韓国の元企画財政部長官「なにかあれば『政府に頼る』考えが、社会主義国家より強くなってしまった」

韓国社会は、自助の力より、政府がなんとかしてくれることにたよりすぎでいる、という主張がありました。いま韓国でこのような主張をするのは、かなりの勇気が必要です。社会主義国家よりも、市場の力ではなく「政府(誰か)がなんとかしてくれ」という考えが強く、市場、すなわちシステムが理解できない人が多すぎる、そんな主張です。文化日報のインタビュー記事で、李明博政権で企画財政部長官だったパクジェワン氏の主張です。たとえば、宿泊施設で電気を多く使うと、自分にとっては追加費用が発生しないものの、システム的に見ると結果的には電気料金値上げの要因になるけど、そこまで考えない、と。

氏は長官だった頃、「ハードカレンシー通貨の国とは立場が異なる」としながら、緊縮財政、バランス財政を主張し、李明博政権とも仲がいいと言えませんでした。元長官によると、いまの韓国は『自助』の力(意味的に『市場』の力)を理解できずにいて、『福祉は政府の責任』とする考えが、ロシアとともに共同世界1位である、とのことでして。中国など社会主義国家よりも多かった、とも。本ブログとしては、やはり家計債務関連でよく出てくる話と繋がっている気がします。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・パク・ジェワン元企画財政部長官は一貫して「他人に頼らず自分の運命を自ら開拓する自助意識が消えていく時流」に対して強い懸念を表明した。彼は「国家別の価値観を調査した資料を見ると、努力より運を重視する傾向が、アジアで最も高い国が韓国になった」とし「社会のせい、親のせいをする世態を見ると、とても心配だ」と嘆いた。元長官は、個人を過保護したり制御したりする「保母国家」、「大きな政府」の遺産がもたらした結果だと強調した。票を得るためのポピュリズム政治が個々人の努力を全く反映しない不公正な補償システムを助長し、結局、自助意識を育てるシステムを止めてしまったという話だ・・

・・「世界価値観調査(World Values Survey)の最新の資料が2019年だ。世界主要国対象の調査で「福祉に対する政府の責任がどれほど大きいと思うか」という項目で、ロシアと韓国の肯定的な回答の割合が最も高かった。80%以上だった。社会主義国家である中国、キューバよりもはるかに高く、福祉先進国というフィンランド、スウェーデンよりも高い。あえて強く表現するなら、他人のせい、社会のせい、制度のせい、隣人のせい、さらに、ご先祖様のせいだとか親のせいだとかそんな話もする。「私のせい」とは言わない。「私は土スプーン」とあきらめる傾向も強い。努力よりも運がより重要だと思う割合も、アジアでは韓国が一番高かった・・

 

・・ダッチペイ(各自払い)だけでもモラルハザードを防ぐ合理的なシステムになる。今日は私が『撃つ』(おごる)とかそんなことで、過消費、過飲、過食となり、合理的に消費するシステムがなくなる。ダッチペイはいわば自己責任だから、そうはならない。 他にもいろいろなことが挙げられる。私たちは、自宅ではそうでもないのに、リゾート(※宿泊施設)などに行けば、入室した時から、出かけるときにも、エアコンをつけっぱなしにする。電気料金引き上げを誘発する要因になるという考えなしに、ただ本人にとって費用がゼロだからだ(文化日報)・・>>

元長官は、このように『自分が楽をしようとすると、必ずどこかで追加費用が発生し(言い換えれば、世の中にタダはない)、それが自分に返ってくる』ことをシステム、または市場と表現し、その力を理解しようとしないと、システムとのものが機能しなくなるとします。先も書きましたが、記事には書いてないものの、これのもっとも大きな表れが『家計債務』関連ではないでしょうか。あと、元長官は「市場を理解できない」としていますが、できないいうより、「理解したくない」人のほうが多いのではないか。個人的に、そう思っています。これもまた、家計債務などと繋がる心理ですが。

 

 

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