韓国不動産バブルの核心、「ブリッジ・ローン」・・橋なだけに「遠すぎた」のか

金融とかローンとかの話だけあって、いろいろ書いてありますが・・今回のエントリーのポイントは二つです。一つは、ブリッジローンの存在。もう一つは、政府がやっと「とりあえず延長」路線をやめた、ということです。どういうことか、以下、ちょっとだけ詳しく書いてみます。16日にお伝えした「泰栄建設」の流動性リスクの件で、再びPF、不動産関連のニュースが増えました。その中でも、専門家たちは「ほかはともかく、ブリッジローンからなんとかしなければ」と主張しています。

韓国の不動産業界では、ブリッジローンはPF(プロジェクト・ファイナンス)の前段階、または広い範囲での「PFの初期段階」とされます。もともとPFは自己資本が少ない状態で「プロジェクト」だけを担保にしてローンを組むことになるので、金利が高いです。でも、それはいわゆる「本PF」の話で、その前、特にもっとも初期段階となる土地の購入には、それすらもできません。施行・施工会社の能力にもよりますが、普通は、ブリッジローンという、さらに高金利で、短期のローンを組まないといけません。それから、本PFに転換します(ローンの条件も多少は緩和されます)。

 

「不動産PFは、施行会社が土地を買い(ブリッジローン)、施工会社が建物を建て(本PF)、販売(分譲)することだ。たとえば、土地を購入するのに100万ウォンが必要な場合、施行会社の資金を10万ウォン、残りの90万ウォンを貯蓄銀行や証券会社など第2金融圏で、最低10%以上の高金利で借りる。そのあと、本PFローンに転換できると、その本PFはブリッジローンよりは金利が低く長期なので、本PFローンで200万ウォンを借りて、土地購入に使ったブリッジローン分90万ウォンを返済し、残りの110万ウォンを他の工事費などにあてる」(毎経エコノミーより)、と。ですが、ブリッジローン状態のまま、本PFに転換すらできないでいる建設現場が増えてきました。PF関連で返済にこまっているとか、ビルやマンションの工事が中断されたとか、そんなニュースも多いですが、その段階にすら進めないでいるプロジェクトが無数にあるわけです。

 

そこでもう一つ気になるのが、政府が政策を変更したことです。16日に本ブログでも取り上げましたが、いままでは「PFリスクが金融システムに広がること」を「管理可能だ」としてきた政府が、スタンスを変えました。可能性が低いところ(PF建設現場)において、『自己責任』を言い出したというのです。中央日報によると、いままで当局は、もはや可能性のないPF建設においても、金融機関など貸主団体と『協約』で満期を延長するようにしてきた、というのです。協約とは書いてありますが、事実上の介入のことではないでしょうか。

個人的に、これは、来年のブリッジローン満期を予想してのものではないのか、と思っています。もうこれ以上は面倒を見ることもできなくなったのではないか、と。政府の政策としては、いままでの「とりあえず延長」よりはマシです。しかし、いままでやってきた分だけでも、適切なタイミングはすでにすぎています。その影響はどうなるのか。泰栄建設もそうですが、『金融』への広がりの前に、『大手』への広がりがニュースになるはず(泰栄グループは地上波放送を所有している大企業グループで、建設は泰栄グループの核心企業の一つです)。そういう話が出てくるのか、注目したいと思います。この部分、<<~>>で引用し、そのままおわりにします。

 

<<・・金融当局はいままで、その場しのぎにすぎないという批判にも、貸主団(融資した金融会社団体)に協約を通じて融資満期を延長するようにする形で、相当な数の不動産PFを支えてきた・・・・(※PFリスクが金融機関リスクに広がらないように)管理可能だというのが金融当局の立場だった。しかし最近、不動産PF関連の懸念が再び広がると、金融当局は「自己責任原則」を強調し、スタンスを変えた。イボクヒョン金融監督院長は12日、「事業性が不十分な事業場や財務的永続性に問題がある建設会社・金融会社の場合には、市場原則に応じた適切な調整・整理、自己努力などを前提とした自己責任原則が避けられない」と話した。特に一部事業場の問題が全体システムリスクにならないよう、「ドミノ」現象の遮断に力を入れる方針だという(中央日報)・・>>

 

 

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