まず、日本被団協がノーベル平和賞を受賞しました。1974年、非核三原則を表明した佐藤栄作(当時)総理が受賞してから、ちょうど50年ぶりです。個人的には、日本にも相応の抑止力が必要だと思っている1人ですが、だからといって「おめでとうございます」が言えない理由にはなりません。長い間一つの目標に向けて注がれた努力が評価されたのでしょう。これも日本のノーベル賞。おめでとうございます。韓国メディアは、右も左も「受賞した」という事実だけを黙々と伝えています。で、話は変わりますが、今朝紹介するのはハンギョレ新聞(9月21日)、SBS(8日)の記事です。韓国関連ブログなどで話題の「高齢者に(簡単な)働き口を政府・自治体が用意する」という政策。その実体に関する内容です。
以下、平均賃金関連では私見が入っていることをご容赦ください。この「高齢者働き口」政策は、韓国の失業率を1.9%まで下げた大きな要因です。個人的に、「ただ、休んだ」人たちが大幅に増えたのも一因だとは思いますが(『なにもせずにただ休んだ』人たちは、失業率など各種統計にカウントされません)。しかし、彼らの平均所得は約2万円レベル。とても『職業』とは思えません。彼らは勤労者ではなく、受け取っているのは『補助金』になります。そこで、個人的に「彼らは平均賃金データなどに入らないのではないか」と疑問をもっていましたが、まだ確実なソース記事などは見つかっていません。ちなみに、平均賃金は賃金労働者だけの集計になりますが、彼らは法律的に労働者ではありません。4月に裁判所が「彼らは勤労者ではないので、産業災害(労災)保険を受けることができない」という判決を出したこともあります。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・米国の8月の失業率は4.2%だ。 1%台の低い失業率は、タイのように労働人口の中で自営業者の割合が圧倒的に高い国などでもない限り、見つけるのが難しい。日本の7月失業率も2.7%だ。それなら、1.9%の失業率なら天下太平の歌でも聞こえてきそうなものだか、この数値に注目して大きく報じたメディアはない。なぜだろうか。数値だけだけで、雇用市場の好転を体感できないからだ。雇用率の上昇、失業率の下落が錯視だというわけではない。実際の経済活動人口増加幅(プラス11万4千人)より就業者数増加幅(プラス12万3千人)が大きい。ところが就職増加の相当部分が、政府予算を投入して作った「高齢者雇用」だという点が問題だ。8月の統計を見ると、60歳以上の人口は昨年同月に比べて47万人増え、就業者数は23万1千人増えた。政府は今年、高齢者雇用事業予算を昨年の88万3千個より14万7千個多い103万個に増やして編成した(ハンギョレ新聞)・・>>
<<・・高齢化と老人貧困の解法として、政府が高齢者働き口事業を推進しながら、働く高齢者は増えていますが、稼ぐお金は20万ウォンにとどまることがわかりました。「お年寄りのお金稼ぎ」を超えて働き口としての質を高めなければならないという指摘が出てきます。高齢者働き口参加者は2022年約97万人で、6年で2倍以上に急増しました(※今年のデータは、6月までで101万8876人です)。「質の低い雇用」と批判していた現政権も、「大幅に増やす」と方針を変えました。しかし、高齢者たちが稼げるお金は月平均21万ウォンに過ぎません・・・・保健福祉部が韓国開発研究院(KDI)に依頼して分析した結果、低所得層の「高齢者働き口」対象である「公共型」は月20万ウォンにもなりませんでした。「民間企業との連携型」は28万ウォン台、それでも参加者の教育・キャリアなどを必要とする「社会サービス型」が37万ウォン水準でした。もっと稼ぎたくても働ける時間が短いためですが、全体の4分の3を占める「公共型」は1日3時間以内、月30時間水準で、社会サービス型も制限があります。
結局、『仕事を分けて(※1人でできるはずのものを大勢に任せて)』数字だけ増やしたわけですが、今はこのような時ではないという指摘が出てきます。『ソミファ共に民主党議員:韓国は、世界中で高齢化が最も早く進んでいる国です。高齢者の雇用は単なる小遣い稼ぎではなく、老後の収入を確保し、社会安全網として機能しなければなりません」。KDI研究陣は「米国・日本などは、すでに高齢者雇用の目標を質的向上に変えてある」とし「公共雇用に留まらず、教育とインセンティブを通じて民間雇用に移せるように制度整備が必要だ」と説明しました(SBS)・・>>
ちなみに、先、4月に裁判所が「勤労者がないから労災保険ノーカン」という判決を出したことを紹介しましたが、ちゃんと労働災害と認められるだけでも、大勢の60歳以上の方が亡くなっています。関連記事として消化します。今年1月4日のソウル経済の記事によると、「産業災害(労働災害)」で亡くなった方の49%が60歳以上で、1089人でした。日本の場合、亡くなった方は(年齢代に関係なく総人数で)2023年755人でした。記事はこのデータを、『60歳以上の働き口はリスクが高いもの、または相応の安全が保障されていないものが多いという意味』としています。
<<・・3日、韓国雇用情報院が発刊した季刊誌「地域産業と雇用」冬号に掲載された「地域別高齢化と高齢層労働市場の現況」報告書によると、2022年下半期基準、全体で2723万7000人の労働者のうち、65歳以上の高齢労働者の割合は、11.6%だった。労働者10人のうち1人は高齢者という意味だ。懸念されるのは、高齢者の産業災害だ。2022年基準で60歳以上の高齢者の産業災害者は4万5332人で、全体災害者(13万348人)の34.8%を記録した。亡くなった方の割合は49%(1089人)と、高かった(ソウル経済)・・>>
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