イスラエル政府が、韓国の李在明大統領を強く批判しました。「糾弾(condemnation)」という用語を使ったとのことですが、外交用語としてものすごく強力なもので、ソース記事の朝鮮日報(12日)によると、これは普通に相手国に首脳に使う用語ではないとのことです。日本の場合「遺憾」もそうですが、公式用語というのは使うものがほぼ決まっていると聞きますが、その中でもかなり強力なもの、ということでしょうか。事の始まりは、李在明大統領が、「イスラエル軍がパレスチナ人を建物の屋根から突きおとす映像」を取り上げ(SNS)、問題視したことです。戦争でこのような非人道的な問題が起こるのはよくない、という趣旨には同意します。後述しますがイスラエル側も、これは「イスラエル軍の方針にそぐわない」「深刻な問題」と認め、公式に調べると発表しています。しかし、今回、李大統領がこの件を取り上げたことにイスラエル政府が講義しているのは、「そこ」ではありません。
イスラエル政府が問題にしているのは、李大統領はこの件を「ホロコーストも慰安婦問題も同じ類のもの」と話した(SNSに書いた)ことです。イスラエル政府は、「戦時での軍事行動と一緒にしてはいけない」という立場ですが、いまのところ李大統領は発言(投稿)を取り下げていません。ちなみにこの映像、「軍が武装勢力との銃撃戦の後、パレスチナ人の遺体を建物の屋根から、足や手を使って突き落とした」映像で、AP通信などがこの場面を撮影し、映像がSNS等で広く拡散されました。イスラエル政府も問題を認め、調べると発表しました。ただ、これは2024年9月に問題になったことです。なんで李大統領が、これをわざわざ今の時点で取り上げたのか、というのがよくわかりません。
また、5日にも紹介したことがありますが、中国や北朝鮮関連では、李大統領は人権問題などを提起していません。「ほぼ全国民の分」とされる個人情報流出問題においても、北朝鮮抑留されている(少なくとも)7人の韓国国民についても、李大統領は何も言っていません。外国メディアの記者会見で関連した質問がありましたが、李大統領は「初めて聞く話」としか話していません。朝鮮日報(3日)によると、一緒にいた参謀に「そうなのか?」と尋ねた、とのことです(5日に本ブログで取り上げています)。もちろん、それからも李大統領がこの件を取り上げたことはありません。「非人道的なことをやめなさい!」という趣旨ならわかりますが、まずはこのようなダブル・スタンダードをなんとかすべきではないでしょうか。「タイミング」が最大の問題だとも言えますが。以下、朝鮮日報の記事を<<~>>で引用してみます。
<<・・李大統領は、この事件が最近起こったかのように書いたが、これは2024年9月に発生した事件でした。これが問題になると、李大統領は3時間後に再び文を載せて、事実関係を明らかにした後、イスラエルが人権と国際法を守らなければならないという立場を強調しました。しかしイスラエルは、李大統領がホロコーストを軍事行動のようなものとして扱っているとし、強く反発しました。イスラエル外務省は11日、X公式アカウントを通じて「李大統領の発言は、受け入れることができず(unacceptable)、強力な糾弾(condemnation)を受けて当然だ」と明らかにしました。これは通常、友好国の首脳の発言に使用する外交的表現をはるかに超えたレベルです。外交関係者たちは、「大韓民国と修交関係にある国家が、その大統領に向けて「unacceptable」と「condemnation」という表現を同時に使用した事例を見つけるのは難しい」という話が出ています。
特に「condemnation」は通常、敵対国の挑発や深刻な国際法違反行為を糾弾する際に使用される最高水位の外交用語という点で問題があります。イスラエル外務省は、李大統領が言及した事件に対して「テロリストに対して作戦中に発生したものであり、当時イスラエル軍人たちは命に対する直接的で緊迫した脅威に直面していた」と反論しました。続いて「この事件はすでに2年前に徹底した調査と措置を経ている」と述べました。また、「李大統領から最近、イランとヘズボラがイスラエル市民を相手に敢行した攻撃については一言も聞いていない」と指摘しました。そして「投稿する前に事実関係を確認することがいいのではないでしょうか」と、事実上、「からかう」に近いメッセージを付け加えました・・
・・韓国に対しても公開的に強硬対応に乗り出して、友好国首脳に対して守らなければならない線を越えてしまいました。これに対して、李大統領がイスラエルの外務省の声明について再び投稿して反論したことは、状況をさらに悪化させました。李大統領はイスラエル側の反発について、Xに「反人権・反国際法的行動に苦しんでいる全世界の人たちの指摘を、一度振り返ってみても良さそうなものだが、がっかりした」と書きました。イスラエルの外務省の声明に反論するには、外交部の広報担当者がやればよかったのに、あえて李大統領が再び出なければならなかったのかどうか、疑問です・・・・議論が再び広がる兆しを見せると、韓国外交部が出てきました。外交部はXに「イスラエル外交部が李大統領発言の趣旨を誤って理解した」とイスラエル政府に残念を表明しました(朝鮮日報)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。