記念館、映画など、強化される李承晩初代大統領の英雄化・・ユン大統領も寄付

韓国の保守派は、李承晩(イ・スンマン)初代大統領を国父とします。百歩、いや百光年譲って、保守側の象徴的な人物を1人選べというなら、朴正煕大統領ではないでしょうか。そもそも、「偉人」がいませんので、選びようがありませんが。李承晩大統領をやめさせた大規模デモ、韓国で言う「419義挙」は、憲法前文にも書いてあるのに、保守からはいまだ国父とされる矛盾。ある意味、このネジレこそが、右も左もなく韓国現代史を象徴しているとも言えるでしょう。その李承晩氏の英雄化作業が、また強化されています。「奇跡の始まり」というタイトルの映画が上映されているし(一応ドキュメンタリー映画のようなものなので話題になっているとは言い難いですが、つい最近公開されたと聞きました)、記念館も作るということで、ユン大統領も500万ウォンを寄付しました。ペンアンドマイクによると、いまのところ、55億ウォンが集まった、とも。以下、<<~>>で引用してみます。

<<・・ユン大統領は寄付し、「国民の一人として李承晩大統領記念館建設の成功を応援する」と明らかにしたと、大統領室が伝えた。大統領室は「李承晩大統領は世界を舞台に自由民主主義国家を作るための建国運動を行った」とし「李承晩大統領が成し遂げた市場経済体制と韓米同盟は大韓民国発展の礎となった」と評価した。現在、記念館建立キャンペーンは李承晩大統領記念財団を中心に行われている・・・・去る9月11日に始まった国民寄付運動は10月26日基準で約55億ウォンが集まった状況だ(ペンアンドマイク)・・>>

 

某地方都市に記念館があるにはありますが、地域メディアによると「ガラスが割れたまま誰もいない」とのことでして、ソウルに新しいものを作る、とのことでして。主にキリスト教関連の団体が積極的に動いているそうです。臨時政府を国家の母体としている韓国ですが、李承晩氏はその臨時政府の初代大統領でした。亡命政府だけど政府だから大統領が必要だ、ということで選出されたそうです。でも、1919年、国際連盟が創設される動きに合わせて国際社会(事実上、米国)に朝鮮半島の委任統治を頼もうとしたこと(米大統領への請願書など)が明らかになり、1925年、臨時政府から弾劾されます。朴槿恵大統領の弾劾が有名ですが、国はまで出来てもいないのに、勝手に政府を決めて大統領を決めて弾劾していたわけです。当時李承晩氏は米国にいましたが、弾劾を受け入れたものの、米国などから集めた資金を臨時政府に送らず、自分で使うことにしたと言われています。

 

それからのことは、もう説明も必要ないでしょう。戦後から朝鮮戦争までの期間、国際情勢をまったく把握できず、朝鮮戦争では国軍が勝利しているという放送を流し、自分だけ逃走。朝鮮戦争では何もできなかったのに『このまま統一すべきだ』と主張して連合軍を呆れさせ、休戦協定にも参加せず。韓国では「米韓同盟を作った人」とされますが、朝鮮戦争後の復興もまったく進まず、米国は「支援したものはいったいどこへいったのか」に疑問を抱くようになり、米韓関係は思わしくない状態でした。それから選挙関連の不正などで大規模デモが発生したときにも、米軍は李承晩政権を守るために何もしませんでした。このときのデモ(419義挙)は憲法前文にも記されています。これが憲法前文に記されるほどのことなのかどうかはともかく、憲法前文に記された行動によって国外へ逃げ出した大統領を国父としながら記念館に現職大統領が寄付する状態。いつものことですが、わけがわかりません。

 

 

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