最近の「米韓同盟の亀裂」に関連して、「信頼」を呼びかける主張が増えてきました。言うのは簡単ですが、短期間で出来上がるものでもないでしょうに。そういえば、関税合意関連も結局はそういうものでした。今回、安保専門家の寄稿があったので、紹介します。この件で積極的に記事を載せている文化日報の27日の記事で、書いだのはソウル大学アジア研究所の研究員、米8軍(韓国に駐屯している米軍陸軍部隊)のFUOPS(Future Operations、将来作戦)部署の将校出身の人です。本文の内容も基本的には同じで、要は信頼資本であり、米国は、日本とは異なり、韓国のことを「必要なときに、側にいないかもしれない」と思うようになるだろう、そんな可能性がある、という話です。今回黄海上空で起こったこと、日米韓訓練への韓国軍の不参加、そんなものは、思ったより大きな出来事であり、域内勢力のバランスそのものに関するシグナルとして理解する必要がある・・そんな内容です。なぜか日本関連の話も出てきます(笑)。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・最近、北東アジアの安保情勢は、単純な葛藤を超えて、巨大な、そして構造的な転換期に入っていると言えるだろう。米国と中国の間の全方位的な戦略競争が固着化しつつある中、北朝鮮の核・ミサイル能力は、もはや高度化を超えて、実戦配置といってもいい段階に達しており、日本は「反撃能力」保有を宣言して、前例のない防衛力増強に拍車をかけている。このような多層的な緊張の高波の中で、最近、黄海で実施された日米連合訓練(※日米韓予定でしたが日米だけになりました)と、韓国の不参加決定は、単純な外交的ハプニングだけでは説明ができそうにない。これは、米韓同盟がどう機能するのか、日米韓の安全保障協力の臨界点、及び、域内勢力のバランスの未来を決定する、重大な戦略的信号(Strategic Signaling)として解釈されなければならないのだ。
黄海はm地政学的に、非常にリスクのある空間である。ここは、北朝鮮の射程圏内にある。そして、それと同時に、中国海軍の活動半径が、急激に膨張する海域でもある。中国にとって、黄海は首都圏防衛の「内海」であり、米海軍の接近を遮断しようとする接近遮断(A2)と地域拒否(AD)戦略の核心となるテスト場だ。反面、米韓連合戦力としては、朝鮮半島の有事の際に、大規模増援電力が展開される、まさにライフラインとも言える通路になる。したがって、ここでの日米両国の訓練は、象徴的ま武力デモ以上の意味を持つのだ・・・・韓国が日米訓練に不参加したことは、単なる軍事的な空白というより、「政治的な不確実さ」の拡張によるものである。それが、より大きな問題を招くのだ。
同盟というものは、成文化された条約よりも、繰り返される訓練を通じて蓄積される信頼資本(Trust Capital)に基づいているものだ。連合訓練の頻度と強度は、同盟の健康さを示す、最も可視的な指標である。特に、米韓の「拡大抑止」の実効性は、制度化の深さに比例する。黄海のようなリスクの高い地域での訓練参加を避けるようなことが繰り返されれば、米国内では、韓国を「必要なときに隣にいてくれないかもしれない、そんなパートナー」と認識する危険性が大きい。これは、長期的に、韓国の安保主権と交渉力を弱める、ブーメランになって返ってくる可能性が高い。
中国という変数も見落とすことはできないだろう。韓国が黄海の日米連合訓練の参加に消極的なのは、短期的に見ると、中国との摩擦を避けるための方策になることもできるだろう。しかし、国際政治というのは、「弱い環」を掘り下げる準備過程だ。原則が欠けている曖昧さは、むしろ周辺国に誤判の根拠を提供するだけだ。同時に、日本の変化にも注目しなければならない。日米安全保障協力はすでに技術的一体化段階に入った。韓国が躊躇している間、日本は米国の最も核心的な海洋パートナーとしての地位を固めている。これは、朝鮮半島問題に対する日本の発言権を育てることになるし、長期的には米国が韓国ではなく日本とだけ疎通する現象を引き起こすことができる、構造的変化だ。
結局のところ、核心は、韓国が北東アジアの安全保障地形において、どのような「戦略的アイデンティティ」を目指すのか、である。安保政策は、感情的民族主義や短期的費用回避を目的に設計されてはならない。連合訓練は、抑止力を維持するための必須行為であり、同盟は相互費用分担と一貫性を食べて生きるのだ。今では、訓練データと周辺国の膨張速度を総合的に検討し、「戦略的明瞭性」を確保しなければならない。海に進む日米と、後になって歩きだす韓国の間の隙間が、さらに広がる前に、同盟の価値と国益の交集合を精巧に描き直すべきだ(文化日報)・・>> 明日は1日休みを頂きます。次の更新は、3月1日(日曜日)の11時頃になります。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。