韓国経済を襲う「シルバー破産(高齢者破産)」・・日本でも増加中

なんか、結構久しぶりに取り上げる気がしますが・・いわゆる「2次創業」の話、覚えておられますか。40~50歳に定年になった(なるしかなかった)人たちが、老後のために「とりあえず創業」な感覚で自営業を始めたものの、どうもうまくいかなかった・・という話です。一時はかなりの数をエントリーしました。時事ジャーナル(11日)と、引用はしませんがイーデイリー(3日)、毎日経済(27日)などから、関連した記事を読んでみました。その中で、個人的に「あ、やはりこうなるよな」と思ったのが時事ジャーナルの記事で、のシルバー破産関連です。増えすぎた自営業者の中でも、それでも自営業を諦めずに、数々の試練を「なんとか」乗り越えてた人たちが、60代以上になりました。しかし、リーマン事態の影響も金利上昇の影響も新型コロナの影響もなんとか乗り越えてきた彼らですが、本当にもうどうしようもなく、「シルバー破産」をするしかなくなりました。

当然、個人破産、個人回生(一定部分だけ返済し、残りは免責される制度。こちらが多いので一般的に各メディアはこちらのデータを取り上げます)も増えています。李在明政権になってから、なんでもかんでもうまくいっているように書いている記事が多すぎますが、実は韓国はいまものすごい不景気の中にあります。にもかかわらず、こんな記事は少数で、また、あまり話題にもなりません。マスコミにおいて、日本では「支持率下げてやる」、韓国では「支持率上げてやる」の論調が多い・・そういえば、大まかに合っている気もします。ただ、これは大統領が李在明さんだからではなく、支持率が高いうちは、どの政権でも似たような流れになります。一つ前にも、尹錫悦大統領就任初期の記事を一つ紹介しましたが、当時もそうでした。その前も、前々もそうでした。




ちなみに、記事の引用部分で「去年、個人破産が3,999人」という記述があります。日本の場合も最近は個人破産が増加しており、76,000件でした。こうしてみると「人口比だと似たような数値かな」と思われるかもしれませんが、実はそうではありません。先も書きましたが韓国では、破産や回生の申請が通った後の金融取引の有利不利を考えて、個人破産より個人回生が多く、個人回生の場合、今年1月~10月ではやくも12万3,848件(前年同期比14.3%上昇)になっています。日本には似たような制度として「個人再生」というのがありますが、こちらは「1万件前後」で推移しています。全体でみると、その数にかなりの差がある、という結果になります。ちなみに、韓国の場合は「わざと破産・回生するための専門ブローカー」も多いとされています。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・韓国が超高齢化社会に進入し、60代・70代の「シルバー破産」が韓国経済の新たな問題として浮上している。引退後、生計のために自営業に飛び込んだ60代・70代が、景気低迷と高金利の影響で相次いで倒れているわけだ。統計は、このように暗い現実を如実に見せてくれる。12月11日の裁判所行政処によると、昨年基準、全国裁判所に受け付けられた全体個人破産申請者3万9993人のうち、60歳以上が1万7370人(43.4%)で最も多かった。10人のうち4人以上が60歳以上であるわけだ。特に破産申請者のうち60歳以上の割合は、2020年31.0%から2021年35.2%、2022年38.4%、2023年41.3%と、毎年増加傾向を見せている(※日本の場合、2023年の調査で個人破産の年齢は60代16.71%、70代以上11.84%でした)。




60・70代は主に「引退→自営業創業→廃業→債務の沼」という経路で、破産法廷に向かう。統計庁によると、昨年60歳以上の自営業者数は200万人を突破して最多記録となった。国民年金だけでは生活が不可能な所得の状況で、引退者が参入障壁の低いチキン屋、コンビニ、カフェなどフランチャイズ創業に我先にと飛び込んだ結果だ。自営業市場はすでに飽和している。ここに、続いた内需景気不振と、急激な物価上昇は、自営業市場全般に大きな影響を与えている。特に長期化した高金利基調は、シルバー破産拡大に決定的な要因となっている。住宅担保ローンや事業者融資などを動員して創業資金を用意した場合、金利上昇による利子負担が収益を上回る場合が少なくないためだ・・

・・高齢になるほど、再起するのは難しい。個人破産・免責を申請した後、再び破産を申請する60歳以上の割合が、毎年高くなっている。2020年43.1%から、昨年54.3%で、4年間で11.2%ポイント急増した。ソウル回生裁判所によると、昨年上半期基準の破産原因の中には「事業失敗あるいは事業所得減少」が47.4%で最も多かった。韓国の高齢者貧困率は40.4%で、経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち圧倒的1位だ。 OECD平均高齢者貧困率である14.2%を大きく上回り、最も低いノルウェー(3.8%)と比較すると10倍以上の差がある。今後、韓国の高齢者貧困率は自営業失敗による新規貧困高齢者の流入で、さらに高くなる見通しだ(時事ジャーナル)・・>>

今の李在明政権ではいうまでもなく、尹錫悦政権でも「徳政令のようななにか」がかなりあったと記憶していますが・・あれを含めてもこれですから、もう本当に『チキン』ゲームとしかいいようがありません。

 




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
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