韓国ネットメディア「投資商品の結果において、『自己責任』という基準が揺れている」

最初にちょっとまとめますと、投資商品が大きなマイナスになりました。そこで、『高齢者に販売した銀行に問題がある。だって、高齢者だし』ということで、投資家(の家族)と金融当局が、『そうだ、銀行の責任だ』としています。元金を保証すべきだという話も出ています。金融当局の監督院長が、「あれは老後のための資金だったのに!」と話したり、いろいろあります。ですが、その商品を購入した人の90%は、前にも同じ商品を購入した経験がある、いわばれっきとした投資家で、その商品はもともと高齢者の割合が高かったのに、なんでマイナスになると急にこんな話が出てくるのか、これは『自己責任』という基準が揺れていることではないのか、そんな反論も(一部メディアから)出ている、そんな話です。

一つ前のエントリーでも紹介しましたが、香港ハンセン指数連携のELS(Equity Linked Security、指数連携証券)が大きな問題になっています。もともとハイリスク・ハイリターンの商品ですが・・というか、だからこそ、韓国ではこのELSが大人気です。でも、今回問題になっているハンセン指数連携ELS商品ですが、香港ハンセン指数が大幅に下がっていることもあって、満期時点で大規模なマイナスが予想されています(この商品は延長はできず、決まった時点まで利益が出ないとその時点で終了となります)。1~2ヶ月前の記事に比べて、そのマイナス予想金額も増えており、今日のソース記事だと「数兆ウォン規模になる」とのことです。

 

この件、投資家たちは「金融機関が元金を保証すべきだ」としており、繰り返して集会を行っています。当局もまた、金融機関の売り方に問題があるとして、調査を進めています。ちゃんと商品の説明をせずに、主に高齢者を相手に商品を売った、というのが投資家たちの主張です。韓国で言う「不完全販売」で、前にもこの件で金融機関のほうが元金を保証したことがあります。企業や銀行などは『持っている』側で、自分は『持ってない』側だとする社会雰囲気が、とりあえず金融機関に問題がある、そうしたはずだ、という流れを作り出し、政府がその主張に『乗った』からです。

 

金融機関のほうに何の問題もないと言いたいわけではありませんが、個人的に、問題がないか調べるのはいいとしても、「自己責任」という基準を最優先して進めないと、副作用が大きすぎるだろうと思っています。ですが、ほとんどのメディアは、やはり今回も「不完全販売だ」「高齢者に集中的に販売した」などと記事を載せ、金融機関のほうをせめています。しかし、ネットメディア「デイリアン」が両方の意見をまとめた記事によると、金融機関側の話だと、「その高齢者たちはれっきとした投資家で、前にも何度もELSを購入していた」・・そして、いままでは何も言わなかった、とのことでして。記事は、珍しく、『自己責任という基準が揺れている(題)』としています。それが揺れているのは、この分野だけでもありませんが・・以下、<<~>>で引用してみます。

<<・・香港ハンセン指数連携証券(ELS)で数兆ウォン台の損失が懸念されている中、金融当局が販売社ある銀行の「不完全販売」を調べている・・・・しかし、一部では、投資家の自己責任原則が揺れ、結果的には資本市場そのものの萎縮につながるという懸念も出ている。国会政務委員会所属のオデヨン共に民主党議員室が当局から受け取った資料によると、5大銀行が60代以上に販売した香港ハンセン指数関連株価連携信託(ELT)・株価連携ファンド(ELF)などの販売残高は6兆4539億ウォンだった。全体販売残高(13兆1307億8000万ウォン)の44.1%だ・・

 

・・このうち、90代以上の顧客への販売額は90億8000万ウォンで、銀行が高齢層にも高リスク商品を無理して販売したのではないかと指摘されている。香港ハンセン指数連携ELS「投資家の会」などには「70代母親が銀行職員の勧誘で5年間、特定の商品だけに数億ウォンを使った」「預金しようとしたら、より良い商品があるとVIP室に呼ばれた」「元金損失についての話は聞かなかった」という話がが溢れている。最近、イボクヒョン金融監督院長も銀行側を批判しただけに、不完全販売に対する責任論が強くなると思われる。イ院長は「銀行が、老後対策で定期預金で再投資しようとした高齢投資者に高リスクで高難度の商品を勧誘することが適正かどうか、検討が必要だ」と述べた・・

・・一方では、投資家責任論も出ている。ハンセン指数連携ELS加入者の約90%は、ELS投資経験がある人たちからだ・・・・ELS商品の特性上、高齢層の資産による投資比重が高くなるしかないという統計もある。金融監督院が2018年6月末基準ELSなどデリバティブ証券個人投資家の現況を調査した結果、投資家75万人のうち、1人当たりの平均投資額において70代、80代が圧倒的に多く、80代以上の平均投資額は1億7230万ウォンだった。高齢の投資家を金融脆弱層と見ること自体、無理があるという意味だ。一部では、不完全販売と言っても、これまで利益が出ていたことについては何も言及せず、マイナスになれば税金で救済するという話も、果たしてどうなのかと指摘している(デイリアン)・・>>

 

 

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