前に本ブログでも取り上げましたが、韓国では「(イラン問題に直接参加していない国では)韓国がもっとも大きな影響を受けた、という報道が相次いでいます。今回、米国のシンクタンクCSISが関連した報告書を出しました。CSIS公式ホームページの「The Impact of the Iran Conflict on South Korea: By the Numbers」という報告書です。韓国では朝鮮日報やマネートゥデイなどが報じていますが、意外とあまり話題にはならないでいます。「実際の」石油(引用記事では原油としていますが、石油製品なども含めます)の備蓄状態を見てみると、政府の石油備蓄が26日分、民間と合わせても67日分しかない、とのことでして。発表では208日分となっています。こういう話題によく名前があがるビクター・チャさんなどが制作した報告書です。他にも、「もっとも大きな影響を受けている」としています。ちなみに、韓国では大統領が在宅勤務を勧めると発表しました。交通の混雑なども理由ですが、やはりもっとも大きな理由は、エネルギー問題ではないでしょうか。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・イラン事態によるホルムズ海峡封鎖が長期化し、韓国経済の脆弱性がそっくり露出しているという分析が提起された。米戦略国際問題研究所(CSIS)は、韓国が非戦闘国の中で最も大きな打撃を受けたと評価し、今後の原油需給、対イラン交渉、対米関係管理など主要政策対応で負担が大きくなると見ている。CSISはコスピ指数が43年の歴史上最悪の日々落幅を記録し、ウォン価値が17年ぶりの最低値を更新した点を例に挙げた。経済協力開発機構(OECD)が韓国の経済成長率見通しを主要経済国の中で最も大きな幅である0.4%ポイント下方修正し、物価上昇率見通しは2.7%に上方修正した点も言及した。韓国経済が高インフレ、高金利、ウォン安の三重の問題に直面する懸念も出ている。CSISは、ホルムズ海峡封鎖で韓国の半導体サプライチェーンまで揺れる危険があると指摘した。韓国はヘリウムの64.7%をカタールから輸入するためだ。
半導体産業では、ヘリウムはウェーハ温度を迅速に調整したり、チャンバー内の超高真空環境を維持するために使用され、レーザー切断およびエッチングプロセスにも利用されます。ヘリウム価格はイラン事態で40%以上急騰したが、まともな代替材がない状況だ。韓国の原油備蓄量も書類上の数値と実際の運営上の乖離があるとCSISは指摘した。国際エネルギー機構(IEA)によると、韓国の戦略備蓄油は208日分に集計される。しかし、これは純輸入量基準だ。国内消費と輸出を含む消費総量を基準にすれば、政府備蓄量は34日分に過ぎないというのがCSISの評価だ。ここにIEAの備蓄油緊急放出(※共同放出であるため、韓国も参加することになります)に出す分まで考えれば、26日分に減少する。CSISは民間備蓄油を合わせても67日分に過ぎないと指摘した。
CSISはこのような分析に基づいて韓国政府の政策対応シナリオを見込んだ。まず、イラン事態の波及効果が、経済を越えて政治領域に拡散する可能性に注目した。特に、6月の地方選挙で与党の成績に影響を及ぼす可能性があり、これは党内の進歩的支持層の影響力を強化する要因として作用できると見た。これはこれまで対米・対日関係で慎重な基調を維持してきた政府の外交路線とは多少異なる方向につながる可能性がある、という分析だ。ホルムズ海峡通航問題に関しては、韓国がイランとの交渉と米国との関係管理の間でバランスを模索しているとした。ただし、韓国が先制的にイランと交渉に乗り出す可能性は制限的であり、日本の対応を参考に政策方向を決定する可能性が大きいと見ている。
イランとの直接交渉はかなりのリスクを伴うと分析されたためだ。CSISはドナルド・トランプ米国大統領が対イランの圧力基調を維持する場合、韓国の対イラン合意がネガティブに受け入れられ、関税の引き上げなどの措置につながる可能性があるとした。一方、トランプ大統領の最近の発言のように、ホルムズ海峡通航問題を各国に任せる基調が維持される場合、韓国政府が通行料の支払いや一部タンカーに対する例外確保を試みる余地もあるとした。ただし、韓国国籍タンカーの多くが、サウジおよび米国企業と契約関係に結びついており、このように解決可能な物量は制限的であると見通した(マネートゥデイ)・・>>
<<・・ただし、CSIS主張のとおり「韓国が最大の影響を受けた」という結論は、やや誇張された側面があるという指摘も提起される。特定国家を「最大の影響」とするには、比較対象国家とのエネルギー依存度、産業構造、金融市場の影響などを総合的に比較した定量的根拠が裏付けられなければならないが、該当分析は韓国事例の脆弱性だけを集中的に浮き彫りにした側面が大きいということだ。実際、日本や欧州諸国も中東エネルギー依存度が高く、同様の問題にさらされており、金融市場の急変もグローバルリスク回避心理が反映された結果であることから、韓国だけを例外的に強調することは難しいという反論も出ている(朝鮮日報)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。