「日本への個人賠償が誇らしい」の文大統領、「金正恩への国軍捕虜賠償」には沈黙

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金正恩氏に、「国軍(韓国軍)捕虜」問題で賠償せよという判決がありました。何度も書いてきたことですが、北朝鮮と韓国はお互いを「国家(政府)」として認めていません。北朝鮮は、いわば「違法占領」状態であるため、国軍捕虜問題だけでなく、存在そのものに対して賠償を請求できるのが、韓国の憲法解釈です。この点、さすがの文大統領でも、連邦制統一のことがなかなか言い出せない理由でもあります。迂回的には何度も言ってますけど。

さて、「ニューデイリー」が、「文大統領は、『被害者中心主義』を掲げて、個人賠償(元徴用工問題)では『弁護に当たっていたことが誇らしい』とまで言った。しかし、今回の判決には沈黙している」とし、強烈に皮肉る記事を載せました。

以下、部分引用してみます。

 

(ここから「続きを読む」の後になります)

<韓国戦争(※朝鮮戦争)当時、北朝鮮に抑留され強制労働された脱北国軍捕虜が北朝鮮と金正恩を相手に起こした損害賠償請求訴訟で勝訴したことと関連し、文在寅大統領は何の反応も見せていない。ダブルスタンダードの議論が起こっている。似たような勝訴事例である日帝強占期 強制徴用被害者の最高裁判所勝訴と関連して、文大統領は「被害者中心主義」を強調していたからだ・・

・・ヨ・サンギ統一部スポークスマンはこの日のブリーフィングで、「裁判所の判決は、判決ごとに有効なものであり、一般化されているわけではない。連絡事務所爆破が持つ意味とはまた異なる可能性があるため、実効性のある方策を多角的に検討している」と述べた(※国軍捕虜関連の賠償判決があったからって、連絡事務所爆破の件も賠償請求できるとわけではない、という意味です)。大統領府の関係者はこの日、国軍捕虜の勝訴と関連して「統一部の立場と同じ」と言うだけだった・・。

 

・・(※弁護士だった頃に元徴用工問題で文氏が弁護を担当していたという読売新聞の報道に対して)文大統領は「徴用工訴訟の代理人活動をしていたのは事実であり、これは国連人権委性暴力委員会などで確立された『被害者中心主義』の原則に従ったものだ」とし「私はむしろその経験を誇りに思う」と強調した。

韓国政府が被害者中心主義を固守するのは当然だとする見解であり、「対日強硬姿勢」を見せた文大統領だが、今後の南北関係では、国軍捕虜勝訴の問題をどのように扱うかが注目される・・>

http://www.newdaily.co.kr/site/data/html/2020/07/08/2020070800247.html

 

文大統領だけでなく、韓国が日本と北朝鮮に同じ基準を適用するはずはないので、記事の内容は「皮肉」でしかありません。書いた方も、分かっていて書いたのでしょう。名探偵コナンくんが蘭姉ちゃんに「あれれーおかしいなー」と聞くようなノリで。

今回の件で野党側からは『これで金正恩に無茶苦茶賠償請求出来る』としているようですが、それは、数十年前からやろうとすれば出来ました。今回の判決も、さほど不思議なものではありません。北朝鮮も韓国の領土だとする憲法解釈があるとしても、統治の力が届かない北朝鮮に賠償請求したところで、それが執行できるとは思えないからです。韓国内では本件で「これで金正恩に対する裁判の管轄権は韓国にあることが明らかになった」と主張する人もいますが、「実際に何ができるのか」となると、これといってありません。そもそも、1審が終わっただけで、文政府が大して反応を示さないでいるのも、「これで今すぐ何かが変わるわけではない」と分かっているからでしょう。この点が、『韓国内』で行われようとしている、日本企業の資産売却(現金化)との決定的な違いでもあります。

 

 

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