米国国際通商専門家「韓国の最優先課題はCPTPP加入。これからの米国の対中政策でもっとも影響を受けるのは韓国になるだろう」

いままで米国による中国関連の貿易措置において、もっとも懸念されてきたのは「迂回路」です。大統領選挙のあと、特にトランプ氏が当選した場合、米国の通商政策は、この第三国を通じての貿易への対策が強化されるだろうというニュースがありました。また、この影響をもっとも強く受けるのは韓国で、最優先的にやることは、CPTPP加入だ、とも。ピーターソン国際経済研究所のシニア研究員、ジェフリーショット氏の見解です。ソース記事デジタルタイムズなど複数のメディアには、「崖っぷちに立たされることになる」という表現になっています。トランプ氏が大統領になると、特にそうなるだろうし、保護貿易なども強化されるだろう、と。

逆に、ハリス氏が大統領になると、先の中国への関連措置の強化という基本的な流れが変わるわけではないにせよ、同盟国である日本、韓国との経済協力はさらに強くなるだろうとしています。特に半導体や造船などでそうなるだろう、と。ジェフリーショット氏は、韓国としては、これからの米中対立に備えてCPTPP加入を最優先すべきだと話していますが・・いまのところ、CPTPP加入の話はまったく出ていません。ちょうどこの前、韓国政府は通商政策ロードマップとして、日中韓首脳会談で中国側が主張したのとほぼ同じ内容を発表しました。基本的には多国間自由貿易を目指すというもので、そのためのWTOの機能回復などをリードしていく、という内容でした。

 

また、各国とのFTAを拡大、中国とのFTAの強化、日中韓3国FTAなども、関連した内容として発表されています。自由貿易や3国FTAなどは、中国側が強く主張し、共同声明にも同じ趣旨の内容が入ったりしました(日本側は消極的だったと言われています)。また、同じく9月、米国はHBM(広帯域メモリー)や量子コンピューティングなど最先端製品・技術の輸出について『許可制』を発表しました。日本を含めていくつかの国がいくつかの項目において免除措置を受けていますが、そのリストに韓国はありませんでした。いますぐ何かのトラブルが発生するとも思えませんが、『これから』、ひょっとするとすごく近い将来の動きを制限しようとしているのではないでしょうか。どうしても、すべて繋げて考えてしまう内容です。もちろん強弱は変わるだろうけど、この流れが大統領選挙の結果で根本的に変わるとも思えません。以下、<<~>>で引用して見ます。

 

<<・・20日後に行われる米国大統領選挙の後、米国の貿易政策が安全保障優先主義に変化し、米中貿易関連対立がさらに深刻になれば、韓国が崖っぷちに立たされる可能性があるという主張が出た。国際通商専門家のジェフリーショット、米国ピーターソン国際経済研究所シニア研究員は16日午前、世界経済研究院が「米国大統領選後の貿易政策変化と中国およびアジア経済への影響分析」をテーマに開いたウェビナーで、このように明らかにした。ショット研究員は「米大統領選後、米国貿易政策が以前より内向的で安保優先主義的に変化し、米中貿易対立の目標がさらに深まり、長期化されるだろう」とし「その中で、韓国が崖っぷちに追い込まれる危険がある」と言った。

米国の対中貿易・投資関連措置で、中国の第3国を通じた輸出が拡大する可能性があり、米国が韓国とメキシコ、アセアンに中国との関係を制限するよう圧力をかける可能性があるということだ。彼は米大統領選挙以後、中国、ロシア、イラン、北朝鮮に対する米国の先端技術輸出制限はより広範囲に深化するだろうとし、最良のシナリオを仮定するといっても、多国間貿易システムについては未温的に消極的な立​​場に留まるものとみられるだけに、韓国をはじめとするアジア経済にはマイナス影響を及ぼす可能性があると見た・・・・「韓国は他の中堅国と協力関係をより緊密かつ公固に発展させ、経済成長を促進する方向に貿易規則を拡大する必要がある」と強調した。加盟国と実質的適用範囲が拡大している環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)に参加することを最優先課題とする必要があると提言した(デジタルタイムズ)・・>>

 

そのCPTPPですが、ユン大統領の任期中には事実上、できなくなったという報道がありました。8月28日にお伝えしましたが、「CPTPP加入は、野党の反対などで、事実上、霧散される状況になった」と報じられています。 <<・・産業通商資源部は(8月)22日、CPTPP加入と関連して『多様な国内関係者との疎通、専門家懇談会などを通じて社会的共感帯形成を優先・主力する』と明らかにした。 CPTPPは、アジア太平洋地域の経済統合を目標に2018年末に発足したメガ自由貿易協定(FTA)だ。開放水準が高く、既存の12カ国の加盟国の全会一致が必要であり、すぐに交渉を始めても加入までに2~3年かかる。今回、加入時点と推進意志を明文化しなかったことで、現政権任期中の加入はできなくなったという分析だ・・

・・CPTPPに加入すると、農産物市場開放に伴う農漁民の反発が避けられず、間接的に日本とFTAを締結する効果が発生する。共に民主党は一貫して協力せず、主務省の産業部がCPTPP加入申請のための段階である「国会報告」すらできなかった、という。政府としても、4月の総選挙結果が野党の大勝だったうえ、2026年の地方選挙、2027年の大統領選挙などの選挙日程を控えており、再び(CPTPPを)推進する力はすでに失った状態だ・・・・CPTPPは、中国への経済依存度を下げ、サプライチェーンを安定化するための最適な代替手段として評価されている(ソウル経済、8月23日)・・>>

 

 

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