鉄鋼・石油化学・半導体など韓国の主力産業、中国の物量作戦が続く

中国の物量作戦(?)が続き、各国の企業が困っています。日本とてこの流れから例外ではないでしょうけど、結局もっとも大きな影響を受けるのは韓国企業だと言われています。京郷新聞(11月30日)、毎日経済(1日)、韓国経済(1日)など複数のメディアが記事を載せています。すべてを「物量」や「価格」の問題だとすることはできないでしょうけど、各記事の趣旨はそうなっています。確かに、大きな影響を受けているのは事実でしょう。輸出競争力もそうですが、まず中国内が中国製を採用することになるし、韓国内でも中国製のシェアが増えるからです。

随分前から、「中国は、ものを出せば勝手に売れるところではない。もう競争相手だ」という見解が出ていましたが、それでも中国市場中国市場、超技術力超技術力、大丈夫大丈夫という主張がメインでした。でも、結局はこういう流れになったわけです。韓国もまた不況のままで、特に内需が問題とされていますが、主力とされる分野で、相次いで思わしくないニュースが流れています。よって、大企業を中心に、来年からは「緊縮」が基本路線になると予想されています。まず鉄鋼ですが、高度経済成長の象徴とも言えるポスコ(当時浦項製鉄)の関連工場が、相次いで閉鎖しています。

 

浦項製鉄所1線材工場(11月)、同じく1製鋼工場(7月)などです。石油化学では、複数の企業が問題になっていますがそのなかでも、本ブログで11月28日に紹介したロッテケミカルが特に話題になっています。財界6位とされるロッテグループの流動性リスクまで報じられるようになりました。また、もとを辿れば、7月に事実上破産した韓国の大手オンラインショッピングサイトTMON、ウィメップなども、中国側の物量作戦への対策が一つの原因だった(価格競争のためにクーポンなどをばらまいた)と言われています。また、メモリー半導体の価格が思ったより早いサイクルで下落しており、11月には汎用DRAMの価格が20%以上下落した、とのことでして。以下、各紙から<<~>>で引用してみます。

 

<<・・11月の汎用メモリー価格が、今年に入って最も大きな幅に下落した。中国からの供給過剰に、IT製品の需要鈍化などで、まだメモリー価格の底が見えない状態だ。各メーカーは減産することになると思われる。1日、市場調査会社DRAMエクスチェンジによると、PC用汎用DRAM(DDR4 8Gb 1G×8)の11月の平均固定取引価格は前月比20.59%下落した1.35ドルと集計された。2023年9月1.3ドル(※メモリー価格が下がったと話題になっていた頃です)以来だ。またメモリカード・USB用汎用NAND製品16G×8MLCの平均固定取引価格は前月比29.8%下落した2.16ドルを記録した。DDR4 8Gb 1G×8は、主にPCマザーボードに搭載されるか、サーバーに使用される。128Gb 16G×8 MLCは、スマートフォン、タブレット、ソリッドステートドライブ(SSD)、USBドライブに使用される汎用製品群だ・・

 

・・これらの汎用メモリチップ価格が下落した背景は、中国発低価格攻勢とIT製品需要鈍化などだ。台湾のデジタルタイムによると、中国製DDR4価格はサムスン電子とSKハイニックス製品の半分水準だ。また、中国産のDDR4は中古製品よりも約5%安い。中国政府の補助金を背負って低価格大量供給に速度を出しているのだ。中国の代表的DRAM企業であるCXMTは、17・18nmベースのDDRと低電力DRAMであるLPDDR4Xのような低価格型メモリに集中している。CXMTは生産能力を飛躍的に増やしている。2020年にはウエハー生産枚数が月4万枚に過ぎなかったが、今年に入って20万枚に増えた。生産能力基準4位水準だ。NANDは在庫の圧迫を受けている。トレンドフォースは「NAND現物取引価格の下落傾向は持続すると見られる」とし「現物取引価格が急落し、取引する人たちはより大きな損失を見る可能性を懸念している」と説明した(毎日経済)・・>>

 

<<・・産業の米であり、国家基幹産業である鉄鋼業界が風電灯化の危機を迎えている。世界景気不況の中、中国の低価格製品攻勢、ドナルド・トランプ米大統領当選者の関税政策の懸念などで鉄鋼業者が次々と工場を閉鎖している。韓国だけでなく、世界有数の鉄鋼企業も構造調整と減産に乗り出している。専門家は、世界的に鉄鋼産業が構造転換時期を迎えただけに、危機を機会に変えることができるよう、業界と政府の積極的な対応が必要だと言う・・・・不況の直接要因は全体的な供給の過剰である。世界最大の鉄鋼生産国であり消費国である中国の内需不振で過剰生産された鉄鋼が、消費されていない。需要がなければ供給(生産量)を減らさなければならないが、中国は失業を防ぐために補助金などを支援して工場閉鎖を防ぐ。世界各国の競合企業が廃業する前「耐える」作戦に入ったわけだ。中国の不動産市場の低迷の中、トランプ政府が発足した後、貿易関連政策が強化されるると、中国経済がより低迷しり、供給の過剰がさらに強くなる可能性がある(京郷新聞)・・>>

<<・・鉄鋼が「産業の米」なら、エチレンは「石油化学製品の米」と通じる。ペットボトルなど各種プラスチック製品やビニールなどの原材料がエチレンであるためだ。現在エチレンを最も安くするところは中国だ。現地で作ったエチレンを韓国メーカーより30%安く出し、ロッテケミカル、LG化学など国内メーカーの基礎油分は相手にされない。2~3年後からは、中国産よりはるかに安い中東産低価格エチレンが入ってくる。サウジアラビア国営石油会社アラムコが建設している8つの精油・石油化学統合工場(COTC)が2027年から順次稼働に入るためだ(韓国経済)・・>>

 

 

おかげさまで、新刊「Z世代の闇 物質主義に支配される韓国の若者たち」(扶桑社)が発売中です(2024年5月2日、アマゾン発売日)。詳しくは、下記のお知らせをお読みください。ありがとうございます
・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

   ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年5月2日)<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・新刊(2023年12月21日)、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・刊として、<韓国人として生まれ、日本人として生きる>(2023年7月29日)も発売中です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。その際の、自分なりの持論に関する本です。・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。