韓国メディア「日本・米国・オーストラリアの鉱物協力に私たちも参加しよう」

一つ前のエントリーでも紹介しましたが、少数だけ、中国のレアアース政策は「私たちにとっても他人事ではない」という主張をするメディアがあります。メディアというか、書く人による、といったところでしょうか。ソウル経済(7日)、中央日報(8日)が、似たような趣旨の記事を載せました。繰り返しになりますが、こういうのは結構珍しい見解で、ほとんどは「楽しんでいる」雰囲気の記事ばかりです。政府レベルだと、さすがにこれといった言及は出ていませんが。記事は、日中対立、レアアース措置が続けば、韓国の製造業にも大きな影響がある、尿素事態、素部装事態(日本が一部半導体関連素材の輸出管理を「普通」化していた措置)の再来になる可能性だってある、という内容です。こんな話になると、ほぼ間違いなく「日本と協力しよう」という話、たとえば通貨スワップとか経済共同体とか、そんな話になりますが・・今回も同じです。

今回は、日本・米国・オーストラリアが進めている「鉱物協力」に、韓国も参加すべきだという主張になっています。ただ、協力といっても、日本、米国、オーストラリアなどはそれぞれ「得意とする側面」を担当する形になっていますが、じゃ韓国はなにをもって参加するのか、参加することで「協力体」、すなわち日本、米国、オーストラリアはどんな得をするのか、が問題ですが・・記事は、韓国が「最高レベルの製錬技術を持っている」としていますが、そもそもその3カ国に比べると、韓国は中国との友好関係にこだわっているので・・協力体全体にとってもメリットがあるのか、よくわかりません。記事ではやたらと「日中韓サプライチェーン」を強調していますが、韓国としては、貿易構造の変化(すでに、中国が韓国に対して黒字を出すようになっている)を気にしたほうがいい気もします。




そういえば、「鉱物」というか、もうすぐ南鳥島周辺の深海からレアアース泥の試掘が始まります。確か、この前の日米首脳会談でもレアアースなどの協力についての話があったはずですが・・さて、どうなるのでしょうか。試掘に成功してもすべてがうまくいくわけではないでしょうけど、成功への第一歩を祈っています。すでに第一歩というレベルは超えている気もしますが。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・中国産原材料、日本産素材・部品、韓国産完成品に緊密に繋がっている日中韓サプライチェーン三角構図が揺れる可能性があるという懸念のためだ。政府は日中両国の動向に対するモニタリングを強化し、対応策の策定に乗り出すことにした。7日、産業通商部によると、政府は8日、産業資源安保室長(職務代理)の主宰で会議を開催し、中国の対日本輸出統制措置による国内産業の影響を調べる予定だ・・・・政府が緊急点検に乗り出したのは、中国の今回の措置が国内産業に少なくない影響を及ぼす可能性があるためだ。韓国の場合、李在明大統領の訪中で、中国と友好的な雰囲気を形成しているだけでなく、今回の輸出関連措置の直接的な対象には含まれていない。




しかし、日中韓のサプライチェーンが緊密に繋がっているだけに、安心できないという雰囲気だ。実際、韓国は2021年、中国とオーストラリアの葛藤に伴う中国の尿素輸出関連措置の影響で、尿素水関連でまさに大乱事態を経験したことがある。これに先立ち、2019年には日本が韓国をホワイトリスト(輸出優待国名簿)からはずしたことで、核心半導体素材の輸出を制限し(※実際は他国と同じプロセスが必要になっただけで、制限などしていません)、国内のメモリメーカーが部品難を経験した(ソウル経済)・・>>

 

<<・・最近、日本・米国・オーストラリアが鉱物の探査から採掘・製錬・リサイクルまですべての過程を合わせる連携を強化したことが、注目されている。日米豪3国協力の本質は、役割分担の体系化だ。オーストラリアは資源採掘を、日本は精製・加工技術を、米国は巨大な需要市場と制度的インセンティブ(IRAなど)をそれぞれ担当する。これは単なる購買先の多様化ではなく、規範・金融・技術を組み合わせたサプライチェーン・システムの構築だ。特定の国が資源を武器化することに対応するための、集団的防御装置でもある。日米豪3国協力を見ながら、韓国が得なければならない示唆点が少なくない。まず、サプライチェーンの安全保障の資産化だ。

これまで韓国企業は費用効率性を理由に中国産鉱物に多く依存してきた。しかし、核鉱物はもはや安い原材料ではなく、国家安全保障と直結した戦略資産という認識転換が緊急だ。韓国も両者協力にとどまらず、日米豪3国が構築した多者協力体系に積極的に参加しなければならない。同盟中心のサプライチェーン再編は選択ではなく、すでに進行中の現実だ(中央日報)・・>>

 

こんなときにかぎって「同盟中心」というのが、まず、もっとも問題ではないでしょうか。「5年に1回ずつ政策の根本方向が変わる」と言われている韓国。どっかで聞いただけの話ですが、「昔は、両国の経済が緊密に繋がっているのは、それだけで安全保障になったいた。しかし、最近は、その繋がった経済が、外交的な圧迫の手段になることが多い」。中国への経済依存度がもっとも深い韓国の参加は、多国間協力体の政治リスクを増やすだけではないでしょうか。

 




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください

   ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。