朝鮮時代にも「ヨンクル」があった・・1400年代から変わらない不動産投資熱風

本ブログで他の日本メディアより早く紹介できた単語として、個人的なホルホル案件ですが、「ヨンクル」という言葉、ご存知でしょうか。霊魂までかきあつめるという意味で、無理をして資金を用意し、それで家を買って、値上がりに人生をかける人たちのことです。韓国で、「朝鮮時代にもヨンクルがありました」という本が発売され、簡単な紹介記事もあったので、今日エントリーしてみます。

朝鮮時代がどういう時代だったのかについては、韓国内でも、人によって見方が大きく異なります。ただ、一部、「日本のおかげで近代化できたのは事実だ」と主張する学者たちが現れるようになり、それに対抗するため、「自力で近代化できたのに」という設定が作られ、その設定に異論を提起することはなかなか難しくなりました。引用部分にもちょっとだけ話が出てきますが、時代劇などでソンビ(文官)は「争いを知らない清廉潔白なもの」とされているので、時代の流れに対応できなかったのは「ソンビ精神に一貫していたためだ」という主張も有名です。

 

ですが、このまえ「物質主義」関連でもふれたことがありますが、実は朝鮮の儒教はものすごい物質主義的側面を持っており、社会的、言い換えれば経済的地位と人の「徳」の尺度のように考えられていました。これまた引用部分にありますが、実は朝鮮は高麗時代の土地文書(土地所有権関連)をすべて焼却し、土地公概念を徹底すると公言しながらスタートした国です。にもかかわらず、高麗よりずっと身分・地位を重視する、超格差社会になりました。北朝鮮が連邦統一した後の国を「高麗連邦」としているのも、朝鮮のことを「ブルジョア社会だったので、あまり評価できない」としているためです。

ソース記事は、「いちいち朝鮮不動産実録」という本の、簡単なレビュー記事です。本を読んでないので本そのものについてではなく、あくまで公開されている記事内容(アジア経済11月10日)だけをソースと致します。本の中心内容は、「ソンビって、実はものすごく物質にこだわっていた」「朝鮮時代にもヨンクル(ムリな投資で家を買う)があった」などです。30代になって家を持っていない両班(ヤンバン、貴族階級)は社会的地位を得ることができず、家を買おうとしても借金しないといけなかったし、「待機番号」だけで結局買えなかったり、しかもサ◯が多く、相当カオスだった、とのことでして。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・(※30代になっても家を所有してないという周辺の視線が気になって、いまの価値で約25億ウォンを借金して漢陽に家を買おうとし、しかも仲介業者にだまされそうになったあるソンビの日記などを紹介した後に)本は、朝鮮時代のソンビたちの、率直で「ダーク」な不動産の話で構成されている。朝鮮時代、ソンビたちは文官登用テストだけでなく、漢陽(※ソウル)に家を持つだめにどれだけ努力したか、記されている。私たちによく知られている、お金を重視せず、清廉潔白であろうとするソンビの姿はどこにも無い。著者は、朝鮮建国以後、ソンビたちの不動産に対する姿勢がどのように変わったのか、彼らの日記や各種記録を通じて見せてくれる。

朝鮮は本来、高麗貴族たちの、土地や不動産投機に対する反発で起きた国だとも言える。従来の貴族勢力の土地文書をすべて燃やして、土地公開念を根幹にした国家だったのだ。だが、人口が増え、貨幣経済の登場で、その公開念は跡形もなくなる。特に貨幣が通用されるようになってからは、ソンビたちは不動産を命のように考え始めたという。19世紀になり、不正腐敗と、近代化費用を名目にして、朝鮮朝廷は引き続き貨幣を大量に発行し、今どきの言葉で量的緩和を続けた。これによりインフレが起きて、ソンビはもちろん、平民階級も、不動産投資にさらに集中することになった(アジア経済)・・>>

 

余談ですが、その「投資」で一発当てた人には、貴族ではない人たちもいました。彼らは、その金で、貴族の身分、家系図などを「買う」こともできたと言われています(これはソース記事の内容ではありません)。マンション(?)投資で一発当てれば貴族になれるという発想は、昔からあったわけです。朝鮮時代、結局最後まで住居問題は解決されませんでした。その理由の一つが、この不動産投資熱風だ、と著者(記事)は主張しています。なんか、変わってないというか、そのままだというか、そんな感じです。

また、最近韓国では伝貰(ジョンセ、家を貸すこと)詐欺流行っていて、多くの入居者たちが大変なことになっていますが、朝鮮時代にも同じことがあったそうです。ソース記事に載っている表紙の内容ですが、ソンビの姿をしている二人がこう会話しています。A「ここは、私が(※大家から借りて)住んでいる家なんですが」、B「大家が私に売ったよ」。家の価格が、適当ですが10億ウォンだとします。大家は、Aからジョンセ保証金5億ウォン(これも適当ですが)をもらって、Bに10億ウォンで売ったのです。大家は、Bに売った分だけでなく、Aからジョンセ保証金までもらったわけです。さすがに最近はこうはいかないと思いますが、本当、基本パターンは変わってないな・・と思わざるを得ません。

 

 

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