さて、韓国政府が前から熱望していた国賓訪中が実現し、中韓首脳会談が行われました。しかし、今回も共同声明はありませんでした。朴槿恵大統領の頃に、朝鮮半島非核化関連で共同声明が出たことがありますが、それから12年間、共同声明は出ていません。前回のAPEC(韓国、慶州)での首脳会談と昨日は、国賓訪問だったのに、それでも共同声明はありませんでした。これは、どちらかか、または両方が、「ある条件」を満たしていないという意味かもしれません。昨日もお伝えしましたが台湾メディアが主張していた「4要4答」についても、これといって具体的な内容はありませんでした。それが原因かどうかまでは分かりませんが、北朝鮮との会談(中国の協力)、中韓FTA強化(いわゆる2次中韓FTA)などについて韓国が望んでいた内容は出てきませんでした。
逆に、原子力潜水艦など、韓国が気にしていた内容について中国側が強く指摘することもありませんでした。また、韓国コンテンツのさらなる開放などが議論されたとのことですが、いままでも何度か似たような話があったし、そもそも中国側は表向きには「特定国家のコンテンツを制限したりしていない」というスタンスなのに、いまのところはなんとも言えません。すべて「今朝(2026年1月6日)時点」でのことです。以下、朝鮮日報の記事(6日)と、YTN(5日)から極東研究所というシンクタンク側の見解、そして「メディア今日」(6日)がまとめた各社の社説を簡略に引用してみます。YTNによると、APECでの慶州首脳会談のときにも、中韓首脳が話した内容について「いろいろ話が出ているけど、どれだけ実現できるのだろうか」という懸念がかなり出ていた、とのことでして。今回も共同声明がなかったことで、同じ懸念がある、と。そして、以下、<<~>>が引用部分です。
<<・・李在明大統領と習近平中国国家主席が5日、北京で首脳会談をしたが、中韓共同声明や共同メディア発表文などは出なかった。両国は、朴槿恵政権だった2014年7月、習主席の国賓訪韓を契機に「朝鮮半島非核化実現」などの内容を盛り込んだ共同声明を出した後(※その後の2015年、朴槿恵大統領は中国を訪問、軍事パレードに出席しました)、12年間、首脳間共同声明を出せずにいる。米中対立が強くなり、域内・世界問題に対する両国間の異見が大きくなったためだ。韓国大統領が9年ぶりに国賓訪中して行われた今回の首脳会談でも民生・経済分野協力を盛り込んだ了解覚書(MOU)14件と文化財寄贈証書1件だけ締結された。まず両国はこの日、微細粉塵(※PM2.5など)改善などのために「環境及び気候協力に関するMOU」を締結し・・・・ 「知識財産権保護のための相互協力MOU」も締結した。関税当局が知識財産権侵害摘発詳細を交換し、税関公務員相互招請研修も進めようということだ(朝鮮日報)・・>>
<<・・(※普通、首脳会談をしたら共同声明のようなことを発表されるのに、今回は全部MOU形式で結ばれただけで、拘束力はないという進行者の話に、極東研究所側の見解)そうですね。私が去年11月に中国に行った時、その時、中国側の高官たちも、事実上、APEC韓中首脳会談で多くの議論が行われたが、果たしてそれらの議論がどれほど実行されるのだろうか、そこについてかなり懸念していました。今回もそのような懸念を完全に払拭させることはできないようです。なぜなら韓国と中国政府の意志だけになれば大丈夫なのに、そこに米国との関係もあり、様々な地政学的な変動性が、かなりあるでしょう。その中で、これらの合意を履行しなければならないのですが、今回両国首脳が見せてくれたそんな意志、こういうものを見れば、以前よりはよく履行されそうだという感じはあります(YTN)・・>>
<<・・中央日報は「中韓の北京首脳会談、関係復元の第一歩に意義」としながら「両国首脳の相互訪問が2カ月ぶりに行われ、李大統領が新年に入って中国を国賓訪問した初の外国首脳という点で、今回の訪中は意味がある」としながらも「全体的な会談の結果は中韓関係全面復元という李大統領の期待通りにはいかなかった」とした。「今回の首脳会談では、通常、両国が合意事項を盛り込んで発表する共同声明や合意文がなかった」とし「限韓令解除と中国が無断設置した黄海暫定水域内の構造物撤去など、両国間の葛藤懸案も、明確な解法を導出するきっかけを設けることができなかった」と指摘した。
朝鮮日報は「世界秩序激変の中、『中国側に立て』と要求した習近平」で、日・中が台湾問題をめぐって衝突する中で、中国側に立てという意味だとた・・・・一方、京郷新聞は「朝鮮半島の平和協力・関係復元の道を広げた中韓首脳会談」で「両首脳が会談で誓った戦略的コミュニケーションと協力水位をさらに高めようとしたのだ」と、14件の了解覚書締結と制韓令改善の余地などを成果に挙げ、「協力意志を確認した」と見た。ただし、「政府は米韓同盟を土台にしながらも中国と対立しない、米韓同盟の現代化と中韓関係の安定的発展の間でバランスを求めなければならない」と注文した。
東亜日報は「無理をしてはならない。中韓関係の全面復元というが、まだ始まったばかりだ。黄海不法構造物のような問題を解消することも難しそうに見える」、「2017年にサード問題を解消するために『3不外交』をして問題になったことを忘れてはならない」とし・・・・韓国日報は「2016年以降、事実上10年近く願っていた両国関係が、再び正常化される重大な道しるべにならないといけない」とし・・・・「中国が世界最大の市場として浮上しているのは客観的事実だ。こうした中国市場を利用することができなければ、国益も最大化できない」と主張した(メディア今日)・・>> 今日の更新はこれだけです。次の更新は、明日(7日)の11時頃になります。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。