韓国の市民記者が見た、日本の「部活」文化

数年前のものですが、研究員として日本の大学に派遣されていた韓国の市民記者が書いた「部活」関連記事を一つ紹介します。オーマイニュース2019年2月15日の記事です。記者は、日本のある高校に、多くの垂れ幕が設置されているのを見て、最初は「学校の自慢に熱心だな」と思ったそうです。でも、よく読んでみたら、何かの大会で賞を取ったという内容だけでなく、「~大会進出」などの内容もあったからです。韓国社会では、なにかの賞を取った、特に1位を取ったという内容ばかりだからです。記者は、日本の部活について知るようになってから、それが理解できたと言います。

記者は、韓国のスポーツ選手育成が、いわゆる「エリート体育」と呼ばれているものの、それはスポーツを選んだ学生10%だけが進学でき、90%は何の安全装置もなくただ捨てられるシステムにすぎないとしながら、甲子園で優勝したチームの選手が普通に勉強して進学する日本の部活文化に驚きが隠せない様子です。記事本文に「韓国にも『特別活動』というのがあるけど、1週間に1時間だけだったと記憶している」という内容がありますが、それ、私のときもそうでした。いまは完全されているかも知れませんが、運動選手になろうとする学生たちは、基本、授業には出ません(出るとしても午前だけ)。初期の拙著に、「韓国で運動部というイメージは、勉強はせず、運動だけをするというもの」という趣旨を何度か書いたのもそのためです。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・日本の中高に「部活」というものがあると分かり、理解できるようになった。ブカツは、あえて韓国語に翻訳すれなら「特活」になるだろうか。私が学校に通っていた時を思い出してみると、週に一時間ずつ、勉強の他に運動や趣味、宗教活動をする時間だった。しかし、週に1時間だけで、それ以上は「学業に熱中しなければならない」だった。今も大して変わってないと思う。日本では、サッカー、野球、バスケットボール、卓球、バレーボール、水泳などスポーツも、バンド、美術、書道、外国語、茶道のようなものまで、やりたい趣味活動を選ぶ。ここまでは特活と同じだ・・

・・しかし、次元が変わる。授業が終われば毎日、運動場や体育館、練習室に集まり、練習をして家に帰る。日本の中高生は夜間自習や塾ではなく、運動や趣味生活を送っているのだ。部活は学校内だけでなく、大会にもつながる。 毎年行われる県大会や全国大会に出場するためには、他の学校と予選競技をしなければならない・・・・予選なしにどのチームも参加できる韓国の鳳凰旗高校野球に参加するチームが60~70程度なのに、「甲子園」と呼ばれる日本高校野球選手権大会は参加チームが4000を超える・・

 

・・しかも中3になれば、すごい才能のある子は高校チームにスカウトされることもあるが、ほとんどは部活をやめる。進学試験を準備しなければならないからだ。高校に行っても同じだ。大学チームやプロチームに行く人もいるが、ほとんどは進学を選ぶ。私たちの場合は、全国大会で良い成績を出さないと、大学に行けない。そのため、すべてをかけて大会で成績を残そうとする。しかし、日本ではそうしない。普段は、部活活動とともに学校の授業も着実に受けているからだ。甲子園で優勝したチームのエース選手たちも、進学して名門大学に入る場合が少なくない。だから、全国大会などに出場するというのは、その成績から離れて、それ自体ですごいことなのだ。垂れ幕を設置するだけのことは十分にある・・

・・(※授業にも出ず、運動だけさせられた記者の学生時代の経験の話のあとに)いまも、私たちの学校スポーツは何も変わっていない。少数の選手を選んで、勉強はせず、ただ運動だけする機械として育てる。その中の一部だけが(※大学スポーツチームなどに)進学できる。ほかは何の安全網もなく放り出されるシステムだ・・・・エリート体育? 誰が作った言葉だろうか。10%だけエリートを作って、残りの90%は社会に適応できない人にするものなのに、それのどこがエリートシステムだ。おちこぼれ体育だろうが(オーマイニュース)・・>>

 

 

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