高金利・不動産低迷の韓国、「庶民のためのローン」が消える・・庶民金融機関からもローンが組めず

昨日本ブログでも取り上げましたが、貯蓄銀行の話、韓国では結構大きく報じられています。ただ、実績などで貯蓄銀行うわあぁという記事もありますが、ソウル経済、デイリアンなど一部のメディアは「庶民ローンはどうなるのか」、すなわち「庶民のための新規ローン・満期延長が止まってしまう」を取り上げています。まだ新規ローンそのものを止めたわけではないけど、貯蓄銀行から見て「回収できる可能性」が高くない人たちに、新規ローンを出さなくなった、というのです。韓国で言う「中金利ローン」ですが、貯蓄銀行の中金利ローンが4割減少している(2023年データ、2022年比)、とのことでして。この場合の中金利は、市中金利のことではありません。

いまは(昨日お伝えしましたが)貯蓄銀行がさらに新規ローンなどを『客を選ぶ』ようになったので、この流れはさらに強くなるでしょう。第1金融圏(普通の銀行)で満期延長できない、または新規貸出(ローン)が組めない人たちは、金利は高いけど敷居も低い「第2」に行きます。第2でできなかったら、第3(合法貸金業者)に行きます。そこでもできなかったら、サグミュン、サチェと呼ばれる、目に見えない世界に行くしかありません。その世界は、平均金利が400%超えていると言われています。今年3月11日、一部のメディアに「4000~5000%」の事例が載ったりしました。

 

韓国ではよく「庶民貸出(ローン)」と言いますが、第1金融圏ではもうこれ以上借りられない人たち。彼らにとって第2金融圏、特に貯蓄銀行は、なくてはならないインフラでした。でも、今回の貯蓄銀行のピンチで、新規ローンが難しくなります。すると、彼らは「第3金融圏」すなわち貸金業者のところに行くしかありませんが・・第3の場合、去年から新規ローンをほとんど行っていません。去年の秋あたりから、各メディアから第3金融圏関連ニュースが不思議なほど消えたのと、無関係ではないでしょう。

上限金利20%でお金を貸しても、貸すための資金を用意するにもまた金がかかるし、ちゃんと回収できない可能性が高くなったなどで、利益が残せなくなったからです。去年5月の記事ですが、第3金融圏の2023年1~3月の新規ローンは、2022年同期比で8割以上減少しました(ニューシース、2023年5月12日)。もし第2(貯蓄銀行)も似たような状態になるなら、いわゆる庶民たちはどうなるのか。家計債務に集計されない部分で、もっと暗いところでの債務が増えそうな話です。以下、ニューシース(2023年5月)とデイリアン(2024年3月27日)の記事を<<~>>で引用します。内容が、びっくりするほど同じです。約1年で、第3から第2に届いた・・と言ってもいいじゃないでしょうか。

 

<<・・庶民金融の最後の砦といえる貸付業者(※貸金業者、第3金融圏)のローンの敷居が大幅に高くなり、低信用庶民が違法金融業者のところに行く可能性も大きくなっている。(※2023年5月)12日、金融監督院が国会政務委員会所属のオギヒョン共に民主党議員に提出した資料によると、69社の貸付業者の今年1~3月期の新規ローンは2052億ウォンと集計された。これは1年前2022年同期間と比較して81.9%も急減したものであり、前期となる2022年10~12月期より44.7%減少したものだ・・・・貸付業者融資新規利用者数も1~3月期2万6767人で、前年同期比で70.6%急減した・・・・貸付業者たちは、2022から新規融資の敷居を高くした。2021年から上限金利が20%になり、基準金利引き上げなどもあって、資金調達費用が増加したのが理由だ。一部の大手貸付業者は、新規信用融資を中断したりした(ニューシース2023年5月12日)・・>>

 

<<・・貯蓄銀行が、中・低信用者のための中金利ローンの扉を閉めつつある。貸出金利は1年前より下がったが、健全性管理に集中しているため、中・低信用者の貸出取扱規模を減らすことになる。 第1、第2金融圏を問わず、中金利融資の敷居を高め、脆弱階層が違法金融業者に行くしかなくなるという指摘が出ている。27日貯蓄銀行中央会によると、昨年貯蓄銀行が扱った民間中金利融資(当局の制度によるものは除く)規模は6兆1598億ウォンで、前年同期比42.9%(4兆6244億ウォン)急減した・・

・・貯蓄銀行が民間中金利融資を縮小した理由は、調達金利の上昇で収益性に問題があり、融資を拡大するのが難しくなったからだ。実際、貯蓄銀行79行が預金利子で支出した利子費用は2022年末2兆9177億ウォンから、2023年末には5兆3508億ウォンに、2兆4331億ウォン増加した。 同じ期間、貸したお金の利子で稼いだ利息収益は1兆920億ウォン増えるのにとどまった。利子で稼いだお金より、預金の利子として出ていくお金が大きくなり、利子利益は1兆3411億ウォン急減した(デイリアン)・・>>

 

でも不思議なことに、結局はどこからか借ります。どこで、どうやって借りるのでしょうか。最近は、さすがに所得など返済可能かを見てから(LTV、DSRなど)貸すことになっています。しかし、「ヨンクル」などの記事を見ると、借りられるはずがない分を借りた人の話も普通に出てきます。いったいどこでなにをどうしているのか。「個人間の取り引き(家族や知り合い同士の借り貸し)」でしょうか、それとも、もっと暗い世界の話か・・一応、各種個人破産は集計始めてから最高記録を塗り替えている、とのことですが。

 

 

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