なんか、また外貨保有高を足りないとかそんな記事が増えてきました。経済規模が大きくなったこともあるし、通貨安もあるので、もっと増やすべきだ・・という内容ですが、反論もある(いまでも十分だとする主張)も結構出ている、とも。金額より中身がどうなのかが大事だと思いますが。関連記事を読んでみても、結局は米国との通貨スワップが必要だ(日本との通貨スワップ延長も)という結論になるものばかりです。そんな中、中央日報(26日)が李在明大統領の「6か月間」で、経済関連政策の実績がどうなっているのか、という記事を載せました。6か月はまだ期間が短すぎる気もしますが(記事もその点は認めています)、総じてこれといった成果が出せなかった、という結論です。
特に、「最大」の経済公約とされていた「消費クーポンばらまきの術」に対して、記事は「失敗した」という旨を明らかにしています。個人的に、このクーポン関連でここまでちゃんと言いきる記事は初めて見た気がします。個人的に、特に面白かったのは、記事が「現政権は『有能さ』を強調している」としている点です。確かにそのとおりで、意外なほど「有能だ」ということをアピールしています(笑)。記事が「成果が出せなかった」「失敗した」としているのは、クーポンをばらまいたけど効果がなかったこと。企業の負担を増やしたこと。これは「黄色い封筒法」などで本ブログでも何度か取り上げたことがありますが、簡単に言うと「労働組合の力を強化する法案」になります。不動産関連規制を大幅に増やしたのに、住宅価格が大幅に上がったこと。
雇用、特に青年雇用が苦戦していること。これも「60代以上の雇用だけが増えて、全体で雇用者が増える錯視現象が起きている」と何度も指摘された内容ですが、なにも変わっていません。この前、住宅価格などを除外してもソウルが体感物価世界1位になったという記事もありましたが・・さて、なにがあったのか、<<~>>で引用してみます。
<<・・米国との関税交渉以外だと、半年間の経済運用において大いに注目された政策は3つだ。心を決めてお金をばらまいた(消費クーポン13兆ウォンなど)。企業の負担を加重させた(黄色い封筒法、商法改正など)。不動産取引を強く統制した(いわゆる10・15対策など)。その結果が反映された経済の現状は、あまり思わしくない。数値で見てみよう。まず、不動産。ソウルマンション売買価格と傳貰(※住宅を借りること)・月貰(※月々の家賃)価格は、不動産価格が急騰した文在寅政権よりももっと上がった。売買価格は19年ぶりに最高に上昇した(1~11月8.04%)。超強力な規制である10・15対策にもかかわらず、11月には5年余りで最大(前月比1.72%)となった。傳貰物件は急減し、月貰の上昇率は今年3%を超えた(11月まで3.29%)。次、為替レート。ウォン・ドル為替レートは李大統領が就任した6月初めに1360ウォン台から通貨安になり続け、11月に1450ウォン突破した。
危機と呼ばれる期間以外では、初めてのことだ。為替レートは1480ウォンより通貨安になっており、海外株式に投資している人たちに株譲渡税の減免発表が出た24日、1450ウォンまで動いた。ウォン価値急落で、輸入に依存するガソリン、食料品など生活物価が上がり、原材料・部品を輸入して使う企業が経営難におちいった。次、働き口。青年層の就職難が特に深刻だ。 15~29歳の雇用率は19ヶ月連続で下落した(11月44.3%)。失業者・就職準備者・「休んだ」など、雇用状態にカウントされない20代、30代が11月基準で約160万人だ。この年齢層の12.7%にもなる。求職活動をまったくしないで「休んでいるだけ」の20代、30代は71万9000人で、2003年の統計集計以来、最多となった。
李在明政権は「有能さ」を強調している。しかし、6ヶ月の経済成績表は、このようなものだ。経済数値は嘘をつかない。不動産は急騰し、通貨価値は急落し、雇用は全然足りない。政府の経済運用に深刻な問題があるという証拠だ。まず、企業政策にミスがある。金大中政権の外国為替危機克服、李明博政権の金融危機克服には、共通点がある。いずれも企業を活かすことに総力を傾けた。しかし、現政権では、企業を助けることは優先されない・・
・・次に、不動産は需要、特にローンを規制するからと言って安定するものではない。市中にお金があまりにも多く出回っている。不動産をローン規制でなんとかしようとすればするほど、現金のお金持ちだけが有利になり、資産の二極化はよりひどくなる・・・・住宅供給をより果敢に急ぐべきである。第三に、為替レート問題の核心には政府と市場の認識乖離がある。トリガーは米韓関税交渉だった。年間200億ドルを10年間米国に投資しなければならなくなった。市場ではドル供給不足の懸念が膨らんだが、政府はそれを見落としていた。外国為替保有額(11月4306億ドル)が十分ではないという見方も出ている・・
・・結局、韓国企業の競争力が高まり、投資収益性が良くなるという確信、政府の経済運用に対する信頼が生じなければ、国内・外の資本の脱韓国の流れは止まらないし、為替レートも安定しない。最後に、ポピュリズムで経済を生かすことはできない。それは漂白に過ぎない。13兆ウォンの消費クーポンは消費を進めることができず、国庫だけ減らした。財政を放漫に使えば、物価も金利も不安にするだけだ(中央日報)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。