進めることにしたことを置いて、「中国は何度も立場を表明した」とし「韓国が慎重に処理することを望む」と話した。中国外交部は去る10月、米韓首脳会談で原子力推進潜水艦の建造が取り上げられると、「核不拡散義務を実質的に履行し、地域平和と安定を促進することをしなければならない」と明らかにしたことがあります。官営英文紙グローバルタイムズも、今日の軍事専門家のインタビューを通じて「米国はオーストラリアと思わしくない先例を作り、韓国でも同様の事例が現れている」とし「核不拡散に深刻なリスクになる可能性がある」と書いた。
続いて「日本も核潜水艦保有計画を浮上している」とし「韓国は海洋国家だが海岸線が制限的であり、原子力潜水艦を運用する実質的な必要が大きくない」との主張もした。(YTN ※最後の部分、中国側の見解は単純に名分作りのものでしょうけど、実はいつかの理由で、国内外から『韓国の場合、原子力潜水艦はそこまで有用ではない』という見解が出ています。中央日報10月26日の記事に載っているドーブ・ザカイム元米国防省次官の「朝鮮半島周辺の海底地形を勘案する際、騒音が小さい在来式ディーゼル潜水艦を選ぶ作戦上の理由がある」などがそうです)・・>>
<<・・北朝鮮が、現在建造中の原子力潜水艦が8700トン(t)級であり、潜水艦に「戦略誘導弾」を搭載できると明らかにした・・・・北朝鮮は3月、原子力潜水艦の建造事実を初めて公開し、艦体の一部だけ公開したことがあるが、この日は艦体全体の写真を初めて公開した。また、8700トン級という排水量も初めて明らかにした。 8700トン級は米国の主力攻撃用核潜水であるバージニア級(7800トン級)より大きい。ただし、新聞は現在、工程がどの段階まで進捗したかについては具体的に言及していない。
労働新聞は自分たちの原子力潜水艦が「原子力動力戦略誘導弾潜水艦」と言い、潜水艦に「戦略誘導弾」を搭載できると明らかにした。北朝鮮の戦略誘導弾は通常核弾頭搭載が可能な弾道ミサイルと解釈されるため、北朝鮮が建造中の潜水艦は核ミサイル攻撃が可能な戦略核潜水艦(SSBN)とみなすことができる。韓国が導入を推進中の核睡眠は核兵器を搭載しない従来の原子力潜水艦(SSN)だ(ニュース1)・・>>
<<・・「韓国もするというし、じゃあ私たちも・・原子力推進潜水艦導入を示唆した高市(※題)」。高市早苗 日本首相が原子力推進潜水艦の導入と関連して「すべての選択肢を排除しない」と話した。高市首相は就任直後、日本安保政策の根幹である「3大安保文書」改正を指示するなど、「強い日本」に向けた具体的な方向を設定したという分析だ。24日、読売新聞は前日行われた高市首相との就任後、初のインタビューで、原子力潜水艦導入関連の質問に首相が「抑止力・対処力向上のためにすべての選択肢を排除せずに検討する」と話したと報道した。日本の自民党と連立与党である日本維新の会は、10月連定樹立合意文で、次世代動力を活用した潜水艦保有のために力を集めることにした。これは事実上、原子力推進潜水艦を念頭に置いたものだと解釈されたが、具体的な内容は出てこなかった。こうした中、高市首相がメディアインタビューを通じて就任後初めて核潜水艦保有を示唆する発言をしながら、日本内部を含む周辺国にも波紋が広がると予想される(毎日経済)・・>>
あ、そして昨日も今朝も書き忘れましたが、メリークリスマスです。今年は年末年始休みが長くなるそうですね。本ブログ、とりあえず週末は通常更新し、休みなどはあとで告知致します。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。