最近相次いだ中国・韓国のバッテリー合作企業、ほぼすべてが米国の補助金・税額控除にならず・・FEOC条項発表

3回か4回取り上げたことがありますが、主にバッテリー(と電気自動車)関連で、中国企業の韓国投資、及び中国・韓国の合作企業が増えています。日本では、日米を中心にサプライチェーン、生産拠点の再編が行われているニュースが多いので、対照的とも言えるでしょう。韓国メディアは「我が国の安定した生産インフラと技術力のおかげ」としながら歓迎する雰囲気ですが、中国側はインフレ抑制法など米国の関連措置を迂回するため、または米韓FTAを利用するためと公言しており、米上院エネルギー委員長がこの件で「もっと強い基準が必要だ」とイエレン長官に提案したりしました。

そんな中、米国がインフレ抑制法(IRA)のFEOC(※Foreign Entity Of Concern、海外の懸念される企業)関連条項を発表しました。FEOCとは、中国・ロシア・イラン・北朝鮮が所有・管轄・コントロールする企業のことです。表面的には「政府」と関連した企業ということにしていますが、事実上、ほぼすべての企業が該当します。それらFEOC、そして合作企業の場合も、電気自動車補助金、税額控除などの適用を受けることができなくする、という内容です。米国は昨年、FEOC規定を発表はしましたが、その具体的な適用範囲までは発表していませんでした。本件で問題になるのは、合作企業の「持ち分」です。ニュース1の関連記事によると、事前には、中国企業持ち分を50%まで許可するだろう、と予想していました。

 

それを意識してのことなのかまではわかりませんが、中韓合作企業は51対49の形で持ち分を決めています。中国49だから50は超えていません、ということですね。記事によっては、(少なくとも最近発表されたものでは)「全て」がこのレベルだとのことです。しかし、今回のFEOC条項は、25%を規定しました。中国企業の持ち分が25%を超えると、その企業は補助金などにあたいしない、というのです。多くのメディアは「大した問題ない」「持ち分を増やせばいい」としていますが、一部のメディア・専門家は、重要なのは『いつ基準が強化されるかわからない』ことであり、25までだから24にすればいいでしょう、という問題ではないと指摘しています。中韓合作企業で迂回しようとする中国の動きに乗ろうとした韓国企業としては、流れそのものが止まることになるのではないか、と。ただ、こういうのは「一部」の意見です。また、文化日報などによると、「2025年からは、重要鉱物(レアメタルなど)をFEOCから調達できなくなる」としながら、「現状、回避できる方法が見当たらない」とのことです。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・これまで国内バッテリー・素材業界は、FEOC細部規定の発表を控え、中国合作法人に対する持分率制限の範囲に注目してきた。これは、米国の輸出関連措置を迂回しようとする中国企業と、安定した原料供給先が必要な韓国企業の考えが一致し、最近韓中合作会社設立の動きが活発だったためだ。先月、ウォールストリートジャーナル(WSJ)は証券取引所の公示によると、中国のバッテリー関連企業が韓国とモロッコとの合作投資という迂回経路を通じて米国市場に進出しようとしているとし、今年に入って韓国で9件以上の合作事業計画を発表したと報道した・・

・・中国側の投資持分を下げるために、韓国企業の追加負担が大きくなる。生産ラインの設立に兆単位の資本が入る点を考慮すると、持分追加買取だけでもに数千億ウォンの追加投資が必要になる可能性もある。黒鉛など中国依存も高い「核心鉱物要件」達成が現実的に難しいという点も、問題になっている。産業部は、業界の意見を集めて意見書を提出し、米国側と協議していく予定だ(文化日報)・・>>

 

持ち分って、そう簡単に調整できるものでしょうか。中国側の同意も必要なのでは?(詳しくないので推測ですが)。また、この「25%(中国持ち分)」は、資本比率だけでなく、理事会議決権、知的財産権まですべて含めて25%ということなので、単に24%にすればいいというわけでもなさそうです。実際にどこまで影響するのか。ユン政権はどう動くのか。気になるところです。引用部分の「これから協議する」という部分、半導体・電気自動車補助金関連のときに比べて対応が遅くなっている気もしますが・・とにかく、次に何か大きな動きが無いかぎり、この件はしばらく様子見モードになりそうです。

 

 

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