貿易において、「日本が韓国に対して黒字、韓国が中国に対して黒字、中国は日本に対して黒字」というのが定説になっている、そんな時期がありました。ですが、日本の対韓貿易黒字はまだ続いていますが、韓国は対中貿易で赤字になっています。一時的な現象にすぎないという話もありましたが、今回の聯合ニュース(28日)の記事によると、もう3年連続赤字です。まだ赤字金額がそこまで大きいわけではありません。しかし、明らかに対中貿易は低迷しており、「家計債務がこれ以上増やせづらくなった(借りるのが難しくなった)」とともに、韓国経済そのものの低迷にも繋がっているのは事実。
半導体が好調で、ある種の錯視効果がある(半導体以外はマイナスになっている)といわれる、大きな理由でもあります。韓国政府は中韓FTAを拡大・強化することで、この問題を解決しようとしていますが・・さらに赤字構造が深化する可能性が大きいのではないか、そんな気もします。単に物を売るだけではだめだから、サービスなどで勝負する、とのことですが・・どうでしょう。サービス産業だってそう簡単に勝てるはずはないし、中国の場合は他の国に比べて、特に独自のシステムが出来上がっていると聞きます。アプリ一つでも、他の国で使われるものが急に機能しなくなる、とも。すでに中国企業が「牙城」を築いているはずですが・・それを崩すことができるのか。ちなみに、これは、李在明政権が(前の政権も同じでしたが)日韓FTA・日中韓FTA・CPTPP加入などを進める理由でもあります。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・中韓自由貿易協定(FTA)が発効10周年を迎え、重大な転換点に立った。2015年12月20日に発効した中韓FTAは、締結当時だけでも人口14億人に達する巨大市場を先取りできる絶好の機会とされた。実際、中韓FTAは毎年数百億ドルの対中貿易黒字を抱え、韓国経済の心強い支え役を果たした。しかし、10年が過ぎた今、韓中FTAは新たな課題に直面した。2022年に頂点になった両国貿易の規模は、それ以降、下り坂となった。ここに中国がすごいスピードで技術競争力を引き上げ、対中貿易収支は3年連続赤字が確実視されている。これに韓国政府は、渋滞状態だった韓中FTA2段階分野(サービス・投資など)交渉再開のために力を注いでいるところだ・・
・・しかし、2015年から着実に増加していた両国貿易額は、2022年3,103億ドルで頂点を取った後、2023年から減少傾向に入った。今年も、先月まで韓国の対中交易額は2,426億ドルで、昨年同期間に比べて2.4%減少した・・・・最も痛いのは、対中貿易黒字の基調が崩れたという点だ。2018年に556億ドルという記録的な黒字を出した対中貿易収支は、2023年には1992年の中韓修交以後、31年ぶりに赤字になった(修交してから1年か2年だけ、まだ交易が安定しなかった時期だけ中国の方が黒字で、それからずっと韓国の方が黒字でした)。今年も3年連続で100億ドル内外の赤字が確実視される(※日本の対中貿易収支が2024年106億ドルの赤字でした)。
ただし、これはFTA自体の問題というよりは、中国産業の急速な技術発展と、米中貿易問題などの外部環境変化の結果だと分析される。これに対し、政府はこれ以上は物だけを売っては中国市場では勝算がないと判断し、潜在力の高いサービスと投資分野で貿易の基盤を広げることに総力をそそいでいる。李在明ン大統領と習近平中国国家主席は先月1日、慶州で開かれたアジア太平洋経済協力体(APEC)を契機に11年ぶりに首脳会談を開き、韓中FTAサービス・投資交渉の実質進展協議に速度を出してサプライチェーン安定化のための協力を強化することに合意した・・・・韓中首脳会談以後、当局の動きはさらに速くなった・・
・・専門家たちは、中国側の変わった態度に注目している。韓国貿易協会通常研究室は「最近中国に行ってきたが、中国側でサービス開放に相当な意志を見せた」とし「一種の自信でもあり、自国サービス産業を成長させるための目的もあるようだ」と説明した。彼は「来年初めに予想される李在明大統領の訪中が中韓FTA高度化の決定的なきっかけになることを望む」と付け加えた(聯合ニュース)・・>>
さて、今年の更新はここまでとなります。今年も1年間、本当にありがとうございました。大晦日までは家に帰ってきて、レナとともにおせちでも食べながら静かに過ごしたいと思います。初詣も、いつもの家の近くの神社に詣ります。令和8年初めての更新は、1月3日からになります。それでは、良いお年を。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。