昨日は久しぶりにP5・・じゃなくて李在明(イジェミョン)共に民主党代表の話を書きましたが、今回は米国関連で、また共に民主党が謎設定なことをしましたので取り上げてみます。朝鮮日報の昨日の報道によると、韓国の最大野党「共に民主党」が、ドナルド・トランプ米国大統領をノーベル平和賞に推薦しました。朝鮮半島の平和と非核化のための努力がその理由です。別に推薦したければすればいいだけの話かもしれません。安倍晋三当時総理が推薦したというニュースもありましたし、確か、ウクライナ側の議員がトランプ大統領を推薦したというニュースもありました。金大中当時大統領が受賞したこともありますし(笑)。
しかし、前の文在寅政権で盛り上がっていた、いわゆる朝鮮半島平和ムードと呼ばれていた時期を振り返ってみると、これでいいのかとしか思えません。米朝会談が事実上「止まった」もっとも大きな理由は、文政権の「仲介外交」でした。運転者論とか、仲介者論とか、そう呼ばれていました。当時、文政権が自分で、または特使を派遣したりしながら行った米朝会談の仲介は、「米国側に話した内容と、北朝鮮側に話した内容がそれぞれ異なる」とされています。2018年5月22日の記事で中央日報は、ニューヨーク・タイムズの記事を引用する形で、こう報じています。
「文大統領が訪米するわずか三日前、トランプ大統領から電話が来て、『なんであなたの話と、北朝鮮の話が異なるのか』と尋ねた」、と。この記事が事実なら(多分、事実でしょう)、文政権、言い換えれば共に民主党「側」は、単にトランプ側と北朝鮮側を「とりあえず『相手が喜びそうなこと』を伝えて、会談を成立させる」ことしか考えてなかったということになります。いまになってノーベル平和賞を持ち出しても、これまた謎設定です。以下、両紙、<<~>>で引用してみます。
<<・・「トランプはムン・ジェイン大統領に「なぜ(文大統領が)金正恩と会った後に私に伝えてくれた個人的な壮談(壮語、NYT原文ではassurance)と、北朝鮮の公式談話の内容が相反するのか」と尋ねたと、土曜日(19日)の夜に電話をかけた」・・・・ニューヨークタイムズ(NYT)は20日(現地時間)、「ドナルド・トランプ米国大統領がかけた電話は、文大統領が訪米するわずか三日前に行われた」とし、「これは文大統領がワシントンに来るまで待てないという、トランプ大統領の「不快な心気(discomfort)」を示すという解釈が米政府の一部から出ている」と報道した(2018年5月22日、中央日報)・・>>
<<・・共に民主党が最近、ノルウェーのノーベル委員会に米国ドナルド・トランプ大統領をノーベル平和賞候補者として推薦した。共に民主党は米国側に、トランプ米大統領をノーベル平和賞候補に推薦した事実も知らせたという。共に民主党のパク・ソンウォン議員は3日、「先月27日、トランプ大統領を推薦した」と明らかにした。議員はトランプが北朝鮮の非核化のために努力し、朝鮮半島の平和に寄与した点などを推薦の理由にしたという・・・・共に民主党のジョスンレ首席スポークスマンは「トランプが1次在任期間に米朝会談を通じて朝鮮半島平和定着の転機を作る段階まで行った」とし「様々な状況によって中断されたものの、それを続けてほしいという趣旨でノーベル平和賞を推薦したものであり・・・・(トランプに)朝鮮半島の平和定着に努めてほしいと要請する趣旨」とした・・
・・議員手帳には「2月3日(月) 12:00 ジョセフ・ユン大使代理昼食(withムンジョンイン)」とも書かれていた。議員は実際、この日ジョセフ・ユン駐韓米大使館臨時代理大使、ムンジョンイン延世大名誉特任教授との昼食会席でジョセフ・ユン代理にトランプ推薦事実を知らせたという。トランプもノーベル平和賞受賞に関心が強いと言われている・・・・これに先立ち、トランプ1期政権時代、ムン・ジェイン当時大統領はトランプをノーベル平和賞候補として推薦しなかった。2019年2月、キムイギョム当時大統領府スポークスマンは、文大統領は、推薦してないし推薦する計画がないとしながらも、「朝鮮半島の平和にトランプ大統領の指導力と決断力が決定的に作用した点を文大統領は何度も強調した。ノーベル平和賞を受ける資格が十分だというのが文大統領の考えだ」と話した。当時、トランプをノーベル平和賞候補に推薦した人は安倍晋三日本首相だった。昨年11月にはウクライナ与党所属のオレクサンドル・メレスコ議員が当選の身分であるトランプをノーベル平和賞候補として推薦した(朝鮮日報)・・>>
昨日の日本関連の話と合わせて考えてみると、いま共に民主党、李在明代表側が「もっとも気にしていること」は、日本関連では防衛力増強、米国関連では米朝会談ということになります。その考えが妙な形で出てきたもの、と言えるでしょう。それぞれの案件に、「私たちは同意します」としながら、付け入るチャンスを作ろうとしている・・そんなところでしょう。すべての案件でそうでしょうけど、わざわざ言い出すほど(誰もまだ聞いていない)特に気になる、と。
ここからはいつもの告知ですが、久しぶりに新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。新刊は自民党と韓国」という題です。岸田政権・尹政権になってから、「関係改善」という言葉がすべての議論の前提になりました。果たして、本当にそうなのでしょうか。いや、それでいいのでしょうか。じゃ、同じ路線でないのは、たとえばこれから日本政府の路線変更があった場合は、それは「改善」ではないのでしょうか。そんな疑問に対する考えを、自分なりに、自分に率直に書いてみました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
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