ほぼ全てのメディアが李在明大統領を高評価し、特に「米国との関係も中国との関係もうまく管理できている超有能な人」として報じている中、めずらしく、政策関連で批判的な記事がありました。東亜日報(24日)で、各種政策を行うのに、政府・与党は、なんでこんなに国民年金を使うのか(使おうとしているのか)、という内容です。青年問題が深化している韓国。コスパのいい公共住宅を建てるというアイデアが与党から出ていますが、その財源も国民年金です。証券市場、株価(コスピ)においても、たとえば株価が上がって国民年金が収益を増やすのではなく、国民年金がコスピに投資を増やして株価指数を引き上げようとしていて、これは大統領の「コスピ指数、5000まで上昇」という公約を守るためにすぎない、というのです。
ご存知、金融当局と国民年金の間には外国為替スワップが結ばれており、17日には「この日、外国為替当局と国民年金間の外国為替スワップが実際に稼働したことも確認された。しかし、為替レートの動きは止まらなかった。外国為替スワップは、国民年金が海外投資に必要なドルを韓銀の外国為替保有額から調達する取引だ」と報じられました(京郷新聞)。これについても、結局は国民年金に対してダメージになると、記事は指摘しています。ちなみに李大統領は自治体長だった頃、有料道路の通行料が高いという理由で、国民年金から運営権利を安く買い取ろうとしたことがあります(裁判所によって止められました)。いろいろ書いてありますが・・以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・李在明大統領が京畿道知事だった時、最後に決裁したのが「一山大橋の通行料無料化」だ。民間資本事業で建設された一山大橋は、国民年金が2700億ウォンを投資して、30年間の運営権を持っている。ところが、通行料が高いとして、国民年金に圧力をかけて、安値に運営権を無理やり回収しようとしたのだ。一部の自治体住民の負担を緩和させるるため、国民の老後資金を崩すのか、という批判が大きかった。裁判所がブレーキをかけて無料化は無かったことになったが、現政権に入ってから、国民年金を好きに使おうとする試みが明らかになってきている・・・・共に民主党国会議員出身の金成柱 国民年金公団理事長は、先週就任してから真っ先に、年金資産を青年公共住宅に投資すると言った。「公共住宅に投資して結婚と出産を促進し、人口問題を克服してみせる」ということだ。青年住宅供給は確かに急ぐべき事案かもしれないが、政府が国家財政で解決すべき問題であり、投資収益を追求する国民年金が前に出る事ではなかろう・・
・・すでに政府は1,500ウォンまで通貨安になっている(※昨日は口頭介入により通貨高になりました)のウォン・ドル為替レートを防御するために、国民年金を消防士として呼び寄せた。外国為替当局と共に協議体を設けた国民年金は、戦略的為替ヘッジ期間を来年まで延長し、韓国銀行との通貨スワップも延長した。国民年金が保有するドルを市場に解き放ち、通貨安への為替レート動きを抑えるという話だ・・
・・問題は、このようなやり方が、国民年金の中・長期収益率を下げることができるという点だ。国民年金研究院は、12年間の投資ポートフォリオを分析し、ヘッジをしないで為替リスクに100%露出されることが長期収益率に最適だと勧告した。米韓間の成長率と金利の差、通貨量の膨張、対米投資需要の拡大など、通貨安への為替レートの動きになりそうな構造的問題が重なっているが、年金資産だけ減らすのではないかと懸念される部分だ。
さらに、「KOSPI 5,000」を掲げた政府と「共に民主党」は、国民年金の国内株式投資拡大を重ねて圧迫している。1361兆ウォンの基金のうち、数%だけ投資を増やしても、株価上昇には明らかに役立つだろう。しかし、近年、国民年金は国内株式投資の割合を減らし続けてきた。保険料収入より年金支出が多くなる時点になれば、年金支給のために株式を売らなければならない。これは、すぐに5年後のことだ。実物経済の裏付けなしに、今年のような証券市場の上昇傾向が続くだろうと言いきることが出来るのだろうか。
国民年金は、まだ多くの改革が必要だが、青年たちは自分が出した年金が返ってくるのだろうかと不安がっている。最近、韓国経営者総協会の調査で、国民の半分以上が、特に20代・30代では10人のうち7人が、国民年金を信頼していないと答えた。このような状況で、国民年金を政府のヘソクリや使い放題のお金だと考えて、政府側の干渉が続いた場合、不信はさらに高まるしかない。国民年金法1条に明示されたように、年金の目的は「国民の生活安定と福祉増進」だ(東亜日報)・・>>
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ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。