朝鮮日報「総選挙で負けたら、大統領は辞任すべき」「任期を理由に、機能しない政権を続けるべきでない」

来年4月の総選挙について、「総選挙でまけたら、大統領は任期中であっても(辞任を)決断しなければならない」というコラムがありました。ハンギョレ新聞ならともかく、なんと朝鮮日報です。同紙の主筆出身で、保守系ではかなり有名なコラムニスト、キム・デジュン氏が書いたものです。氏は、4月総選挙の結果は、国民がユン大統領と李在明(イジェミョン)代表のどちらを選ぶのかを意味するもので、「ユン大統領の任期中では最後の選挙になる」、「まけたら、その時点で政権交代になったのと同じだ」、「任期中でも、決断をしなければならない」」と主張しています。

個人的に、そこまで大差で結果が出るかな・・とはまだなんとも言えません。しかし、何か関係者だけにわかる情報でもあるのか、共に民主党では「大統領弾劾が可能な」200議席(3分の2)まで可能だとする声が出ているし、与党「国民の力」では、いまより少ない100議席を予想する声まで出ています。しかし、本ブログで何度か取り上げた与党内の分裂はまだおさまる気配が無く(12月27日に一部与党メンバーが新しい政党を立ち上げるという話もありますが、本当かどうかまではわかりません)、しかも与党核心委員会の長であるイン・ヨハン氏(帰化した人です)のことで、さらに内紛が強くなっています。

 

イン委員長は、党の多数の重鎮たちが、当選可能性が低いところで出馬したほうがいいと主張していて、これが党内で大きな問題になっています。こんな中、本当に総選挙で負けたら、もう辞任したほうがいい、というのがコラムの主な趣旨です。ユン大統領の判断に関係なく、総選挙で与党がまけることを事実上の政権交代とするなら、しばらく話題になった「日韓関係改善」というまぼろしのフレーズが、一気に現実に戻されるきっかけにもなるでしょう。もし与党が勝ったとしても、岸田政権の支持率が低いので長く続くことは無いでしょうけど。ちなみに、私は「与党過半数によるねじれ国会の解消(ユン大統領が就任した当時にこれを目標とする主張が結構出ていました)」は難しいだろうと見ていますが、だからといって共に民主党がそこまで大勝利するのだろうか、については疑問です。さすがに200議席は難しいのでは。とにかく、右側の危機感が半端ないのは、コラムから伝わってきます。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・来年4月10日の総選挙は、国会議員を選ぶ選挙だ。しかし、逆説的に、国会議員を選ぶ選挙ではない。事実上、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する国民の中間評価であり、李在明共に民主党代表に対する信任投票だ。国会の過半数を「国民の力」が持っていけば、ユン政権は2年ぶりにやっと実質上の政権交代を達成できるもので、共に民主党が勝てば「ユン政権」はもはや機能できないのはもちろん、存在することすら容易ではなくなる。そして政治は李在明の思った通りに流れるだろう・・・・そんな観点から、今回の総選挙は、国民の力と共に民主党の対決という形を借りた、ユン大統領とイ代表の再対決とも見ることが出来る。勝ったほうが全てを持っていくタイプの戦いだ・・

・・国民の力が国会の過半を得ることになれば、ユン政権はいったん安定を確保し、国を導いていく動力を得ることになる。「初心者大統領」としての未熟さ、リーダーシップ訓練の不在、人的資源の制限などが依然としてユン政権の課題として残るが、いったん拒否権行事でなんとかしていく立場からは抜け出すことができるだろう。何より、国家運営の大きな問題であるねじれ国会から抜け出すことができ、国政の一貫性と連続性が期待される。国民の力が選挙でまけると、尹大統領の政権は事実上、機能を喪失する。国民の過半が大統領を信任しなかったからだ。大統領の任期中に他の選挙はない。これが最後の評価だ。

 

さらに攻勢を強める左派勢力の前で、大統領は一瞬も耐えられないだろう。レームダックとかいう問題ではない。任期に関係なく、やめることだけが、「船長のない国」の混乱とみじめさを何とか出来る道だ。今も共に民主党は、当選してから2年経っただけの大統領を退陣させようと、一部は弾劾すると言っている。総選挙で勝利すれば、共に民主党に加えてあらゆる左派団体・勢力の退陣と弾劾要求はより強くなるだろうし、まるで無政府状態のようになるだろう。ユン大統領に愛国心があるなら、任期を口実にこのような難局を放置しないだろう。私たちは再び大統領選挙をしなければならない事態に直面するだろう(朝鮮日報)・・>>

左派からだけでなく、右派からも(まけたら)やめれやめろやめたらやめるべきと言われているユン大統領。さて、ここから本気出して(?)来年総選挙で善戦できるのか、それとも予想通り100議席あたりまで減って、そのまま『事実上の政権交代』になるのか。まずは年末~新年あたりに、本当に新しい政党が出現するのか、そこから、白目で優しく見守りたいと思います。

 

 

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