韓国メディア「なぜ関税問題で日本は韓国と協力しなかったのか」

衆議院選挙での高市首相の圧勝で、米国関連記事が増えました。例の25%関税問題(これは別に合意を守ればそれだけのことですが)において、日本が韓国と協力してくれないからこんなことになったとする記事も出ているし(ハンギョレ新聞、10日)、日米がさらに近くなるし、その日本は右側へシフトしていくだろうから、米韓同盟がさらに重要になる、という記事も出ています(デジタルタイムズ、9日)。同盟が重要なの、そこ? な感じですが。中には、先に米国と関税関連の貿易協定に合意した日本のことで、閣僚クラスの人が「野俗だ(冷たくて情が無いという意味)と思った」と話した、という内容まで出てきます。

いつものことですが、韓国側が日本のことをどう思っているのか、その心理が垣間見える話ではないでしょうか。記事本文にも書かれていますが、トランプ関税関連で、日本では日韓協力という話はまったく出ていません。記事はこれを「問題だ」「囚人のジレンマだ」としていますが、逆に、「なぜそんな話が出ると思ったのか」が分かりません。これは日韓(日中韓)FTAとか経済共同圏とかの話でも同じですが、協力と言っても、日本が韓国を守るべきだという内容ばかりです。それが、日本にとってどういう得になるのか、なぜ『日本の立場で』そうしなければならないのか、そんな内容はありません。以下、両紙から<<~>>で引用してみます。

 




<<・・日本自民党が8日に行われた衆議院選挙(総選挙)で創党以後最多議席を確保する圧勝を収めた。 316席を占めて憲法改正案発議が可能な3分の2議席を超えた。自民党の圧勝は、日米関係がより強固になっていくことを示している。すでに日米同盟は北東アジア安保の核心軸として働いてきたが、今回、自民党が強力な政治的動力を確保したことで、その結束は一層強化されるものと見られる。アメリカはこれを歓迎するだろう。中国牽制とインド・太平洋戦略を推進する過程で、日本の防衛費増額、自衛隊の役割拡大、平和憲法改正議論​​などはすべて米国の負担を軽減する。自民党の圧勝は、日本が米国の戦略にもっと積極的に呼応できる政治的条件を設けてたと見ることもできるからだ。

問題は、韓国の立場だ。日米が密着するほど、韓国の外交空間は相対的に狭くなるしかない。日米韓共助の重要性が大きくなるという点では肯定的ではあるが、日本の右傾化などまで勘案すれば安心できない状況だ。日本が米国との関係を支えて外交的主導権を強化しようとする場合、韓国の戦略的選択肢は、少なくなる。そうなればなるほど、米韓同盟の重要性は一層、必要になってくる。米韓同盟は単なる軍事協力を超えて、重要な安全装置だ。日米同盟が強化される環境で、韓国が米国との信頼を揺らすことなく維持できなければ、域内戦略構図での発言権は弱まるしかない。




日本が米国に近づくほど、韓国も米韓同盟を中心軸にしてバランスを取らなければならない。もちろん日本と対立しようという話ではない。日韓協力は当然必要だが、その前提は、米韓同盟という明確な基盤の上でなされなければならない、と言いたいのだ。韓国が米国との共助を通じて戦略的信頼を強固にするとき、日本との関係でも主導権を失わない可能性が高くなる(デジタルタイムズ)・・>>

 

<<・・「巨大な」米国を相手に、両国(※日韓)がちゃんと力を合わせてこそ、少しでも有利な交渉結果を引き出すことができたからだ。だが、韓国より経済規模が大きく、耐える体力も多かった日本は、(※両国が共同でトランプ関税に対応することについて)関心を示さなかった。そもそも、日韓協力の必要性に対する言及自体がなかったが、唯一、見つけた事例は、「日韓両国が対米関税交渉に共同対応するのはトランプ大統領をさらに刺激する可能性がある」(西野純夜慶應大教授、朝鮮日報、2025年7月16日インタビュー)くらいだった。

この冷たい「現実論」のように、日韓の対米交渉は別々に行われ、結局、先に合意に達した日本に向けて、金容範 大統領府政策室長が「ちょっと野俗な面があった」(昨年10月29日ブリーフィング)と、一言を吐き出すことになる。弱者の連帯はなぜ難しいのか、不可能なのか。これを説明する「囚人のジレンマ」という非常に古典的な理論がある・・

・・トランプ大統領の先月27日、「関税引き上げ」について発言し、そのリスクで始まった現在の危機。それがなぜ起こったのかも、同じ理論で説明できる。米国はなぜ韓国の対応が遅いと判断したのか。比較対象があったからだ。日本は昨年10月29日、米国に投資可能な計21事業(計4千億ドル)を「ファクトシート」形式でまとめて公開し、日米覚書(MOU)に沿って設置することにした「協議委員会」をすでに4回も開催した。この結果をもとに、来月19日と予想される高市早苗 首相の米国訪問に合わせて、第一号投資事業を発表する予定だ。

さらに、日本経済新聞は、7日の1面のヘッド記事で、1号事業に「人工知能データセンターに電力供給のためのガス火力発電所(約400億ドル)建設」、「大型タンカーが接岸できる港湾(約20億ドル)建設」と報じた。素直に言うことをよく聞く日本が気に入ったのか、トランプ大統領は5日、自身のソーシャルメディアに高一首相の勝利を祈る露骨な「内政干渉」に乗り出した(ハンギョレ新聞)・・>>

 




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
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