日本政府が、鉄鋼・アルミ製品の関税について正式に除外を申し入れました。他に、インド、台湾などが動いています。いま免除の話が出ているのはオーストラリアだけですが、米国のほうがオーストラリアに対して貿易黒字を記録しているため、対米黒字国家の日本などについてどういう結果が出るかはわかりません。でも、説明すべきことはちゃんと説明しておいたほうがいいでしょう。韓国でも中央日報、毎日経済など複数のメディアがこの動きを報じていますが、そのメインは「韓国政府はどう動いているのか」です。中央日報の記事である通商専門家たちは、いまのところ韓国政府の対策は「トランプの目につかないようにすることだった」とし、「提示できることはちゃんと話しておいたほうがいい」としています。でも、昨日も書きましたが、動くもなにも、代行の代行ですが電話くださいモードのままです。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・ドナルド・トランプ米大統領が鉄鋼を筆頭に半導体・自動車など品目別新規関税を予告し、産業依存度の大きい台湾と日本が総力対応に乗り出した。台湾経済部傘下の国際貿易局(ITA)は1月、米国フロリダ州商務部と経済・貿易協力了解覚書を締結したのに続き、今週から交渉団がトランプ2期行政府を訪れ、自国半導体産業を保護するための説得戦略を繰り広げる・・・・彼らはトランプ政権のカウンターパートである米国貿易代表部(USTR)関係者たちと会って、現在議論されている半導体関連の新規関税内容を把握し、これを回避できる台湾側の提案を伝えるものと見られる。
外国のメディアはこれに対して、台湾が、最近日米首脳会談で日本が米国に見せたように、より多くの米国産エネルギーを輸入する方式で対米貿易黒字を緩和するカードを模索中だと報道した。現在、台湾の液化天然ガス(LNG)の主要購入先はオーストラリアとカタールであるが、トランプ2期の緊急状況で主要購入先として米国が登場するという観測が出ている。政府交渉団と歩調を合わせてTSMCも高度な政務的対応に乗り出した。創設以来初めて、10~11日、TSMC理事会を台湾ではなく米国アリゾナで開いた。日本は米日首脳会談に続き、トランプ政権が確定した鉄鋼・アルミニウム関税の対応に動いている。
具体的には、米国が来月12日から発効すると述べた25%の関税に対して、米国政府に措置対象から日本企業を除外することを公式要請した・・・・もし25%の関税が例外なく適用されれば、米国に該当製品を輸出する日本企業のために、日本貿易保険(NEXI)が関税負担だけ保険金を支給する計画だ。貿易保険を活用して鉄鋼輸出企業の関税引き上げ負担が軽減、日本鉄鋼製品の価格引き上げの圧迫も緩和、従来と同様の価格競争力を維持することができる(毎日経済)・・>>
<<・・同盟国も例外のないドナルド・トランプ米大統領の関税措置の中、我が国の首脳外交は「行方不明」状態だ。即刻対応に乗り出した日本・オーストラリアなどとは明らかに異なる現実だ。12日、チェサンモク大統領権限代行副首相は国政懸案関係長官会議で「最近のグローバル貿易環境の不確実性が増幅されている」とし「来週輸出戦略会議を開催し・・・・企業支援と輸出品目・地域多様化のための案を議論する」と話した。米国に向けて「関税免除または交渉を要請する」と言うなどの積極的な対応策は出てこなかった。チェ代行はトランプ大統領との通話すらできないでいる。カンヨンギュ企画財政部スポークスマンは「米国の都合によって、連絡が来ると聞いている」と伝えた。
政府側はハイレベル人事の訪米日程さえ確定できないでいる・・・・キム・ジョンシク延世大経済学部名誉教授は「権利代行体制でトランプ大統領に対応することに明らかに限界がある」と指摘した。日本、オーストラリア、インドなどは首脳外交を軸に動いている。日本政府は12日「駐米日本大使館を通じて米国政府に日本を(鉄鋼関税賦課対象から)除外するよう要請した」と明らかにした。トランプ大統領と石破茂首相の7日会談を置いて阿付(※おもねる)外交という冷笑もあったが、実利を取ったという評価が出ている・・
・・オーストラリアの対応も早かった。アンソニー・アルバニージー首相は10日、トランプ大統領と通話した後、「両国の利益のために(関税)免除を考慮することに同意したという点を公開的に発表すると相互合意した」と明らかにした。ロイター通信などによると、ナレンドラ・モディインド首相も13日、米国を訪問してトランプ大統領と首脳会談を持つ・・・・ある外交・通商専門家は「韓国政府のこれまでの、トランプ政府の措置に対する対応戦略は『最できるかぎりトランプ大統領の目につかないようにすること』だったと言える」と話した・・・・ホ・ユン西江大学国際大学院教授は「すぐに米国に交渉を要求しなくても、私たちが提示できるものを今のうちに米国に見せておくことも必要だ」と助言した(中央日報)・・>>
結局はまた同じ話になりますが・・『電話待ちステルスモード』でなんとかなる問題ではないでしょう。「提示できることを見せておくことは必要だ」という意見はそのとおりだと思いますが、いまもっとも重要なのは次期大統領がどうなるのか、中国の「迂回路」化、ソウル経済など一部のメディアが使う表現として「タグ替え」をどうするのか、でしょう。それについてなにか提示できるものがあるのでしょうか。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。自民党と韓国」という題です。岸田政権・尹政権になってから、「関係改善」という言葉がすべての議論の前提になりました。果たして、本当にそうなのでしょうか。いや、それでいいのでしょうか。じゃ、同じ路線でないのは、たとえばこれから日本政府の路線変更があった場合は、それは「改善」ではないのでしょうか。そんな疑問に対する考えを、自分なりに、自分に率直に書いてみました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
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