マジンガー論

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不定期に現れる、シンシアリーの「長い雑記」です。

さて、「信」エントリーでもそうでしたが、韓国人は、「私」または「ウリ」を除いて世界を論ずることが多いです。例えば「人は法を守るべきだ」「他人に配慮すべきだ」としながらも、「私またはウリ(以下、ウリとします)」はその「べき」の範囲に含まれていません。

言い換えれば、韓国人が「皆」と呼ぶ範囲には二つがあります。ウリを「皆」と呼ぶか、ウリ以外を皆と呼ぶか。

前者の場合はわかりやすいでしょう。何人かの友だちが一緒に旅行に行くときに「皆、そろそろ出発しよう」と言ったりする場合の、皆です。本エントリーでは、「マジンガーZ」の韓国語版歌詞を用いて、後者の概念、「ウリ」と「皆」を確実に別々と考える韓国人の世界観を論じてみます。

 

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韓国語版マジンガーZ歌詞はこうなっています。ただ、少しずつバリエーションがあります。例えば、「マジンガー、マジンガー、マジンガーZ」の部分は、「マジンガー、スェドリ(※パイロット兜甲児のこと)、マジンガーZ」、または「偉いぞ、スェドリ、マジンガーZ」になっているバージョンもあります。

 

「力強い天下壯士、鋼鉄で出来た人。人造人間ロボットマジンガーZ。ウリたちのためにだけ力を使う善良なヤツ。現れると皆、皆、ブルブル震える。鋼鉄の腕鋼鉄の足ロケット拳。命が惜しければさっさと避けろ。マジンガーマジンガーマジンガーZ」

「正しいことのためにはありったけの力を捧げて。命をかけて戦うマジンガーZ。悪い心の群れよ、いくらでもかかってこい。苦しいことをされるたびに力がみなぎる。力強く人情の多いロボット勇士。正義は勝つぞ勝ってしまうぞ。マジンガーマジンガーマジンガーZ」

 

一つ、不思議なことにお気づきでしょうか。「ウリ」のために力を使う善良なやつが現れたのに、なんで「皆(しかも皆、皆と2回言う)」がブルブル震えるのでしょうか。悪がブルブル震えるというならわかりますけど。

あえて意地悪な解釈をしてみると、この理屈だと、皆のために力を使うのは善良じゃないという意味になります。人情が多い(情に厚い)って「皆」のためにやるものではないのでしょうか。

しかも、「避けろ」は、日本語で言う「道を開けろ」です。まるで、なにか「上」の人が通る時のようなシチュエーションです。

 

こうして歌詞を書いてみると、「こいつらのマジンガーZは、いったい誰と戦っているのかな」な気もします。悪の組織から世界を守るために戦うというより、小さな村を守る強い戦士みたいなイメージです。「うちの村にはこんなに強い戦士がいるんだぞ」と、子供が隣の村の子に自慢しているようなイメージになっています。

日本語歌詞の場合は、1番に「ぼくらのために」、2番に「みんなのために」と、マジンガーの活躍は「ぼくら」と「みんな」に等しくなっています。

 

韓国語版でもう1ヶ所、「勝ってしまうぞ(이기고야 말리라)」ですが、これは意訳すると『勝たなければならない』または『勝てないはずがない』という意味にもなります。なんというか、いかにも韓国っぽい歌詞だな・・と思わざるを得ないところです。勝ってしまうって、あまり良い響きではありませんね。

ちなみにテコンVの歌は、「使命」「平和の使徒」「テコン」を強調しているのが特徴ではありますが、「走れ」「飛べ」が多いなど、普通かな、と思っています。

 

 

 

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